地獄旅 5-2 佐渡①朱鷺は舞い降りた
新潟は佐渡ヶ島を目指し、なぜか山形より旅立ったムイムイ…ローカル線特有の長い待ち時間を越え、ムイムイは海辺へと至る電車へと乗り込んだ。
エメラルドグリーンの穏やかな川。
日本海側東北ゾーンの大動脈、羽越本線を目指し突き進んでゆく坂町行きのふつう電車。
荒川/明沢川沿いを進んでいきます。
このルート、視界がひらけてる場所が多くて景色いいなー。
温泉に目もくれず、列車は進む…
よし、坂町!乗換時間は…ぼちぼち。ただ、精算処理ときっぷを買い直す時間…そして駅前の雰囲気を考慮すると、…ここで駅から出ても乗り逃しリスクが増大するだけでたべものは手に入らない可能性がある。先を急ごう。
お、かっこいい…何だろこれ?なんか作業用の何か、たぶんそんなの…
めし…めし…缶コーヒーでも飲んでおくか…
ようやくこの番号券を手放す時が来た…よく考えたらワンマン電車の拳をこういうでっかい駅で精算したの、地味に初めてかも。たぶんそういう電車の乗り方する人が少ないと見えて、研修中の駅員さんもすこしわちゃわちゃさせちゃった。ごめんなさいね、忙しいなか。
厄除けアマビエです。コメの神聖なるパワで病魔を遠ざけんと…ん?
ウゲェーッ!供物はJRE POINT!?
花野古町と笹団五郎。実はプロモーションアニメもある二人だぜ。
話が前後したな。それではあらためて、万代口方面へ…
ここが ニイガタの えき…
ウワーッ廃墟!
カレーで知られた万代シテイバスセンターも建て替えだっけ…新潟、けっこうガチめのパワーアップに取り組んでるな。近隣あちこちに行くバスターミナルから、朱鷺メッセ/フェリーポート方面行きに乗り込みます。
この町に来るたびに、内地と佐渡を往復する船便の数がけっこう多いなとは思っていたのです。それも、早朝からかなり遅い時間まで満遍なく…フェリーの類で当日現地で乗船手続きできないものは見たことがないので「ま、イケるやろ」と現地に来てみました。だめならだめで、新潟駅戻ってルート再設定…
これこれ、この独特の人気のない静かな雰囲気…適度なローカル感…空港と一緒で、おみやげコーナーと軽食コーナーひやかして帰るだけでも楽しいんですよね、フェリー港。
よっしゃ、空席あり。ジェットフォイルって水面スレスレを飛ぶ飛行機って感じのコンセプトのやつですよね。大島や隠岐諸島に行く時も通常フェリーで行っちゃったので、時間優先の今回が初めての乗船経験になります。
こちらは佐渡カーフェリー三姉妹の次女、ときわさんです。好きなものは佐渡産カキフライ、尊敬する人は直江兼続です。愛…
※佐渡汽船のオフィシャルページは削除されてるみたい。ゆるキャラもそうだけど、こういうキャラクターアーカイブ、維持や契約上の都合がなかったらページ残しといてくれてもいい気もするんだけど…まあ、キャンペーンというのはそもそもそういうものか。
全体にいい感じに心地よくソウルフルなレアグルーヴが漂っています。
しかし俺の目はこちらのSNACK SHOPしおさいに釘付けです。めしだ!
こちとら朝からまだ何も食べてないのです。さあどうする、時間は余裕あるからなんでも食える、のっぺいか、タレカツ丼か、ナガモってなんだ…
結局、ナガモ・ワカメ・メカブの豪華三点バーストが楽しめる「海藻そば」を食べました。あったかいおつゆうれしい…む なんじゃい ナガモってアカモクの事かあ。アカモクは好きなんだけど、未知の食料かと思ってたのでちょっと拍子抜け。しかしうめーな。海辺で食って一番うまいもの、海藻なのでは…?
いい塩梅に腹もくちくなった。そろそろ時間だ、やってやるぜ。
船の全景を撮れる瞬間がありませんでした。
ここから1時間のぼんやりタイム…まあ、いつもぼんやりしてるけど。
ト…トキ!!!ウワーーーーッ!!デカイ!!
スーベニアショップはけっこうヒューマノイドが多くいました。
トキ!トキ!トキ!どっちを向いてもトキ!タイル絵を尻目にエントランスを降下すると…
そこにはフェリーがドン!と待ち構えていました。(ここまでムイムイを運んできたジェットフォイルの全体像を目視できなかったため、なぜか乗ってもいないフェリーに錯覚の旅情を感じています。卵から生まれたチイサイバードが初めて見た存在を親と思い込むようなものでしょうか…記憶は真実を記録しますが、必ずしも事実を反映してはいないのです)
とうとう…来たぞこの地へ ここが 黄金の大地…サドガシマだぜ!
ここでの行動の選択肢は3つ。
①目的は達成した。今すぐ帰りの船を確保し新潟へ帰ろう。(禁欲的!)
②今すぐもう一つの港に移動し、そこからフェリーで本土へ帰還。どこからどこに行くのか、そもそも何本船があるのか全く不明。曖昧過ぎる。新潟便とは全く状況が違うことだけはおぼろげにわかる。(破滅的!)
③思ったより船賃高かった。検索では高い宿しか出てこないけど、観光案内所で聞いてみて5000円くらいで今から確保できる宿があったら泊まってゆっくりしていこうよ…お、あるじゃん。よかった~(標準的!)
③に決定しました。冷静で的確ですね。
アーイイ、イイデス。スゴクイイデス…
面積や規模からだいたい予想していたけど、これくらい大きいとあまり「島」って実感は湧きませんね。普通にまあまあな規模の地方都市です。
海の上、ちっぽけな橋を渡るちっぽけなバス。いい写真。
ウワーッ!チェッカー模様イカ柄マンホール!竈門炭治郎です。今日はイカになって佐渡ヶ島に来ています。
一見普通の松の木だけどバケモノサイズです。後ろの平屋建物でスケール感が伝わるといいのですが。
なんか昔からあるっぽい。…って、そりゃそうか。でけえもんなあ…
「佐渡おけさの踊り方」とだけ書かれた柱と遭遇。ダンス教室の宣伝?
おや?これは…
ウワーッ!商店街の柱に順番に振り付けが書いてある!?
郊外の小都市って感じで、商店街は特別活気があるというわけでもないです。いまどき日本中どこにでもある感じの錆色の空気が漂っています。
そうこうしてる間に、本日のお宿に到着。
疲れた…もう10km以上歩いてるよ。
一休みして、荷物をおろして。さあメシだ!
宿の周囲は、プチ歓楽街的なムードが漂っています。
のどかなムードですが、街角にはひっそり超音波アンチキャットフィールド生成ロボ「ガーデンバリアミニ」が猫の気配を監視していました。捨て猫の警告張り紙もどこかで見ましたし、島に猫を捨てていく不心得者がいるのかもしれません。
でも…これもいい
いきなりだな!佐渡ヶ島全域にはコンビニが数件あります。大半はローソンなのですが…この「ハーティウッズ」は佐渡にしか存在しない独立系コンビニエンスストアなのです!店舗はこの一軒のみ。
ちなみに今回は訪問していませんが、佐渡の内陸地、佐和田寄りのエリアにもう一軒、「シティコンビニエンス タイム24」という地酒の扱いの良い酒屋系コンビニがあるようです。ちなみにこの名前で24時間営業ではありません。マジかよ!
カステラサンド。挟まれたカステラ部分がシロップ漬けのような、しっとりジューシーほろほろとした食感で見た目よりずっと上質な味わいがあります。そして、その程度の汁気ナンボのもんじゃい、という見た目通りの強烈な「口の中の水分奪い力」が砂漠の砂嵐のように喉を通り過ぎていきます。むせる。
メシ前になんでこんなもん食ってるんだろう俺…と思ったので翌朝にまわしたすごい奴。間違いのないおいしさ。というか、あまりにロゴとパッケージが素晴らしすぎる。俺様の宝石さ…
加茂湖に日が沈んでいきます。
湖といっても内湾のような感じで、汽水じゃなくてほぼ海の水なんじゃない?って雰囲気を醸し出しています。大きいカニの死骸が沈んでて、サギの化け物のような巨大な鳥がぼんやりしていました。鶴?まさかトキ?遠すぎた上写真も撮りそこねたのでなんだかわからない。
寿司屋の店先でうとうとしていたヨレヨレキャッツ。おまえ、居場所が見つかってよかったな。ゆっくり暮らせよ。
一部廃屋や地下駐車場が完全に水没した廃ホテルとかあったけど、全体に建物も町も小綺麗で人の気配も多いです。
信号もけっこうあるし、交通量もボチボチあります。なるほど、船便が多いだけのことはある。島っていうよりは房総半島の南の方みたいな印象だな。
神社なのコレ?さすがに人んち過ぎて覗き込む気にもなれず。正体不明。
道端にVAPORWAVE佐渡おけさが落ちてた。
知らない街のおすしやさんに入る勇気はありますか?私はあまりない。いや、正確には全く無いといっても過言ではない。人見知りなので…
というわけで、早めの時間からやっていて入りやすそうな雰囲気の「食事処よろこんで」というお店でごはんを食べました。まだ陽のあるかないかの夕まずめのひととき。一人客がちらほら来る店内に大相撲の実況が流れています…
ビアーと、お通しの鯛の頬肉。
アジのざくざくしてタレをあれして卵黄をあれするやつ。
マイカのおさしみ。
だいぶ暗くなってきました。帰りましょう。帰らなきゃ。また宿まで1km以上歩くのか…
公園で休憩。さすがにこの時間は肌寒い季節になってきたな。
静かな夜です。
めちゃめちゃ格好いい「鈴木みやげ店」の看板イラスト。
全体が歯車型してるマンホール?なんて初めて見たな。
遊ぶものとてないガチャガチャは風雪に晒されすっかり退色し…
ってちいかわじゃねーか!?めっちゃ新しい奴!?
海辺の環境が過酷すぎてメチャメチャやられてるだけかこれ。
…これは…ダッシュカーか。欲しかったな、スパイイヤー。いらんけど。
もう…限界だ…早く寝たい…
ウググ…
…眠いのに体力使いすぎて苦しくて寝られぬ…おふろくらい入っとかないと明日全身バキバキになるぞ…きのうも横になって寝てないし…
ロビー業務が終わり、玄関も施錠された無人のラウンジ。
冷たい炭酸飲料を飲み、大浴場で足を伸ばし、全身の筋肉にこもった熱と疲労が抜けるのをしばらく待つ…ングェフ…
…ふう、きょうもいい地獄だったな。明日もきっと、地獄だぞ。