地獄旅 8-2 村上 塩鮭大好き!
旅立った。夏だった。海を目指した。ほとんど寝てた。2018年の旅です。
================================================
「北海道に行く」以外何も考えていない旅。(具体的なスケジュールも考えていない)ここまでの停止地点は乗り継ぎの影響等で強制ストップが発生した場所ですが、始めて寄り道のために能動的に電車を降りました。
ここがチェックポイント、「村上駅」。
古くから鮭の文化が多く、シーズンになると鮭の遡上観察もできる鮭専門の博物館があると聞いたので以前から機会があったら行ってみたいと思っていたのです。もともと意識して趣味的な旅を始める前から全国の水族館めぐりをしたい気持ちもあったし…なによりも、スプラトゥーン2の影響だけど。
というわけで、これがその「イヨボヤ会館」だ。いくぞ。
施設の概要とか村上と鮭の関わりに関しては公式サイトを読むのだ。
公式サイトのポップな道の駅めいた印象と違って、昔のドライブインのような少し薄暗い雰囲気が漂う館内。アーイイ、スゴイイイデス…
ヒンヤリ空間。
鮭の遡上シーズンにはまだ早いけど、淡水魚はいろいろ見れていい感じ。
魚と記念撮影キャッツ!
チョウザメ。3.11の地震で軌道に乗る寸前だった釜石のキャビア養殖事業が回復不能なダメージを追ってしまった悲劇の印象があります。技術的課題が解決しても育つのに10年かかるんで全滅したチョウザメが抱卵する次のサイクルまで事業が耐えきれなかったという…
静かな館内通路には川をイメージした装飾。独特のムードを醸している。
漁具や漁の様子を記録した民俗博物館ゾーン。
「バーナード嬢曰く」的な。
鮭の背開き腹開きとかあれこれうんちくはあるのですが
こういうのだよ!俺の見たかったのは!!知らん鮭レシピが多いなー。
ウワーッサーモンスキンのジャケット!
サーモンハット!!サーモンシューズ!!
鮭の皮で作られた衣類、というと北大植物園の「北方民族資料室」の展示品、アイヌの鮭皮性靴の印象が強かったけどインパクトはこっちのほうが断然上だな。これ、当時普通に商品として売られていたのかしら?
「11匹のねこ」の馬場のぼる先生の色紙が飾られていました。この絵好き…サインまでかわいい。
さかなクン、絵うますぎ…
配色がかっこいい鮭のインフォグラフィック2種。
収蔵品の鮭缶ラベルコレクション。すごい楽しい。
鮭!鮭!鮭!
鮭喰らわば蟹まで。
いや、もう鮭関係ないじゃん!と思いつつ、集めずにおれない、集めたのを見せずにおれないその気持ちもよくわかる…いいなーデザイン。
かにかにかに イ イ イ
自然観察ゾーン以外にもミニ水槽展示が。カムルチー。
あかはらいもいも
かわいいなあ…
水族館名物!タッチプールだ!!
グエーッ地味!日本産淡水魚だしな…触ったけど。
ミュージアムショップ、このへんの郷土史とか文化研究とかやってるグループの発表本みたいなのが多数あって非常に面白いです。鮭百珍は新規に企画として起こしたもののようで新規と思われるレシピも多数ある労作。筋子をほぐしたあとの皮を使ったレシピとかもあった気がする。
もちろん鮭加工品も売ってるぜ。鮭の酒浸し、めっちゃおいしい。
ついじっくり紹介してしまったけど、他にも見どころがあるし、なにしろ肝心の塩引き鮭は現地でないと食べられないからね…現地はさらに楽しいぞ。
近くには鮭の料理を出す店もあるのだけど、ちょっと値段がよさそうなのと、ちょっと時間が半端なのが相まってここでご飯を食べるのは難しそう。無念…
温泉地まで近くに!本当にいたれりつくせりの町だな。
当然、マンホールも鮭。
鮭!鮭!鮭!気合い入れすぎ。
道中にあった「カッパヤ」という店のイラストがどれも素晴らしく良いので見て。
かつての武家屋敷のムードを残す町並みもけっこう大規模(中心街のほうはもっとハデ)3~4月頃の春先には通り沿いの家で雛人形などを大量に展示する企画もやってるのだ。
正直、この町だけ目当てに泊まりで旅行に来てもいいくらいだと思う。非常におすすめの町。
肴町で肴買う。
テープ貼って作った略地図みたいなやつがすごい律儀な仕上がり。
村上駅に戻ってきて運行情報の張り紙に気付く。えっ、運休!?
土地勘がないのでどの路線かわからない。なんとか調べてみたところ、山形かどっかに行く列車のようなので、多分…乗らなくても大丈夫なやつでしょう。こういうのもあるんだな…余裕をもって行動しないと。
次の電車が来るまでの間に軽食を食べておこう。
立ち食いそばっていうか、もう普通のお蕎麦屋さんののりですね。
農!協!牛!乳!
<<ログ読みの合間に休憩もどうぞ ここから休憩コーナー>>
せっかくなんでスタンプ押したけど、コレクター気質がないから一瞬で無くしちゃうんよね。鉄印帳なんていう朱印帳みたいなのも最近売ってるけど、そもそも朱印帳もあっというまにどこか行ってしまったし…描いてくださったり手配してくださったりする宮司さんとかに申し訳なくて、朱印とかよう頼めないわ。
おしゃれトレインに乗ります。どこかにつくはず。
はーいいいです すごく居心地がいいです この椅子 適度なぬくさ 一人で使っちゃうクロスシート お手洗い完備…
もうすぐ景色も見えなくなる時間だし、本でも読みながら進もうか。
でもちょっと眠くなりそうなんだよね。アルコールに弱いのにお酒を陽のあるうちから飲んでしまいましたから。
ん、あ、どこだこれ?本気でわからない。0番線、いつも見てると実在しない場所に迷い込んだような奇妙な気分になる。きっとこの「0番線」を巡る旅とかしてるマニアもいるんだろうなあ。
酒田駅か。21時台ともなると周囲も真っ暗だな。電車、まだありそうでよかった。
ムードあふれるかわいい電車ともここでお別れ。
でっかい駅の近くになると、一気に年代ジャンプした感じに新しくなる。さて、今日のお宿はどうしようかな。でっかい駅だからネカフェくらいあるんじゃないかなー。東北だし、温泉とかないかなあ駅の近くに…
といったフワフワと堂島ロールのように甘い見通しで、この時点で準備を何一つしていなかったことがよく分かるメモが残されています。地獄への分岐点は、いつも気付いたときには選択が終わっているもの…
ウワーッ!
というわけで、ここで終電を迎えました。本日の終着駅、秋田です。周りには思ったより沢山の乗客がいました。持ち物を見ると、人種に明確な傾向があるのが分かります。この電車でこの季節、この時間に、ここに到達する人々はほとんどが安旅のバックパッカーか乗り鉄なのです。
青春18きっぷでこういう旅を繰り返していくと、こういう「旅人の特異点」みたいな状況に何度か出くわすことがあります。静岡での乗り継ぎが少ない長距離運行の東海道本線普通電車とか、鈍行の終着駅となる大型駅など…日常では突然利用者が増える状況などないそういった地点には、特需を受け止めるだけのキャパシティが設定されていません。そして、「JRのターミナル駅と繁華街が離れており、私鉄や地下鉄、路面電車等で繁華街に出ないとJR駅周辺には何もない」とか「観光地や僻地などで、駅前にフロントが深夜営業してるような安い宿泊施設が全然ない」という状況が結びつくと…ゲェーッ!宿の争奪戦に出遅れた!!
ホテルに泊まった回数が少なすぎて、相場観とか宿の埋まり方の傾向を知らなかったため、ここで致命的な判断ミスをします。ここでも予約サイトやナビを確認せずにゆるゆると散歩しながら状況判断しようと悠長なことをしている間に、一瞬で安いところから順番に宿は埋まってしまいました…
駅泊…決定…
幸か不幸か、このような駅野宿の状況は京都駅で2回ほど遭遇したことがあります。
うち一回は遠い昔の学生時代、受験ノイローゼが尾を引いた少年ムイムイが大学に行けなくなったころ。ムイムイが唯一明るい性格だった中学校時代の友人が当時住んでいた山陰まで遊びに来たのですが、死んだ目でゲーセンに行きうろうろ散歩する以外毎日何もしていなかったムイムイに友人は「このままではお前はだめになる。俺はあの頃、好きなことをやるお前に憧れてたから今こういうビンテージカーの仕事をしてるんだ」と言いました。その言葉を反芻して暫く経った頃、ムイムイは泣きながらあてもなく鈍行列車に乗り込んだのです。
電車から降りたくない一心でずっとシートに座っていたムイムイが終電で流れ着いた場所が、建て替え前の京都駅。もう乗り継ぐ電車もなければ、どこかに泊まるお金もありません。さすがに頭が冷えてくるムイムイ。周囲は旅人と浮浪者ばかり。いい場所は旅慣れた人々にみんな取られてしまって、残ったのは花壇のへりみたいな冷たくてタイル張りの丸いベンチ(だったような気がする)おしりが冷たい。寒い。痛い…
反抗期どころか自我すら確立していなかった少年ムイムイ。親の性格のクセに起因する完全主義的な言動や極端な韜晦・衒学趣味、家の価値観と世間の価値観に線を引く教育…そういった刷り込みから来る社会生活とのギャップと劣等感で窒息しかけていたムイムイの初めての意思決定、自由意志行動が、この大脱出でした。たぶん、この辺の記憶とか、ブルートレインで山陰と東京を行き来したときのおぼろな記憶が今の旅行趣味と結びついているので、息が詰まるととりあえず電車に乗っているんじゃないかと思います。
なんで長々自分語りをしてるかって?眠れねえんだよ!過去のターミナル駅の駅泊経験から、とにかく「この駅はアカン」と気がついたら、真っ先に「なるべく体をまっすぐ伸ばせて、体温を奪われにくく、近くにトイレがあり、明るい人通りの多い場所、そして警備の人に排除されない場所を発見すること」が重要だと知っています。そういう駅はだいたい、同じ状況に陥った人が何人もウロウロしています。バックパッカーや学生が何人も朝を待っている所を手早く発見し、埋まり切る前に抑えるのがベスト。犯罪や脅威から身を守る必要もあるため、人気のない場所、ゆっくり寝られる場所を探してはいけません。案の定、自分より長く宿探しで躊躇していた人々は、浮浪者避けの手すりつきベンチをまたぐように立体的な角度で横になったりしている状況になっていました。(※2021年11月現在ですが、今はバスタ新宿の到着ターミナルのベンチが仮眠バックパッカー御用達になっている模様。どっからともなく、そういう情報を嗅ぎつけてくるんだろうなあ…)
少し体力が回復できたのは良かったのですが…トイレが近くに見当たらなかったんだよな…
雲が分厚い…彩度が低い。
明るくなってきました。地方の大きい駅は外周部のどこかしらにけっこう清潔なトイレがある事が多くて助かる…
夏で良かった~
布団で寝てるの、いいなあ…
寝れてないと始発で移動再開できていいですね。
ようやく記念撮影する余裕でてきた。それにしても、本当に駅にいただけの秋田滞在だったな…
いつか必ず秋田にまた来るぞ。今度は秋田そのものが目的地だ!
あ、ババヘラアイスもここなんだ。いつか必ずこれも食べるぞ!
男鹿線?どこだろ なまはげがこのへんの文化なんだっけ?これはよくわからないけど…まあ、秋田に来たからにはなまはげエリアに行くものなのかなあ…(結局、2021年にこれらの宿願は達成された。次の地獄旅ログで書きます。)
いざゆかん!目指すは北限の地、青森…いよいよ、北海道上陸が見えてきました。一日でずいぶん移動できるものだね。
ところで、北海道って、どう行くの?船乗るんだっけ???どこから?
(つづく)