10連ガチャを1回我慢しイクラを買おう
サクサクいくぞ。生筋子を買ってきて、寿司屋でよく食べる、あのイクラが完成するまでの物語だ。
時期的には、8月末~10月あたりに生筋子が店に出ているような気がする。3割引見当で買ってきて、だいたい2000円強でこのくらいの量の生筋子が手に入る。狙い目は半額タイムだが、お前のライバル達も半額のタイミングを待っているぞ。
いつも値段優先で選んでるから、実を言うと生筋子の選び方はわからない。
一般論として、生魚や生肉ではドリップ(汁)がたくさん出てるものはちょっとよくないようだ。
また、たまごの各粒の大きいもの、シーズン終わり頃にお店に並ぶものに関しては、やや皮が固くなる傾向があるようだ。しっかり噛まないと噛み切れなくなる。これは好みだが、あまり皮が固くないイクラのほうが好きなので、本稿ではそういう方向性を目指して作業を進めていく。
イクラは、生筋子をほぐしたものを調味液に漬け込んだ生食の料理となる。
まず、生筋子をほぐす必要がある。
やり方としては、「生筋子にそこそこの温度のお湯をかけて温めつつ、バドミントンのラケットやザルなどに軽くこすりつけるようにすると皮からイクラがはずれてバラバラになる」という感じだ。
今回は、イクラに粗塩をかるくまぶし、(臭み取りとお湯の塩分濃度調整の意図)その上から45℃くらいのお湯をかけてほぐし作業を進めてみた。
だいたい、お風呂としてはじっくり浸かるのが少ししんどい、くらいの
ザルは持ち手付きのものを使っている。ほぐれたイクラを回収するさいに、水気を切る作業が非常に楽ちんだからだ。
こつとしては、ほぐれたイクラはどんどん別の容器に集めていったほうがいいということと、破れた皮のカス等を取ろうとして何度もイクラを水洗いしたりしないほうがいいという事。どうやら、真水に触れた時間が長くなると、これまたイクラの皮が固くなってしまうようなのだ。お湯がぬるくなってくるとほぐし効率が落ちるので、適宜湯を足すと良い。
ちなみに、お湯がかかった直後はこのようにイクラがやや白っぽく変化するため、「あ、ちょっと温度高すぎた!?煮えた!?」ってビビるかもしれないが、これは冷やすと透明のいつものイクラ色に戻るのであんしんしていい。おどろかせやがって…!
グロい感じに残ったスジコ全体の外皮は処分。
※一応、食べれるレシピはあるらしい。鮭文化の街、新潟は村上の研究会的な人々が鮭百珍のほうな感じで鮭を無駄なく使うレシピを作っている…興味のある人は、当地の鮭文化博物館「イヨボヤ会館」に買いに行こう。ちなみに、村上に古くから伝わる伝統的な鮭メニューに関しては、オンラインストアでPDF配信も行っているみたいだぞ。
こんな感じの同人誌的なやつを置いてあります(これはもう完売してるかも)
イクラはほぐれた?水気は切った?
よし、タレを用意しよう。
ぶっちゃけ、生筋子を売ってるときは同じコーナーで50円くらいでタレも売ってるのでそれを買って使うだけでもいい。だいたい生筋子1パックに一袋見当だけど、タレはやや少なめでいいと思う。
今回は自作してみた。酒、白だし、白醤油、みりんを鍋に入れ、少しぶくぶくアブクが出る程度に火にかける。アルコールを飛ばしてるだけなので、沸騰させなくてもいいよ。白醤油はしょっぱめなので、少しみりん多めでもいいかも。
イクラは基本、調味料の味に染まっているだけなので、「ウスターソース味のイクラとか作れるんじゃないか」とか以前考えたんだけれどあまりに恐れ多くてまだ試したことがない。
基本的には、コンブがメインでカツオをあわせた程度の出汁の味が一番安定なのではないかと思う。以前あごだしとか入れてみたら、うまいはうまいんだけれどなんだかイクラの味と認識できない人工的な謎の食べ物になってしまった。まずくないけど高級感がない。
ちなみに半分ネタのつもりで、濃い目に溶いたヒガシマルうどんスープでイクラを付けてみたことがある。(少しゆずで香りはつけた)驚いた事に、かなり上品でおいしい味に仕上がった。
ただ、イクラにネギが浮いてるのはどうにも変なので、作ったヒガシマルうどんスープを丁寧にキッチンペーパーで濾しネギやザラザラした粒子を取り除くという謎の手間が発生した。インスタントスープを使った結果恐ろしく作業が大変になるのは本末転倒と思い、以来実験は中止された。
なんで余談ばかりしているのかというと、作業的にはもう終わってるからなのだ。この状態で少し寝かせれば基本完成なのだが、自分の場合は好みでつけるときに出し昆布の切れっ端を少し入れておいたり、刻んだゆず皮を投入したりする事が多い。ゆず皮が入ると、ちょっと料亭風の味になるのだ。ほとんど料亭には行ったことがないため、完全にイメージでものを言っているが。好みがあるし、心臓の薬等飲んでる人は苦味のある柑橘類の白い皮部分は薬が効きすぎちゃうからあまり摂取しないほうがいいかもしれない。食べる人の好みや配慮によって決めるとよい。
小一時間なり、一晩なり、少し寝かせた?よろしい。後は食うだけだ。
ここまでで示した通り、イクラの自作は鮭の生食に類するため、一定のアニサキスのリスクが存在する。生態を考えると、筋肉部よりはアニサキスがいる可能性は少し下がるとは思うし、もしいた場合も工程から考えると調理中に検出できたり排除できたりする可能性が高いとは思うのだけれど…確実を期す場合、やはり食べる前にイクラを凍らせたほうがよいだろう。
幸い、イクラは冷凍保存が可能で、粒もちゃんと破裂せずに冷凍可能であるようだ。ジップロックや小瓶などで使いやすい量にわけておけば、秋冬に何度もイクラを楽しむことができる、というわけ。ムイムイハウスでは秋にイクラを仕込み、正月に食べるサイクルにしている。イクラが好きなのでたっぷり食べたいんだけど、正月料金で買いたくないのだ…!
生筋子シーズンは、塩蔵していない生鮭の切り身も多く市場に出回る。
鮭炊き込みご飯に鮭の肉とイクラを贅沢にあしらった、宮城のごちそう「はらこ飯」は非常に美味しいのだが、手抜きして醤油と酒と鮭でそぼろを作り
いくらや刺し身などと一緒に飯の上にたっぷりのっけて食う手抜きはらこ飯もどき。これも、かなり、いけている…!(本当においしいはらこ飯を食べたい人は旬の時期に亘理の街に行くと良いよ)
また、仕上がったいくらと塩麹、しおこん部長、細かく切ったサーモンの刺し身を和えたもの。これも、酒に、ご飯に、恐ろしい実力を発揮するのである。
イクラ、いくら半額のやつを漬けたといっても、高いじゃないですか。
「攻めのかさ増し」で、積極的に連続勝利を狙っていきましょう。
(おわり)
ちなみに、新潟県村上に行く機会があったら。
塩引き鮭を食べましょう。
おみやげは「鮭の酒びたし」がおすすめです。
新巻状態じゃなくて、1サクくらいのサイズ相当分のやつはお手頃価格で販売されています。というか、東北の保存食なので、新巻サイズをもりもり食べたら塩分のとりすぎで全身の血管が爆発するんじゃないかと思う…
美しい城下町の街並み。
ひな祭りシーズンに訪れると…
当地に残されていた豪華なひな壇が勢ぞろいで飾られており、ちょっとした美術館の様相となります。(予備知識なしで行ったのですごい驚いた)
シン・東北ご当地フードもあるぞ。
海沿いのエリアには温泉まで!なんでもある街!
いこう、村上!
↑関連記事↑