地獄旅 1-1 岩手①ちていこの巻
目が覚めたら、盛岡駅前にいた。人生ではよくある事です。あるんだぜ。
わざとらしい程に盛岡。まさに盛岡。力強い。
「気仙沼に行ってみよう」と思ったのが、計画の発端です。調べてみたら、気仙沼にいく深夜バスというものはないようです。そこでルートを調べた結果、なんとなく北のほうでたまたま切符が安かった盛岡行きの切符を手に入れたというわけです。
…ルート検討に日本地図がいる距離感だなあ。今回はアドリブがほぼ効かない旅程が想定されたため、きちんとしたホテルを予約しての初日です。
旅のメンバーを紹介するぞ。
盛岡駅の手書き観光案内板に書かれていたジュブナイル味のあるイラスト。
やけに美味い駅そばで腹ごしらえをし、珍しい標識やマンホールの写真を撮り…異星の人類学者のようなよくわからない視点の写真をたくさん撮りながら、龍泉洞行きのバスが来るのを待ちます。
旅行で一番恐ろしい交通機関がバスだ。乗り方降り方、切符の買い方支払い方がまったく統一されておらず、バス停も何番のバス停にどのバスが来るのかいまいちわからず、指定時刻にバスが来ないときも乗り逃したのか遅れているのかもわからない。本数も少ない。
もっとも手軽な地獄旅は、近くの駅なりバスターミナルで普段乗らないバスにとりあえず乗り込み、なんとなく終点近くまで行ってみる事です。目の前に延々と続く、「近所なのに知らない風景」。千円札一枚で、自分がちゃんと帰ってこれるのかどうか心細くなり不安で意識が遠くなれます。
言葉の意味は解らんがとにかくすごい文。わだばブラックサンダーになる。
年季の入った岩手県交通のバス。あれに乗れるのかとわくわくしてたけど、買ったきっぷはJRバス系統。やってきたのは高速路線バス的な綺麗&長距離乗っても疲れなさそうな車両だった。充電コンセントまでついてて非常に助かった。いつでも充電されていたい。
バスが走り出すやいなや、風景が高原の森のそれに変貌した。
もと廃校かな?長時間乗車のため、このバスにもトイレ休憩ポイントが設定されていた。田舎の温泉宿の売店みたいな雰囲気だった。
水害の爪痕が残る渓流沿いの峠道をバスはひたすら走ってゆく。目の前に広がる白樺の林。マインクラフトで初めて自然にふれたジャリボーイ達、このリアル白樺のひょろりとした細さをイメージできるのだろうか、などとふと思った。
本格的に耳馴染みのない方言。
そうこうしているあいだに、2時間くらい後に、「龍泉洞」へ到着した。ここはかなり整備・観光化された洞窟があるのだ。
状況に応じ、大小2種類の蓋の開け方が選べるタイプのマンホールだ。凝ってるね。
マンホールを観察することとスーパーの食品売場、特に牛乳コーナーと惣菜コーナーを観察することは旅を楽しむ重要なポイントだ。イオン等の系列店舗の規模拡大で日本の商品が画一化されるなか、牛乳、酒、大豆加工食品、惣菜は比較的地域ブランドが生き残っている事が多い分野だ。それに、あんまり予算がいらないのも良い。
…洞窟に入る前に寝る時間が来てしまいました。こんなペースでやっていきましょう。