地獄旅 7-4 左営~士林 夜市ふつうさんぽ
前回のあらすじ:よかったよ
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さて、いつまでもここにはいられません。宿を取った台北に帰らないと。丫、アルファベットのYじゃない模様。全くニュアンスや意味がわからぬ。
これは地獄旅 7-1 で紹介した横断歩道のドット絵キャラを3D化したもののようですね。小緑人っていう相性らしいよ。
あっ凄い!土木デザイン、台湾でも80年代のりなんだ!ファンシー…
このへんのピクトグラムはほぼ世界共通語感がありますね。(車に関しては、時々車両進入禁止/駐車禁止がどっちがどっちか分からなくなる…けど、車持ってて免許取れる人なら暗記対応出来るでしょって事かも。)
高雄の地下鉄の10周年企画、ちびまる子ちゃんタイアップ。ワハハハ。
櫻桃小丸子って書くんだ、ちびまる子ちゃん。櫻井桃華感あるわね。
めちゃくちゃ気合入ってるけど逆さ吊りになってる両親。幻覚的光景。
台湾の地下鉄で特徴的に感じる構造としては、この三叉になった握り棒があります。手がお互いに接触しにくいし、けっこう好き。形も美しい。
地下鉄の左営駅より、先程まで乗ってきた台鉄(国鉄に相当)と高鉄(台湾高速鉄道、いわゆる新幹線)の乗換駅である「新左営駅」へと向かいます。はーんなるほど、さっき高雄のすこし前から急に電車が混み始めたのはたぶんこの駅だな?風景も県庁所在地的な大都会のそれです。
ちなみに台湾でこの規模の駅や公共空間になると、どこかしらにスマホ用の無料充電スポットが存在します。2018年当時の状況だと、日本よりかなりスマホ先進国だった台湾のホスピタリティです。旅行の生命線となるスマホ。隙間時間でスマホと電池双方にこまめに電力をチャージしておきます。
ダイソーに丸亀。何も言われず見せられたらどこの風景かわからん。
展示もアトラクションも総ダンボール製がウリの小テーマパーク、紙箱王。
さて…台湾新幹線のきっぷ。予想通り、券売機はどう操作したものか…といった感じだったのですが、ここで台湾やる気勢に極めて重要な情報を教えてもらったのです。
なんと、台湾新幹線、ホームページが完全日本語対応、かつホームページからだと日本語インターフェイス・カード決済で非常に簡単にきっぷが買えてしまうのでした。今までの苦労は何だったのか…所要時間は1時間半、きっぷ代は1490台湾ドル。ちなみに行きの莒光号は乗車券+特急券で650台湾ドル。だいたい倍チョイくらいだね…参考値としては、2021年10月末のレートでそれぞれ6,070円/2650円見当。
時間まで近くの商業施設を散歩。
って三越じゃん。
そりゃ日本っぽいわな。単純に経営上の都合でした。
新幹線駅で飲んだ冰那堤大(アイスラテのグランデ)。135台湾ドル、550円。高っっっっっっっか!ホテルのコーヒー感覚なんかな。
疲れた…
このへん、運用スタイルまるごと輸出してるかんじ。ひと目で理解できる。
すっかり暗くなった車窓風景。さっきまでの濃密な高鉄体験に比べると新幹線の旅が味気なく感じる…あてどなくパンフ類をパラパラ見ていた所、ある表記に目が惹きつけられます。えっ!「深く美しきアジア」の|鄭問<チェンウェン>の回顧展やってるの!?っていうか鄭問、死んじゃってたの!?
明日の予定が決まりました。台湾に来てから初めての能動的な目的です。
府中とか板橋とか、どこにいるのかよくわからなくなるな…
心労を伴う無謀な行動を重ね、すっかり用心深くなってしまったムイムイ。新幹線移動中に、ちゃんと観光客特化の夜市を事前に調べておきました。
22:30に新幹線を降り、地下鉄で剣潭駅へ。丁度いいタイミングだったかも。
なんか、ようやく一般的な台湾旅行のイメージに近づいてきた気がする。
もっとも、先刻食べたばかりのかき氷と砂糖醤油トマトでおなかはたぷたぷ。ここからあれこれ食べてやろうという元気はないのですが…気おくれ気質が急に変わるはずもないし。それでも蚵仔煎、胡椒餅が気になる、あわよくば歩いてておなかが落ち着いたら、入れそうな雰囲気なら食べてみたい…
アメリカのパンケーキ包み、日本の伝統製法仕上げ、自家製・台湾のあんこ味。「Waitingゃき。」
「焼かれたタコ足」。タコの足をあしらった中文ロゴが最高にかっこいい。
「深夜食堂・深海焼きタコの足」。夜の街頭覇王、なんかセクシーなリュウが今夜はあなたのためにタコを焼く。
とにかくタコイカ関係の屋台はデザイナーが「何やってもいい案件」として認識しているらしく、どれもこれもとてつもなく素敵。この店は売ってるものも奇怪でかわいい。棒状にまっすぐ伸ばして巨大感を強調したたこ足。その映像は魔界の食べ物そのもの。
こっちもゲーセンはもうプライズ機とかばっかなのかな…
れいほうかぞく。何?
どこでも見かけるケロケロタピオカ屋さん。
QQ感。モチモチ食感、って意味ですね。最近日本でも知られてきた表現。
一番ビジュアル面が気に入った屋台。要はエリンギを焼いてお好みの味で、ってスナックで、これ自体日本に入ってきてほしいラブリー屋台おやつなのですが…看板のデザインが本当に素晴らしかった。
このストイシズム!もはや現代芸術。
まあ、やっぱり買い物も買い食いもあまりできなかったんだけど、少し気持ちが落ち着いてきました。短期間ですごい量の経験を積んだ気がするよ。
ここが食べ物屋さん集結してる感じだったんだけど、この手のわちゃーっとしたところ、あこがれるけど割って入っていく勇気がないんよな。
「現地にはえび釣りっていう屋台の遊びがあってさ…」って聞いてたけどこんなん飛び込んでいけるわけねえべさ!すげえアウェイ感だよ…しかしいい雰囲気の写真だなあ。自画自賛。
野良猫のように周囲を警戒しながら散策を続けます。俺はお前に少しあこがれるよ。
ちょっとイイ感じなどうぶつのブロックトイガチャ。
しずえとチキチキマシンのケンケンの間に生まれた娘って感じ。
だいぶ無茶なアレンジルービックキューブの数々。たぶんまともに回すのすら困難な工作精度だろうなあ。
コレ、ワンピースやミッキーに目がいきがちだけど、地味にカナヘイが台湾進出してるのが一番驚いた。日本国内で超大規模展開とかグローバル展開してまっせ、って印象が強くない商品や作品のほうがより現地の趣味嗜好で選ばれてる感じがして興味深い。旅かえるみたいな感じで。
夜も更けて、すっかり疲れ切って、なんだか「まあ、もう、気合入れるの、いいかな」という肩の力が抜けた瞬間がふいに訪れました。
屋台にふっと近づいて、コンビニで飲んでいらいお気に入りになったパパイヤ牛乳を注文して、氷をミキサーするのをぼんやり眺めて。
ぼんやり道端で風景を見ながら生ジュースの屋台を見ていると、次くらいに買い物をしていた欧米系のお客さんが、おつりをもらい忘れたことに気づきました。「あ、ちょっと!ちょっと…」呼び止めようとするも追いかけるほどでもないし、と困った感じの店員さん。思わず、ひょいと前に進んで、その外国の人を呼び止めました。
「ちょっと!ちょっと!おつり!」
外国の人は「え?何!?」って雰囲気だったけど、日本語と屋台を指さす身振り手振りでも、言いたいことは伝わったようです。「…OH!Thank You!」慌てて屋台に戻る外国の人。笑う屋台のおばちゃん。笑う外国人。笑う僕。
この瞬間、初めて、「あ、俺、やっていける」、そう感じました。
思えばおかしな話なのですが、この旅行で結局蚵仔煎を食べたのかどうかが、今となっては判然としないのです。やっぱり僕にとって、旅の記憶に強く残るのは、目的そのものではないのかも知れません。
結局、次の日も一夜明けて別人になることも成長することもない展開が続くのですが、この夜のこの瞬間にだけ訪れたふしぎな平穏と高揚は強くムイムイの旅の思い出として刻まれたのでした。このしょーもない下ネタ看板とともに…
それじゃあ、帰ろうか。
ここからは2匹の時間。邪魔をしても悪いしね。
ドロドロに疲れた脳と体を引きずり、消灯時間後のホステルへ。…値段だけ見てブッキングコムで取った宿だけど、宿としてオシャレ、清潔という以上に、若くビビッドな台湾の若い衆が交流の場として使ってるような雰囲気もすこしあった。夜中なのになんかのスライド上映会?をしていて、みんなで熱心に見てる。台湾の若い世代、知性と活力を感じるなあ。
ラウンジの一番すみ、目立たないところに引きこもり、しばらく休憩したあと、寝る前にシャワーだけは浴びようと足をひきずりながらごそごそ目立たないようにシャワールームに移動します。交流系ホステルの空気感、なんか、むずかしくないですか。ライダーハウスとか昔のユースホステルのイメージみたいにつながり感が濃すぎるのもあれとしても、なんか「みんなでレクリエーションしましょう!文化!文化!」っていうのと「お互い完全に無関心」っていうのの中間がないっていうか…
…まあ、今日は、こまかい話はもういいか。明日はどんな気分だろうね。
おやすみなさい。