地獄旅X-1 熊本 古代神獣チブサンの謎!
ここは首都圏、メガロポリス千葉シティ…
現代文明の結晶、無限に広がる人工的な都市空間…これから私の心と体はこの地を離れ、驚異に満ちた未知の世界へと自由に羽ばたいていきます。
成田空港に到着。ここしばらくは、未踏地を優先的に回っている都合上『初手が重い」旅が増えている。
今回も、往路復路でそれぞれ別の空港を設定、どうにかして日程内に移動を完了する、という予定となっている。九州北海道の中で移動しようとすると、LCCで戻るのが結局一番安いのだ。
飛行場内を監視するロボ。
雨に煙った飛行場はモノクローム…
クリティカルパスの多い旅は網走〜札幌でひどいことになったのが記憶にあたらしい。しかし、残っている未踏地は、やはりアクセスになんらかの不便があることが多いのだ。
最も、今回は辺境の未踏地に行こうという話とは趣が違う。
目的地は、熊本。
九州の、いわば背骨の真ん中。「ちょうどいい所」にあるがゆえに、大移動で通り過ぎてばかり…という、「穴場」なのだ。
じっくり熊本を見て回りたくもあり、憧れの「チブサン古墳」に行ってみたくもあり。チブサン古墳、場所がかなり奥地なのと見学可能時間の制約が大きそうなんよね。最悪、たっぷり時間をかけて現地に行ったあげく空振りになるかもしれない。
どうするか。
まあ、現地に行ってから考えよう。
ところで、こちらはジェットスター航空のマスコットキャラクター、ジェッ太くんです。
そして、こちらが成田空港勤務のジェットスターのスタッフが描いた手書きのジェッ太くんです。
ワハハ、ヨレヨレになって眼がキマった感じになってる。4部の老ジョセフって感じ。
あっ、というまに空港着。
決まらない。決まらない。行動予定が決まらない。
週末のみの見学イベント。チャンスは2回。それも限定人数はたったの10人。そもそも、道路状況によってはたどり着いたころには時間切れだ。
かけるのか?この体験に?
この流れに乗ったら、熊本をゆったり巡回する時間はたぶんない。
しかし、自分の旅ではかなり珍しい、数年来「ここに行きたい」という動機があった場所だ。どうする?狙うか?また改めて熊本に来るのは可能だが…いや、しかし、たどり着けるのか?席に空きはあるのか?うーん、うーん…ついでに寄れるところはないかな…鼻ぐり井手は…歩いて行くのは困難そうだな。もうひとつの謎の遺跡「トンカラリン」は…え?熊本地震で浸水&破損して現在立ち入り不可っぽい?これは調べといて良かった…
今回、ギリギリまで迷っていたことがもう一つある。それは、レンタカーの活用。使ってなさすぎて、予算感覚とシステムが良く解らない…ただ、予算的にも、車を返すためにこの空港に戻ってくることが必須条件になりそうだ。帰りも同じ空港にしておいて数日借りるのが正解だったかな…まあ、空港で考えるか…
結局、この思案はほぼ無意味だったと現地で気付いた。空港でレンタカー借りる人、皆事前に旅行計画立てて車借りる手配も済ませて、レンタカー屋への送迎までセットで準備すんでるの。空港カウンター側も、その前提での運用とか人員配置しかしてない感じ。
みんな、しっかりしてるんだな…
気づいたら眼の前のバス乗ってた。発車しかけていたので。衝動的に。
俺、なんでこんなに計画立てて行動することへの忌避感があるんだろう。しっかり予定を立てた瞬間から、したかったはずの事柄が「行動や自由を拘束されるという窒息しそうな感覚」「予定をきちんと完遂できるか、その不安以外に何も考えられない状態」に変化してしまうというか…いかん、メンタルヘルスに悪い状態になってきたな。
そもそも、「同じ金額がかかるなら、座ったまま鬱屈し治療の三環系抗鬱剤に金を払うよりは、予防として旅費にお金をかけて脳と肺に新鮮な風を入れるほうが経験の蓄積が増えてあとの人生が楽になる」、そのくらいの話だ。とにかく動くんだ。止まっちゃいけない。
超低床スープ付!
バスの経路を確認したら、ちょっと名前が面白いから気になってた「味噌天神」にこのバスの停留所があると判明。渡りに船だ。(なんか用法がおかしい。今がまさに「船に乗ってる状態」でそこからタイミング良く降りるんだから逆な気がする。)
ここで降りよう。今決めた。
えーと、味噌天神の場所は…あれ?距離がほぼゼロ表示だ…すぐ後ろの振り返ったところか?
これか!
ちっちゃ!
5分で見終わった!?
話のテンポが急に早い。
まあ、せっかくだし細かくしゃぶりつくしていくか…かもし屋さん達の寄進が多い。というか、随分発酵食品メーカーがあるんだな。
由来記。
土足禁止か拝観方法の案内かと思ったら、なんか様子が違うな。
なんか、社務所というか…そういうのがなくて、近所の喫茶店がそういう役割を担ってるのか。味がある…モナミ…
ちなみに、神社の裏手は雰囲気のいい公園になってた。
この奇妙な造形の水飲み場が見れただけでも、ここまで来た価値があると言えよう。
絵に描いたような、都市のオアシス。
ここはこのへんにして、先を急ごう。
このあとどうするのかを、いまだに決めていないのだから…
とりあえず、路面電車に乗ります。眼の前に来たから。
市内に面白いものがあれば見るもよし、JRの駅まで出ることができればローカル線に乗るいつものルートで。チブサン古墳はまあ、こだわらなくてもいいかな…
なぜか乗客が一斉に降りてる停留所があったので、一緒になって降りてみる。衝動だけで生きている…まあ、恐らく何らかの繁華街があるんだろう。
ゲーセンか…
完全に鬼に支配されているのだ。
どうやらオタクビルだったようです。先に進もう。
…「あとぜき」?何??(「開けたら閉める」って意味の熊本弁みたい)
ちょっとテンション上がってきたぞ。観光客を意識してない形の方言の掲示物を見ることができた。さいさきいいな。
あっちもこっちも確認しよう。
すし人間。
餃
子
の
王
将
…あなた、餃子の王将が曲がっていてよ。
案内看板だ。ようやく自分がどこにいるのか把握できそう。
…熊本城の周囲を回るように進んでいたのね。
お城を見てもいいかも?と思いつつ、人波に流されるままに進んでる。
計画通りに事が進むことは、まれなのだ。
なぜなら、計画通りに事を進めないように配慮しているので。
せっかくのおやすみだよ。仕事みたいに頭を使わなくても…
しきりべん。
これがくまモンスクエアかしら?
ぱっと視界が開けたところに出ました。
そして、この建物、どうやらバスターミナルっぽいのですよね。
まさかの展開。衝動で移動していたら、まさにチブサン遺跡に続く道。
どうしようかな…遺跡…山鹿行き、まさにここが発着点っぽいんだよな…
なにか食べ物も手に入れたいし、とりあえず建物の中に行ってみよう。
山鹿…時刻表を確認…うーん…間に合いそうだぞ。どうする?
意を決して、山鹿市立博物館に電話連絡をしてみる。
…えっ、14時の回は空きがある?
バスが遅れて時間に間に合わなかったらどうしようか…ええい、ままよ。その時はその時だ。博物館だけ見てグッズの一つでも買ってくれば、それはそれでネタになるだろう。腹をくくろう。
行くぞ!
(どうでもいい話だが、初め、バスで当地に向かおうとしている旨がよく伝わらなかった。単純に向こうとしては「いらない情報」なんだろうけれど、そういう問い合わせが全然ない…公共交通機関をつかって日帰りで当地に行く人はほとんどいないのではないか?と思われる。実際、あとで判明することだが、来る人は全員車で現地入りしていたのだ。おそらくは、これまでも…そしてこれからも、大半は。)
ってこれ…悠長にメシ食べてる時間なんてないのでは?現地ついた時点で13時は確定で回ってる状況。幸い、到着予定地はバスターミナルになっているようなのでお手洗いなどの施設は一通りはありそうだけど。
どこかで行動食を手に入れなければ…とバスターミナルを放浪していたムイムイの目に飛び込んできたものは…「いきなりだんご屋」!桃鉄で手軽に買い占めできるタイプの物件だ!
買えますか?3分後に蒸し上がりですか!できたて!待ちます!!!
あちちちちあちちあちちあち!蒸したてほやほや!最高!熱い助けて!
非常食よし!とにかくこれがあれば、数時間余分に行動できる。
安全な移動を心がけてはいるけれど、未知のエリアでトラブったとき当日帰れなくなるようなアクセスのわるい場所に向かうときはとりあえずカロリーメイトだけ1個持っていくようにしている。
バス、前払いか後払いか、suica等の交通系ICと互換性があるか、いつどこで払うかとかがまちまちでいつも不安になる交通機関。ピクトグラムとかで全国共通の表示ってつくれないものなんでしょうかね。出先だと5000円札10000円札くずせる場所もないバス停ばかりだし…使いたいけど使えない、そんな状況が多い。定刻より遅れてるときも、かなり不安になる。
日本の鉄道網が維持できなくなってバスに変わっていくのが避けられない未来なら、使い勝手をいまのうちにパワーアップして欲しい。
デザインにもまだできることがあると思う。あまり予算をかけなくても。
そして、移動が始まった。
熊本城!…の、たぶん、なんらかの一部。まだ修復中なんだっけ。
ここはここで、本来観光すべきポイントなんだろうな…なんか、ワンピースのなんかとか…でも…魔境が呼んでるので…
あっ!少し熊本城見えた!こっちを見て手を降って笑ってくれてる!
土嚢ぶくろ。
最近、どこにいっても、がんばろう日本、がんばろう熊本、がんばろう東北、がんばろう日本のみんな、そんな感じ。自分はあんまりがんばってない気がする。
風景のあちこちにジョイフル、ヒライ、資さん、ウエスト等が点在してる。合間合間に馬刺し屋さん。夢のような光景だ。でもスマホに残ってた写真は、このような撮影失敗スレスレなやつ。たぶん、異常に背が低い仮設信号とか陸橋のブロックとか取りたくてシャッター押したんだと思う。トレテナイネ!
変な建物など鑑賞しつつ、バスは進みます。
山鹿が近づくにつれて…急激に街並みが美しくなり、よく整備された日本建築風の観光施設が増えてきました。アレ?道中のひなびた印象からずいぶん変化したな…と思ったら、どうやらこのへんは「熊本からほど近い一大温泉リゾート地」だと現地の声が!スゴイ!そして…これは、この街で足止めを食った場合、宿代がとんでもないことになるぞ!?
どことなく変態性を醸し出すぼうはんマン。
というわけで山鹿のバスターミナル到着…
ム!らくのうマザーズカフェオレのラッピングバスだ!
俺のツボをよく心得ているバス会社よ。
くまモンと知らないおじさんもお出迎え。
さて、この後は山鹿市立博物館からチブサン古墳まで、軽めの山歩きみたいなハイキングが確定しています。時間と体力をセーブするため、あえてタクシーの迎車を呼んでしまいましょう。
そうしたらタクシーの運転手さんが営業用のポケットティッシュをくれました。…最高にパンチの聞いた絵柄の。
ウワーッ!「広報やまが」令和2年8月号参照!
性別はおんなのこだそうでございます。
犬子ひょうたん自体、なんだかふしぎかわいいまつりですね。
色を付けた米粉のおだんごで「ひょうたんを抱えた子犬」を作るお祭り…えっ?この設定読んだ感じだと…ぎおんちゃんって大酒飲みなのでは…
話が脱線してしまいました。受付で費用を払い、進みます。
古代への道を…!
清々しい散歩道だな…
最高の休日かもしれん。ここ最近の散歩のなかでも格別のロケーション。
あたりには古代モチーフの石像が置かれて、遺跡観光ムードを盛り上げてくれます…
って、あれ?あちこちのプレート、よく見たらなにか説明文になってる?
あれも土器!
これも土器!
なんてこった。
適当に置かれてるオブジェだと思ってたもの、すべて展示品じゃないか!
なんなら、適当な穴すらが展示品と言える。
この散歩だけで、ここまで来た元は取ったな。
古墳まで!
ウワーッ!
あっ素材だ素材。
さっきの写真をループに加工して、こっちの写真をツタが終わる所の素材に使えば…とか、そんな写真の取り方ばかりしている旅を昔はしていた。アルバムがみんな壁とか空とか石畳とか…写ルンです、現像代がえらい金額になって泡を吹いた記憶がある。もうフィルムカメラには戻れない。デジカメ、いくらでもいらん写真取れるもの。
アーイイ…
スゴクイイデス…
この像のシリーズはたぶん展示じゃないんだろう…とは思う。
よく知らんけど。
オブサン古墳っていうのもあるんだ。今日はチブサン古墳目当てだけど、こっちも行ってみたかったな。磨崖仏もこのへんにあるとか書いてあった…見きれない…
おいでよ古墳の森。
この古墳の森がとんでもなかった。
10メートルも間隔を開けず、石棺、古墳、石棺、古墳、
石棺、石棺、石棺、石棺、石棺…
初代ダルシムの中Pつかみ投げくらいひたすら石棺が続くのだ。
感覚が麻痺しかけている。
ついた。
説明板。
急な山道を登っていくと、すぐに集合場所である駐車場が見つかりました。
そろそろ時間だと思うんだけど、誰もいないな…
駐車場の屋根のあるスペースには、チブサン古墳の説明プレートやレプリカ土器等。
これは石人だそうな。
説明。
チブサン遺跡の説明もあります。
すぐそこなのね。
こんな感じで周囲を見回した先に、なにやら怪しげなものが。
あっ!?
そういえば、内部展示を見れない場合でもレプリカは見学可能って書いてあった気がする…これが…これがチブサン古墳か!!
チブサン古墳の「顔」とも言える正面のアレ…そして、右手にはなんだか人っぽいものが。(『辟邪』ではないか、とはボランティアガイド役をやってくださったお父さんのご意見。)
イェーッ!目的達成!
この記念撮影の少し後になってから、駐車場にはわらわらと車が数台集まってきました。日本各地のナンバーにレンタカーナンバー。どうやら、いずれも劣らぬこふん者のようです。記念撮影する時間がとれてよかった…
美しいシルエットの前方後円墳。
どうも、この九州の地、そしてこの熊本は山鹿のあたり…そういったところに異常に大量の古墳類があり、特にチブサン古墳のように何らかの装飾の施された古墳はほとんどこのへんに集結しているらしい。
この扉の先が、本物のチブサン古墳の内部。
扉の奥は、暗く冷たく湿度の高い空間になっている。見学室は一度に2人の人間が入れる程度の広さ。見学室の奥、湿気に曇った小さな窓にワイパーがついており、曇を落とした一瞬だけ内部の様子が伺い知れる、といった展示。そして再び、曇に包まれる小窓。奇妙な時間。
ものの性質上、現物の撮影ができるようなものでもないので。
ふれあい用のレプリカがあって本当によかった。充実したこふん体験だ…!
オブサン古墳。
ガイドの方の好意で、オブサン古墳に関しても解説していただけるとのことでこふん者達が次々と移動していきます。徒歩だからこれは間に合わないかな…と思っていたら、こふん者の先達の方がご親切にも車に乗せてくださいました。旅先は親切な人によく出会う。
オブサン古墳は「突堤付円墳」と呼ばれる、入り口の部分にニューっと伸びた脚を持つ形状をしており、おそらく一目見て直感するとおり女性の胎内を模したものではないかと。
こちらはひろびろしています。いまは玄室の前に封印が施されています(一時期浮浪者が住み着く等があったとの由)
ちなみにこれは別に展示されていた、昔オブサン遺跡の入り口を塞ぐのに使われていた石とのこと。ところどころに空いてるのは…西南戦争のときに盾として使われたことでついたマシンガンの弾痕とのこと。
夏草や…
遺跡の説明会が終わりました。致命的なタイムリミップはもうないので、ヘビイチゴなどひやかしながら散歩を再開します。
こっちは知らない実。(ヤブヘビイチゴかクサイチゴらしい)
若くて小さいヒキガエル様の物体がぼんやりひなたぼっこしていた。
畑の奥へと伸びる、不審なあしあと…
山鹿市博物館に戻り、ぬかりなくスタンプを押していきます。
こんなの、押さないわけにいかないでしょう。すばらしい…
それにしても改めて、モダンな絵柄の古代遺跡だな…。
博物館そのものの屋内展示は小規模なのだけれど、周囲に遺跡のほかにも遺構や古いものが残っている。
古い古民家の横に…
古いポスト…
古い巨大な石人像の背後に…
センチメンタルおじさん。
ずっと見たかったものを見た。満足だ。
今回は珍しく旅行らしい旅行になったな。
…さて、エンディング気分に浸ってるのはいいんだけど、このあとどうしよう。とりあえず、帰らなくては…熊本の中心街に…
行きはタクシーも乗っちゃったし、帰りは歩くゾウ。
そういえば、タクシーの迎車頼んだのって人生で初めてだ。
もっと天文学的な請求されるのかと思ってた…
機会があったら、また使ってもいいかもしれない。
確実に短時間で目的地にたどり着かないと行けない時に。
正確に言うと、スマホのナビを見ながら迷っている時間が無い時に。
そして、いまは迷う時間がある時だ。
歩くゾウ。
まるで映像作品かなにかで作られたかのような完全すぎる初夏の風景。
ふと横を見ると、防空壕か古い工事現場の後かといった大きな穴が。
しれっと遺跡でした。本当に遺跡だらけのエリアだ。
川の向かい側には…
一面の麦畑が広がる。よく考えたら、麦畑を目の当たりにしたのって初めてかもしれない。
側溝のわきに桑の木が生えていた。クワゴはいないな…
ぜんぜん味がない。
下を向きながら歩いていたら、異常な立体感のあるどぶを見つけた。
なにこれ…橋になった側溝を流れてきた水がニつに分岐して、そのまま側溝の下をくぐり抜けて流れている…
土手一面に広がる黄色い花畑。華やかなのだけど、どこか異様…
たぶんだけどこの容姿と生え方、特定外来生物のオオキンケイギク?
ぼんぼり型の車止め。
バス代に必要な小銭があることを確認し、シートにもたれ、意識を失う。
早くも過激に疲れている。チブサン古墳、距離的にはぼちぼちの散歩だったんだけど、なにしろちょっとした山歩きだったから…寝たり…覚めたり…
ウワーッ!
再び熊本城下のバスターミナルへ戻ってきた。
というか、気づいたらここにいて、バスからまろび出た。
先程までの光景が変な夢のような超近代空間。
ありがとうスマイルマン!
そろそろ、今日という日をどう力尽きるか考えなくてはいけない。
一日の終活だ。
基本的には、大都市にいるとどんどん気合度を消耗してしまう。
飛行機に乗って遠くまで来て、自宅の近所にあるものだけで構成された街にいても、なんか損した気分になるからだ。そう、貧乏性なのである。
このあとは、
・確実に宿の見つかりそうな熊本に早い段階で拠点を確保する。
・やみくもに海を目指す。ついでに今日中に熊本から海を渡る。
・ただ、ただやみくもに海を目指す。天草経由で海を渡る。
というのが考えられるルートなのだが…
前から思っていたことなのだが、インターネットもスマートフォンも肝心の「知りたい情報」は全然教えてくれない。
現在いる場所から終電ギリギリまで無作為に移動した場合、どこまで到達可能なのか?
たったそれだけのことが、よく分からない。
また、ひたすら駅に備え付けの時刻表のページをめくり、読み方もページ構成もわからない状態で四苦八苦しなくてはならないのか…
基本的には、島原ルートで行きたい、そういう前提で考えている。
巨大なタコに支配された謎の道の駅とか、島原のエレナとか、
なんとなく気になっている怪物件を一気に倒してしまいたい。
しかし、フェリー移動が絡むとなにかと長時間の待機が発生するので、
今日のうちに少しでも距離を稼いでおかなくては…
ウワーッ!
とりあえず、天草三角線という鉄道の終着点までは今日中にたどり着くことができそうだと判明した。おまけに、時間的には熊本まで戻ってくることも可能そうな気配…これは、なにかあっても熊本で宿を取れる流れ。とにかく進むぞ。
和のライフサポトショップ。
方針が決まったら、目の前に路面電車の駅が現れた。
くまもとへ。
なんとなく、今日まともなご飯が食べられるチャンスは今しかないのではないか、そんな予感がある。辺境の旅はつねにカロリーメイトしか食べられない夜と背中わせだ。何のアスリートか。心だけが痩せていく。戦うぞ。いまここで。
…ヒライの限定弁当ロボフレランチ、売り切れ!
ギャーッ!!
食うか、名物でも…
(※地味なんだけどおいしくて、簡単に真似できて見た目が華やか…と理想的な条件が整ってるので後日「ひともじのぐるぐる」は真似して自作しました。コレ注文した瞬間ではそんな料理が存在することを知らなかった…ネギが破裂しないよう穴をあらかじめ開けておくのがコツのおひたし、なかなか妙な体験)
君はこっちの、黄色い道をゆくのだ。
誰かにうんちカードを使われた。もはやもどることはできぬぞ。
しかしこの貧乏神の新デザインだけは未だになんか気持ち悪くて落ち着かないな…
さて、ここまで来てなんなのですが、天草三角線の終点である三角の街にはビジネスホテルが駅前に一軒。そして、その宿は既に満室だということが発覚しました。どうするの。
とりあえず、手持ちのきっぷで進める範囲で一番街の規模が大きそうな「宇土」で途中下車してみよう。
宿が見つかればよし。見つからなければ、帰ればよし。
ここ、数件宿ありそうだからどうにかなるでしょ。
え、読み方、ウドじゃなくてウトなの?コーヒーにがくないの?
地獄旅恒例となりましたこの風景。
全く味わいのない、日本中どこにでもある郊外の大国道歩きです。
なんで俺の旅は毎回この展開になってしまうのか。
アイエエ…地図アプリの印象と距離感覚が全然違うよォ…
苦しむために、正確には、「わかったような気にならないように」。
実際にモニタの外の何かの現地に赴き、歩き、そして今日も苦します。
地獄です。ささくれて頭くじられます。
A:呪われよ
B:苦しみを選ぶ
C:注意
D:何故あなたは死ぬか
俺の答えはこれだ!!
暗いよォ…遠いよォ…
もし、宿に空室なかったら、もう一回この道歩いて帰るの。
やだなー。もうだるいよ…
それならまた電話でもして確認すればいいのに、さっきの電話でもう社交ポイントを使い切ってしまったから…知らない人に電話するくらいなら、もう2km余分に歩くぞ。もうそういう気分になってしまったのだ。
これが天草方面に向かう線路かな。暗いな…
明日はこれに乗ることになるのかな?
結局もう一度どこかで駅まで戻るのか…
地図上ですごく栄えているような印象を受けた街も、実際歩いてみるとこんな感じ。しかし、たまたま開いてたから寄ってみた「フレッシュくまい」というスーパーが、ここでしか見ないローカル商品の宝庫…同じ街で製造してる製品も!
これは翌朝撮った店の外観。いいでしょう。
久しぶりに超濃厚な旅ナジーが満ちたスーパー買い物体験にみるみるこころのちからが回復していく。いいぞ。
来るべくしてここにきたんだよ。
いい街じゃん。
どこだか知らないけど。さっきまで読み方も知らなかった。
宿もちゃんと空き部屋がありました。やった!
この干し筍!他の世界でまったく見たことのない食材!
とろろわかめとくんせい蒲鉾も、スターとして圧倒的な輝きを放っている…
(※とろろわかめ、ごはんが進む。コレ九州フェアとかで関東でも売ってくれんかな…ウマイ)
もうこの街できょうは終われる…その安心感から、改めて晩飯を探しに宿を這い出す。お、ここにもヒライが。
超カッケーネオンサイン。こいつはやるかもしれん
あった!
ついに手に入れた!これが…ロボフレンズの、弁当!
人と機械と、労働と…
謎のドラマがあって最高のパッケージイラストですね。
あ、よく見ると背景が歯車柄。
オレンジのロボフレ弁当食べればよかったな…
そうしたら池袋晶葉度が極めて高い映像が撮れたのに。
さて、肝心の弁当の中身ですが…
…写真撮るの忘れて急いで食べちゃった。
(つづく)