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映画感想04「くちづけ」

amazonprimeで「くちづけ」を観ました。一言でいえば、たまらなく切なかった作品でした。

劇作家で俳優の宅間孝行が主催し、2012年をもって解散した劇団「東京セレソンデラックス」の名作舞台を、堤幸彦監督、貫地谷しほり主演で映画化。知的障害のため、心は7歳児のままの女性マコは、元人気漫画家の父親いっぽんに連れられ、知的障害者の自立支援グループホーム「ひまわり荘」にやってくる。無邪気で陽気な住人たちに囲まれ、のびのびと日々を送るマコは、そこで出会った男性うーやんにも心を開いていく。ようやく見つけた理想の場所で娘が幸せになれば、いっぽんも漫画家として復帰できるかと思われたが、やがてひまわり荘の一同に厳しい運命がふりかかる。
(引用:https://eiga.com/movie/77543/)

私にとっての良い映画とは、鑑賞後に大きな余韻が残る作品です。何かを考えさせられたり、大きく感情を揺さぶられたりする映画のことです。異論はあれども。

今作はそのどちらも満たす名作でした。知的障害の娘は一人で生きていけるのか、死期が近い父親が娘の今後の生き方について悩む様が描かれています。孤独になった知的障害者は刑務所やホームレスになってしまうのか。そんな不安も父親は吐露します。

鑑賞後、自分が父親(いっぽん)だったらどうしただろう、と自問してみます。自分の娘を手にかけることはできないと言い切ることができるのか、正直分かりません。自分が死んだあと、孤独に荒んだ生活を娘が歩むのを分かっているのであれば、本人の幸せのためにも、今が幸せならば尚更いま手にかけるというのも分かります。分かりますが・・・どこかで「いや違う」という感情も自分にはあって・・・という風に鑑賞後も考えてました。

また出演者陣の演技も秀逸でした。自分はあまり知的障害者と接する機会は無いので、演技がリアルかどうかは判断できませんが、知的障害者らの目線の動きや細かな挙動は、違和感なく見れました。また父子の愛情がとても深いことが各シーンで描かれており、それが終盤のシーンに活きて涙を誘います。

本作では知的障害者に対する社会の支援も必要ではないか、という問題提起も父親の口から語られます。社会全体でサポートがいまだ十分に行き届いていない、と言うのは簡単ですが解決するのはまだ難しいように感じます。それでもこうした作品に触れるだけでも、福祉の問題について考えるいいきっかけとなるのではないでしょうか。


monkey01

最後までお読みいただき、ありがとうございました!「こうした方がもっと読み手に伝わるよ」など、いろいろアドバイスいただけると嬉しいです!!