映画感想「グエムル-漢江の怪物-」
まるで韓国版ゴジラを観てるようでした。
韓国で爆発的なヒットを記録した、ポン・ジュノ監督(「殺人の追憶」)によるパニック・エンタテインメント大作。ソウルの中心を貫く漢江(ハンガン)の河川敷で、小さな売店を営みながら暮らすパク一家。普段と変わらない日を送っていたパク一家の面々だったが、ある日突然、漢江から飛び出してきた謎の巨大な怪物に娘ヒョンソを奪われてしまう……。主演は「JSA」「殺人の追憶」など韓国を代表する名優となったソン・ガンホ。
(引用:https://eiga.com/movie/1074/)
グエムルとは韓国語で「怪物」という意味。
当初、私は本作をホラー映画だと思っていました。しかしこれはホラー映画では無いことは早々に気づかされます。正直、あまり怖くはないのです、グエムルが。生物学的にはグロテスクで実際目の当たりにしたら震えて動けなくなるでしょうが、ホラー映画にありきたりな、どこから出てくるのか分からない中で突然襲い掛かってくるようなシーンもさほどありませんし、グエムルとの戦闘シーンもそこまで中心的に描かれているわけではありません。どこかに生きているはずの娘をひたすら家族が探す、そのことがメインで描かれています。
ホラーというよりはむしろ本作は、グエムルという怪獣を通した社会批判を描いています。そうした意味で日本のゴジラとの共通性を感じた次第です。
突如現れた謎の生物。冒頭のシーンによって、その生物は在韓米軍がこっそり漢江に垂れ流したホルムアルデヒドによって生まれたことが暗示されています。
日本のゴジラも、太古の昔から生き延びていたのを人類の度重なる水爆実験によって目覚め、襲い掛かります。
どちらにも共通しているのは、人間によって生み出されたものが人間に襲い掛かっている、ということ。扱うテーマはフィクションではなく、現実世界で問題になっている(なった)ものです。
ゴジラの水爆実験は言わずもがなですが、漢江への垂れ流し事件も本当にあったそうです。これは本作をきっかけに初めて知りました。
ゴジラよりは小さいサイズですが、10数年前にも関わらずCGもリアルで肌の質感も、まるでナメクジのようなジメジメヌルヌル感が映像からも分かります。
ホラー映画のようでいてその実、社会風刺を描いた作品というのは、観ていてとても楽しかったです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!「こうした方がもっと読み手に伝わるよ」など、いろいろアドバイスいただけると嬉しいです!!