アステラス製薬(4503) 4Q決算からみる投資戦略
はじめに
今回は、高配当株投資をされている方は、誰もが気になっているであろうアステラス製薬についてみていきます。4月25日に4Q決算が発表されました。結果、予想最終利益30億円に対して、170億円となりました。ここだけ見ると良い決算にみえますが、前期の最終利益は987億円であり、前期比にすると-82.7%です。また、前期と比べると大幅減益ですが4円の増配も発表されました。これは配当性向443%になります。配当利回りは4.91%とかなりの高配当株になりますが、自己資本比率も40%台まで低下しており、医薬品会社特有の売上に対する先行き不透明感は大きいため、自分自身は投資を見送ろうと思っています。
決算後の株価の反応は、最近ずっと売られた影響か+3.51%であり、テクニカル的にみると底打ち感はあります。もしかするとこの辺で反転上昇するかもしれませんが、医薬品会社の株価のボラティリティは高いため投資を行う際は小額ずつにすることをお勧めします。
24年3月期決算
2024年3月期は散々な結果となりましたが、これは眼科領域における治療薬の研究開発を行う米国法人Iveric Bio社の買収が大きく関係しています。約8000億円の買い物ですから大きな影響です。ただ現状、アステラス製薬の主力商品はXTANDIです。XTANDIは全体の売上の約57%を占めています。このまま維持していければ良いのですが、特許が2027年に切れます。特許切れは大幅な売り上げ減につながりますから次の薬を開発しなければなりません。しかし、アステラス製薬のパイプラインは他社と比べると極端に少ないため、売上アップの手段の一つとして、企業を買収しIZERVAYという治療薬を手に入れ主力商品を増やそうとしています。IZERVAYの売上貢献は2026年度を見込んでおり、ピーク時は2000億円~4000億円と予想されています。
今後の決算を確認するうえで重要なのは、XTANDI以外の薬の売上がどれくらい伸びているのか?また、パイプラインは今後増えていくのかです。ただこれは企業側もそうだと思いますが予想は難しく、不確実性が高いため今後も株価のボラティリティは高いのではと考えています。
利回りは4.91%と高配当ですが、PER90倍、PBR1.69倍と指標だけみると、かなりの割高感があります。
ROE(自己資本利益率)は、1.88%です。一般的に8%以上が合格ラインです。ちなみに自己資本利益率とは、自己資本(株主が出資したお金)を利用して、企業がどれくらい効率良くお金を稼いでいるかを示す指標です。かなり値的には低迷していると言えます。指標だけ確認すると投資不適格になります。
配当を増配して大丈夫かもみていきます。自己資本比率は40%台まで低下しています。余剰金は約8000億円ほどあります。1年間に必要な配当金は現水準で約1300億円です。単純計算で6年は配当を出し続けることは出来ますが、これも今後の売上次第といったところでしょうか。また余剰金を全て使い切るといったことは考えにくいので、これから2-3年が勝負ということになりそうです。
テクニカル的には買い時!?
下落トレンドと言わざるを得ないですが、MACDはクロスしそうで、このまま上昇するのであれば、ダブルボトムにもみえます。短期的な上昇は見込めそうな形にみえます。
長期的には、1300円から1400円くらいに節目がありそうです。今回もこの節目で反転しています。万が一1300円を下げる展開になればどこまで下がるか、もはやわかりません。ただ長期的に見れば今が良い買いポイントかもしれません。
まとめ
結論、自身では投資しませんが、利回りは4.9%とかなり高水準であることとテクニカル的にみると長期保有であれば、もしかしたら報われる可能性もあります。ただ医薬品会社はファンダメンタル面で予測しづらいです。投資家は先行き不透明感を嫌いますから、自然とボラティリティは高くなります。他の銘柄でも同様ですが、特にアステラス製薬に投資する際は、くれぐれもリスク範囲内で行うことをお勧めします。
※投資は自己責任となります。
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