Twitterの使い方が極!ロート製薬×刀剣乱舞コラボを解説します[オタク女子マーケ]
ロート製薬が、コンタクト用目薬「ロートCキューブ」とゲーム「刀剣乱舞 -ONLINE-」とのコラボレーションキャンペーン(以下、ロート本丸)を展開しています。12/13より、全国のドラッグストアほかで発売中です。
(プレスリリースより。以下、キャンペーン画像はすべて同様)
刀剣乱舞とは、2020年1月14日にリリース5周年を迎える、日本刀を擬人化したアプリ(ブラウザ版もあり)ゲームです。
※詳しくはこちらをどうぞ。
今回のコラボ目薬は、加州清光、三日月宗近、鶴丸国永の刀剣男士(擬人化した刀剣の総称。刀剣の付喪神という設定です)をモチーフにした全部で3種類。
発売日当日は、「売り切れ」「〇〇ドラッグにあった」などのツイートがタイムラインにあふれていました。現在は、売り切れの店舗にも再度並べられている様子。大きな反響がうかがえますね。
「絶対、中の人に審神者(※)がいるでしょ!」と話題の本キャンペーンのポイントは、大きく2つ。
それは、ターゲットを深く理解したコラボ濃度の高いキャンペーン設計とTwitter活用にあります。
では、それぞれを解説していきましょう。
※審神者(さにわ)・・・ゲームのプレイヤーのこと。刀剣男士から見ると、主。
ポイント①コラボ濃度が高め
1つ目のポイント「ターゲットを深く理解したコラボ濃度の高いキャンペーン設計」についてです。
まずは、キャンペーンサイトにある導入のテキストをご覧ください。
時は令和元年、
瞳の乾燥を目論む「瞳乾燥主義者」によって瞳への攻撃が始まった。
「主の瞳を潤せ!」
特命任務を受けたロート本丸。
この、たった数行が、ファンにめちゃくちゃ刺さりました。
なぜなら、ゲームではプレイヤーのホームを「本丸」と呼び、プレイヤーおよび刀剣男士は、歴史改変を目論む歴史修正主義者と戦っているからです。この設定をベースに、「ロート本丸」「瞳乾燥主義者」とストーリーを設計しているんですね。
新規書き下ろしビジュアルなどがなくても惹きがありますし、商品とコンテンツをつなぐ世界観ができあがっています。
さらに、パッケージや容器などのプロダクトがコラボ仕様であることも重要です。
今回は、目薬が入っているパッケージや目薬の容器もコラボ用に変えています。従来のプロダクトに変更を加えるのは、手間がかかりますし、もし売れ残ったら・・・というリスクもあります。それを乗り越えてのコラボ仕様、ロート本丸の愛と自信を感じますね。
ざっくりとですが、メーカーとコンテンツコラボは4つに分類できます。
ロート本丸は、②と③を掛け合わせたキャンペーンにあたります。ターゲットが絞られている分、ECのみでも対応ができるところを、ドラッグストアなどのリアルな流通で展開しているところも、めちゃポイント高いです。
ECは便利なのですが、あえて「足を使って探す」「買いに行く」という行為が、イベントっぽいですし、何より一般生活者の目に触れることは、自分の好きなものがメジャーになった感もあり、誇らしいもの。ちょっと恥ずかしいけど、嬉しい気持ちがファンの間には生まれるんじゃないかなと思います。
ポイント②お手本のようなTwitter活用
2つ目のポイントは、「Twitterの活用」です。
本キャンペーンは、公式サイトを起点とし、基本のマーケティングコミュニケーションをTwitterで構築しています。
大きな企画として、ロート公式Twitter @eyecare_cpをフォローし、刀剣男士11振りの中からひとりを選び、ツイートを行うと、本キャンペーンのビジュアルポスターを抽選で10名にあたるキャンペーンが行われていました。
一見よくあるTwitterキャンペーンですが、コンテンツの特徴とファンの気持ちをよく考えた設計になっています。
実は刀剣男士って、85振りいるんですね(2019年12月28日現在)。
タニタの刀剣乱舞コラボ万歩計は、すべての刀剣男士を対象としたことで話題になりましたが、だからといって全振りの目薬をつくることは難しいと思います。
しかし、目薬コラボの3振り(加州清光、三日月宗近、鶴丸国永)を、他の刀剣男士に応援させるという形をとることで、他の刀剣男士も登場させています。3振り以外のファンも、参加したくなる仕組みが考えられていました。
(Twitterより)
さらに、ツイートのビジュアルにある11振りのセリフがすべてちがうので、少なくとも11回はツイートするじゃないですか。すると、それだけTwitter内での話題化も盛り上がります。キャンペーンに参加する楽しさと、プロモーションが両立している、いい設計だな〜と思いました。
さらに今回のTwitter活用については、もうひとつ参考にできるポイントがあります。
それは、継続的な話題化をつくれていることです。
Twitterマーケティングがうまくいくメソッドのひとつに、継続的な話題の創出があります。
今回ロート本丸は、12/2に情報を解禁し、12/6にプレスリリースと公式サイトの正式オープン、12/13より発売というスケジュールで動いてきました。
その間、「ロート本丸」のキーワードをYahoo!リアルタイム検索で調べると、次のようにTwitterで話題化されていることがわかります。
Twitter上には情報量が多く、またファンも刀剣乱舞だけを追っているわけではありません。そういった状況に対し、情報発信を分散して継続的に話題化されている状態をつくり、いつもTwitterのタイムラインに情報が流れてくる状態をつくっているのです。
また、発売日の12/13以降は、「買ったよ」の報告ツイートが多く見られます。さらに、3振りのねんどろいど(グッドスマイルカンパニーが出しているかわいい手のひらサイズのフィギュア)と組み合わせた写真などもツイートされ、購入後の話題化もできています。ここまで広がると、今度はターゲット以外にも情報が訴求し、より拡大されていきますね。
メーカー×コンテンツコラボで大切なこと
メーカー×コンテンツコラボは、「使ってもらうきっかけ」以上に、その次の購入につながるエンゲージメントを高めるものだと私は考えます。ターゲットのインサイトをどこまで深く理解し、コミュニケーションに盛り込んでくるかがポイントです。
昨今、コンテンツを活用したコラボが増えてきましたが、いくら該当作品が好きでも、ファンは一方的に消費されることを嫌います。「好きな作品ならお金出すでしょ?」というライトなキャンペーンは、どんなに強いコンテンツでもファンには響きません。
コンテンツとのコラボは、メーカーにとって新規顧客との接点であるはず。コラボをきっかけに商品を知り、気に入って、次にコラボがなくても買い続けてくれることがゴールです。
なので、メーカーにとっても、コラボキャンペーンのみを消費され、継続性が生まれない・・・というのは、もったいないですよね。
「何かをしてもらったら、お返しをしたくなる」という心理現象を、返報性の原理といいます。コラボキャンペーンでは、コンテンツへの愛が深ければ深いほど、ファンは「自分の大好きなものを大切にしてくれた!」とお返しをしたくなります。それが消費や、メーカーへの信頼につながるのです。
というわけで、ロート製薬ありがとー!
最後に、今年担当したメーカー×コンテンツコラボの取材記事をご紹介します。
花王×進撃の巨人、ミズノ×ユーリ!!! on ICE、それぞれのコラボに込められた熱意をぜひ感じてください!