City Sound
今日は暖かかった。
湿度も高く、僕の髪はいつもより巻きがかかっている。
朝起きて、半袖のTシャツを着て、窓を開けて、
机の上のパソコンに向かう。
心地よいぞ。
風が緩やかに吹き込んでくる。
お昼はどうしても外に出たくなり、
近所まで弁当を買いにいった。
部屋に戻り、いざ食べようとすると、
机の上には小さな虫がいたのではね除けた。
あれが今年初めての来客だったかもしれない。
夜は少し肌寒い。
窓を閉めて、机の上のパソコンに向かう。
換気扇と冷蔵庫の機会音が、
うっすらと部屋の中にこもっている。
ふと、空気を入れ替えようと、
窓を開けようと。
外ではクビキリギスがジーーと鳴いていた。
低気圧ですこし痛む頭の中の、
嫌なところを突くような音だった。
けれども、止まって欲しくはなかった。
ヤツが鳴けば鳴くほど、僕はその音に心を委ねるしかなくなる。
お願いだから置いていかないでほしい。
換気扇と冷蔵庫の機会音と、クビキリギスの鳴き声が、
部屋の中でどんよりと佇んでいる。