焦がれる
あれは、今年の春のこと。厳しい寒さを過ぎ、暖かな日差しに身を委ねられる日が増えた頃のこと。2024年3月3日 浦島坂田船ソロフェス2024 武道館公演は行われた。
これをお読みの貴方は武道館に行ったことがあるだろうか?私にとってはソロフェスが初めての武道館だった。そんな私の武道館との思い出を、少し話そうと思う。
──2018年 夏
浦島坂田船は、これまで2回試道館に立っている。1回目は2018年、360°のステージで5周年を記念して行われたLIVEだった。LIVEタイトルは
浦島坂田船 5th Anniversary
~熱♡CHU♡宙♡ 俺SUMMERと、宇CHU♡旅行♡~
おかしいと思っただろうか、私もそう思う。でも私は浦島坂田船のこういう所が好きなのだ。
そんな2018年のLIVEの時、私は小学生だった。横浜に住んでいる私が、crewの友達なんていない私が武道館に行こうなんて無理なのである、とても悔しかったあの日のことはまだまだ忘れられないだろう。
LIVEが終わってから数ヵ月後にあがったダイジェストの映像に映る4人は、人生で見たものの中で1番キラキラと輝いていた。
この時私は決めたのだ、武道館に立つ4人の姿を絶対に見るって。
──2021年 春
浦島坂田船の武道館2回目は2018年から3年経った2021年。コロナが蔓延し始めてから1年経った、2021年3月30日と31日の2日間だった。タイトルは
浦島坂田船 Spring Tour 2021 花(HANA)〜桜花再凛〜
だった。2020年にやるはずだった「花(HANA)」をもう今度こそ というテーマ、そして武道館という会場名を見て飛び上がって喜んだ。やっと武道館に行けるんだ!と心の底からの嬉しい気持ちを胸に、母にその旨を話に行った。
当時の私は中学生。2019年からライブに行くようになって沢山の場所に出向いていたから許可がおりないなんて考えもしなかった。
だがその予想とは大きく外れ、あの日言われた言葉は「行かないでくれ」だった。半キャパとはいえ人が沢山集まる場所に、コロナで世間がまだまだ騒いでいる中、中学生の娘が1人でLIVEに行こうとしている…止めたくもなる。
だが、子供だった私はそんな親心など理解出来ず両親の意見を無視して応募をしていた。今思えば、だいぶ頭の悪い行動だと思う。
結界は、惨敗!そりゃあ、そうだ。2018年のLIVEだって360°で行った浦島坂田船が通常ステージ構成で且つ半キャパ…そんなの当たるわけが無い!
というわけで、2回目の武道館も行けなかったのである。あの時の悔しい気持ちもまだまだ心と頭に居座って離れてくれない。
──2024年 春
そして来たる2024年、ソロフェス。ソロフェスは最初、ガーデンシアターの2Daysのみの子定だった。追加公演として発表されたのが武道館だった。ガーデンシアターの1次応募が終わり、ソロフェスに行けないのではないかと不安を抱えていた時に発表された武道館に心から喜んだ。
やっと、やっと、あの場所に立つ浦島坂田船が見られる!!
当たらないのでは?という不安は考えないようにしていた。だって、こんなにも武道館という場所に思いを馳せていたのだから。そんな自分が当たらないで誰が当たるというのだ、と発表された当時は本気で思っていた。
1次当落で落選した時は、心歳が痛くなったが、無事2次で当選した私は、待ちにまった武遊館という地に、心を踊らせていた。
そして向かえた当日、天気は晴れ。少し肌寒いくらいの、3月らしい天気。
会場に着いた私の胸の高鳴りは人生でも片手に入るほどだった。
武道館と書かれた看板の下にある浦島坂田船ソロフェスの文字を見た時、あぁついに、来れたんだ…という感動が確かにそこにあった。
泣きそうになる気持ちを抑え込み、中に入って最初に思ったことは「ん?小さくないか?」だった。これがすごく失礼な発言であることは、すごくよく分かっている。決して小さいわけがないのだ。
これまで見てきた会場が、大きすぎたのだ。画面越しに決意したあの日から6年、悔しさで涙したあの日から3年…。浦島坂田船が見せてくれた最色は、あまりにも壮大すぎたのだ。自分の焦がれた場所はこんなにも好きな人と近かったのかと驚いた。
LIVEが始まって1番最初はうらたさんのターンだった。その時、緑に染まった武道館を見て、びっくりした。近いと感じた、小さいと感じた会場はこんなにも眩しくて綺麗だったのかと。
ペンライトのついていない会場とペンライトのついている会場は、こんなにも印象が違うのかと。あの景色を、あの驚きを私は忘れないだろう。大好きな景色がまた増えた瞬間だった。
そんな光に包まれて、それはもう素敵なキラキラ笑顔で歌い踊るうらたさんは本当にかっこよかった。この人といたから来れた最色なんだ、とより感動を色濃くさせた。
順番が進み、4人のターン…4色に光るペンライトの海も、お互いに目を合わせて歌う4人の姿も、本当に綺麗だった。私が6年間焦がれた場所で見る大好きな人たちの姿は、想像していたよりもずっと綺麗だった。
そんな中はじまった「フレンドシップ」という楽曲。"1人残らず連れていくよ"という歌詞を聞いて、涙止まらなかった。
武道館という場所に連れてきてくれてありがとう。
浦島坂田船とじゃなきゃ見れなかった景色を見せてくれてありがとう。
ああ、大好きな場所がまた増えてしまった。
あの時間を、空間を、私は絶対に忘れない。
武道館に立つ浦島坂田船を見るという目標は達成してしまったが代わりに見たいものが沢山増えた。その話はまた今度しようと思う。
彼らの航海は続いていく。私の航海も、もちろん一緒に。
これからも、いっぱい冒険していこう。
彼らが紡ぐ絶対忘れない物語の1部でいるために。
紅茶風味のふにゅ