【モネ 連作の情景】 in 上野の森美術館 レポート
上野の森美術館で「モネの連作の情景」展を見てきました。
観覧後、ショップでお気に入りの絵が記載されたポストカードを買おうと思ったら長蛇の列ができていました。
「ショップも美術館の外にあるし、後日行けばいいや!」
と思って後日訪ねたら「当日チケットを持っていないとショップで買い物ができません」と言われて、愕然としました。
よく考えれば、当たり前ですよね。早とちり注意です。
そんなこんなで、ポストカード購入という思い出づくりができなくなったので、ポストカードを買う代わりにこの記事を書いています。笑
「モネ 連作の情景」展とは?
東京・上野の森美術館で行われた展覧会です。
会期は2023年10月20日~2024年1月28日で、2024年2月10日には大阪中之島美術館に巡回するようです(一部作品も異なります)。
会場イメージ
実際の会場内のイメージを詳しく知りたい方は、下記の記事から御覧ください。 TOKYO ART BEATの記事:
「モネ 連作の情景」(上野の森美術館)レポート。日本初公開作を含む代表作で「連作」の歩みをたどる100%モネの展覧会
また、当日のパンフレットはネットでも閲覧できます。
パンフレットはこちら
実際行ってみてどうだった?
印象派が好きな人やモネが好きな人にはぜひぜひ行ってほしい展示会でした。満足度10点中10点満点です。
私は普段、美術展を鑑賞するときに「この区画で一番心を動かされた絵はなにか?」という問いを常にもって美術鑑賞しています。で、いつもなら複数の画家の絵が展示されているので、画家フィルターですぐに絞り込めるんですよね。
今回はモネという好きな画家一択しかないので、画家の好き嫌いによるフィルターは機能せず、「テーマ性」「構図」「色使い」「今の自分の状態」などなど、自分の感覚に深くつながらないとなかなか優劣(今この瞬間のMY BEST ART)が決められませんでした。
この味わうプロセスも「良い作品ありすぎて困っちゃうよ〜」という贅沢な感情だったので、冒頭の満足度満点につながっています。
モネが生きた時代
モネの展示作品に入る前に、モネについての周辺知識だけ記載したいと思います。
モネが生きた時代(1840-1926)はどんな時代だったのか。実は、様々な時代的な変化がありました。かいつまんで説明します。
モネの生きた時代の技術変革
カメラの発明
1826年にカメラが発明され、1839年に30分で露光できるカメラが発明されました。これにより写実主義が下火になりました。モネが生まれる直前の出来事です。チューブ型の絵の具の発明
1828年に絵の具をチューブで持ち運ぶ原型ができました。持ち運びが比較的容易になり、戸外制作が可能になります。また、宗教画ではなく社会や世俗、自然を描く潮流が生まれ始めていた背景もあり、戸外制作が盛んになり、これにより画家は実際の自然の中にあふれる光や影に、大きく心を奪われるようになります。鉄道の発達
1832年旅客用の鉄道が作られ、1914年には世界でも有数の鉄道密度まで発達します。これにより、様々な地域への移動が容易になりました。画家たちはキャンバスと絵の具の大荷物を持ち運ぶので、鉄道の発達は大変喜ばれたでしょう。欧州の各地を転遷し、様々な地域で多様な自然を描くようになる画家が増えます。
このような技術革新や、その背景にある「フランス革命による資本主義への変化」「宗教中心から科学中心への世界観の変化」によって、環境はめまぐるしく変わっていき、芸術家の五感に大きな影響を及ぼしました。
このような背景を考えると、伝統美術から近代美術が生まれたのは必然だったのかな、と思います。
その過程で、伝統的な絵画を好む人々に評価されない印象派の画家たちは、自分たちで会社をつくり、自分たちの絵画をきちんと観覧・評価してもらうために1974年に第1回印象派展を開催します。
これが印象派の原点とされていて、2023年現在、150年が経過しようとする今、「モネ 連作の情景」展へのつながっていきます。
余談ですが、「印象派」という言葉は美術評論家が彼らを揶揄して使った言葉です。そのきっかけはモネの1972年作の「印象・日の出」という作品タイトルから引用されています。
モネが滞在した場所
モネが転遷した主要な地域は下記のとおりです。
様々な情景に魅せられて、西欧を転々としたことがよくわかります。
なお、Giverny(ジベルニー)はモネの家があった場所です。
1858–1871 (仏Paris、英 London、蘭 Amsterdam)
1872–1878 (仏Argenteuil)
1878–1881 (仏Vétheuil)
1881–1883 (仏Poissy)
1884 (伊Bordighera,)
1884–1888 (仏Giverny)
1888 (仏Antibes)
1888–1898 (仏Giverny)
1899–1904 (英London)
1900–1907 (仏Giverny)
1908 (伊Venice)
1908–1926 (仏Giverny)
モネの生涯
モネは、生涯で2人の妻を持ちますが、現代の日本では考えられないような生活をしています。(不倫相手と一緒に家族と同居)
今回の展覧会でもモネの年表がありましたが、以下の記事を読むと、モネの作品から見えない側面が垣間見えます。
モネの人生に興味がある人は、「ぜひアートめぐるおもち」にある以下の記事をご覧ください。
さて、こんな歴史やモネの動きにも想いを馳せながら実際の展示作品を見ていきましょう。個人的に印象的だったものはコメントも添えています。(素人のコメントなので参考にならないでしょうが笑)
※モネは1840年生まれなので、1870年作の場合、30歳のときに描いた、ということになります。モネの年齢に注目するとリアリティが増して面白いです。
1章 印象派以前のモネ
昼食
グルテ・ファン・ド・シュタート嬢の肖像
桃の入った瓶
サン=タドレスの小屋
ルーヴル河岸
オランダの船、ザーンダム近郊
フォールザーン運河とウェスタヘム島
ザーン川の岸辺の家々
ザーンダムの港
ここまで見ていて、気づくのは、絵画に溶け込むようにモネのサインが書かれている事です。ここから作品を見る度に、モネがどのようにサインを入れているか注目するようになりました。笑
2章 印象派の画家、モネ
花咲くりんごの樹木
橋から見たアルジャントゥイユの泊地
アルジャントゥイユの雪
モネのアトリエ船
クールプヴォワのセーヌ河岸
ヴェトゥイユの教会
ヴェトゥイユの教会
ヴェトゥイユ下流のセーヌ川
ヴェトゥイユ
ヴェトゥイユの春
ラ・ロシュ=ギュイヨンの道
ヴェルノンの教会の眺め
ヴェルノンの眺め
3章 テーマへの集中
海辺の船
プールヴィルの漁網
プールヴィルの断崖
プールヴィルの断崖
プールヴィルの崖、朝
波立つプールヴィルの海
ヴァランジュヴィルの教会とレ・ムーティエの渓谷
ヴァランジュヴィルの漁師小屋
ヴァランジュヴィルの崖のくぼみの道
ヴァランジュヴィル付近の崖の小屋
ラ・マンヌポルト(エトルタ)
エトルタのラ・マンヌポルト
エトルタ
3艘の漁船
ヴェンティミーリアの眺め
モナコ湾、またはモナコの港(夜明け)
ロクブリュヌから見たモンテカルロ、スケッチ
(画像なし)
4章 連作の画家、モネ
雨のベリール
ポール=ドモワの洞窟
ジヴェルニーの積みわら
積みわら
積みわら、雪の効果
クルーズ渓谷、曇り
クルーズ渓谷、日没
ラ・ロシュ=ブロンの村(夕暮れの印象)
国会議事堂、バラ色のシンフォニー
チャリング・クロス橋、テムズ川
ウォータールー橋、曇り
ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ
ウォータールー橋、ロンドン、日没
5章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭
ジヴェルニーの風景、雪の効果
ジヴェルニー付近のリメツの草原
ジヴェルニーの草原
黄昏時の流氷
ジヴェルニー付近のセーヌ川
ジヴェルニーの洪水
芍薬
睡蓮
睡蓮の池の片隅
睡蓮の池
薔薇の中の家
編集後記
どれも良い作品ばかりで、年明けにもう一度行っても良いかもしれませんね!
せっかくなので今回の展覧会でのMY BEST5を選んでみました。
あえて理由は語りません、これがとにかく好き!って感じです。
どの作品があなたの心を動かしたでしょうか?
最後まで通読いただいてありがとうございます。
少しでも参考になったらイイネくださると嬉しいです。
またポストカードを買い損ねたときはレポート記事書きますね。笑
皆さんも印象派の代表的な画家、モネの世界を存分に味わってきてください。