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私とナナミとティコ(好きなもの1)
初対面の人に
趣味は何ですか?
と聞かれたら一瞬迷ってしまう。
どの私でいけばいいんだっけ?と思ってしまうからだ。でも、だいたいはその場の空気とその時の気分で、映画か読書と答える。
今だったらアマゾンプライムで映画をぼちぼち見ているので、とりあえずその話をしておけばだいたいの間は持つ。
けど、本当は、美術館や博物館で本物を自分の目で見ることが好き、ピアノも下手なりに弾く、クラシックの同じ曲をひたすら聴き比べ、建築物を見るためだけに旅行に行ったり興味がある分野の講演を聞きに行ったりもする。
かつてはこれらに加えて、邦楽バンドオタ時代もジャニオタ時代もあったし、2次元にどっぷりつかり、2.5次元と言われる人たちにはまっていたこともあった。
このはまり出したら止まらないオタクになってしまったのは、かれこれもう何十年も前の世界名作劇場、『七つの海のティコ』のせいだ。
主人公の女の子、ナナミは365日お父さんやその仲間たちと船に乗って世界中を冒険していて、友達はシャチ。
そうティコ、とは主人公ではなくシャチの名前なのである。
アニメは毎週楽しみにしていたし、買ってもらった大人向けのキャラクター設定の本をひたすら眺めていた。
物語のダイジェストのページはもちろん、ペペロンチーノ号(今考えるとなんて美味しそうな名前なんだ)という船の中の間取りや、時々出てくる海中に降りることができる丸いボールのようなメカ(このことを書くために調べたらスクイドボールというものだった)の絵を飽きることなくいつまでもいつまでも眺めていた。
おはし箱やハンカチもティコだった。
今でも大事にとってある写真の人形たち。(左からお父さんのスコット、ナナミ、お嬢様のシェリル、ペペロンチーノ号、そしてティコ)
物語の大筋としては、ナナミのお父さんが学者で船に乗って伝説のヒカリクジラを探しているというものだった。
正直なところ、そのあたりの物語の内容はよく覚えていない。
幼稚園児だった当時は、とにかくナナミの暮らしが羨ましかった。
学校にも行かなくて良いうえに、世界中の色々な国に行ける。
首からさげている巻き貝のような笛でティコを呼び、船から海に飛び込んで一緒に泳いで遊ぶ。
なんて自由なのだろう、と幼稚園児ながらに感心していたし、自分もこの暮らしがしたい、いつかする!とカナヅチのくせに思っていた。
シャチを見る機会はなかなか無いため水族館ではちょっと似ているイルカをずっと眺めていた記憶もある。
ちなみにシャチはかなり獰猛で作中でも海のギャングとして恐れられているのだが(ナナミが呼ぶとすぐにティコが来るため他の船が驚く描写があった)、ティコに関しては人間のピンチを救ったり、ナナミが悲しんでいるときは寄り添ってくれたりと、とっても可愛い存在なのだ。ナナミとティコは気持ちが通じているんだ、あの笛さえあれば私もティコと…と思っていたがそういえば笛はグッズとして売られていなかった気がする。
ナナミを取り巻く人たちも面白くて、冒険したくて乗り込んできたお嬢様とその執事とか、海が苦手なのに父親の仕事の関係で船に乗せられている少年とか魅力的なキャラクターばかりだった。
若干ネズミ男的なポジションの船員のおっちゃんが言う「オーキードーキー!」もノリがよくて好きだったし、冷静で寡黙な研究者のお父さんもかっこよかった。
このアニメを今見るとどんなふうに映るんだろうか。
そして一年間「ナナミとティコ」の二人にがっつりはまった私は、翌年「ロミオとピッコロ」にはまっていくのである。
物語の序盤で自宅が燃やされ、煙突掃除屋に売られたイタリアの少年がたくましく成長していくを姿を描いた『ロミオの青い空』のことはまた別の機会に書きたいなと思う。
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