2005年頃の音楽の愛で方を振り返る
好きなバンドの情報を調べようと思えば、調べようと思ったときに、インターネット環境さえ整っていれば何でも調べることができるこの令和。
例えば、あるバンドの公式のSNSがあるとして。
ライブのあとに、さっきのライブの感想がもう読める。
それになんと「いいね」を押すことができる。
さらにはコメントをすることができる。
それどころか、夜何を食べたのか。
今日どんな私服を着ていたのか。
わかってしまうことさえあるのだ。
それってものすごいことだと思う。
それと同時に、当時そんなものがあったら私はSNS漬けの日々を送っていたことだろうと恐怖を感じる。
アジカン公式サイトにあったゴッチのブログページが更新されただけで喜んでいた時代である。
好きなバンドの誰かが撮った写真が、日々更新されるなんて考えただけでめまいがしそうだ。「ダカさんがインスタライブでギター弾いてる」「社長(クボタさん)の撮った写真まじでオシャレ」「たろちゃんの衣装が今日はアンガスヤングじゃない」というようなこと思いながら、現実の生活を維持できる自信がない。高校に行く用の私と、ビークルを追いかける用のの私が必要だ。分身ハンマーで増やした私に高校に行ってもらうしかない。
現実の話に戻そう。
田舎の高校一年生だった私は、偶然、ビークルというキラキラポップなお面バンドに出会った。
当然、まだツイッターもインスタもない。
公式サイトはギリギリあったような気もする。
そんな私が、まず手にするもの。
それはタワレコのフリーペーパーと、ロッキンオンジャパンである。
嘘みたいな本当の話だが、たかだか17年程前の話である(いや、冷静に考えたら結構な昔でした)CDは買わずにフリーペーパーだけをもらいにわざわざJUSCOのタワレコに行っていたぐらいだ。
それぐらいしか情報源がなかった。
あとはCDについてくる曲の解説。特にビークルは、ライターさんではなく、ダカさんが充実した解説を書いていた。洋楽バンドの引用も多くてこれはいったいなんの話なんだろうと思いながらも熟読していた。
ちなみに今では考えられないことだがアルバムをレンタルしたときは、ゲオの近くにあったはんこ屋さんの5円コピーで歌詞カードや解説をコピーしまくっていた。
歌詞カードのコピーをするという発想が今はもうないだろう。そもそもデジタルで音楽を買うのだから歌詞カードもないのだから。
そんな時代が来るなんて、ライブハウスでフライヤーをせっせと集めていたあの頃の私には予想もできなかった。(とりあえず、フライヤーだけを集めてそこから新しいバンドの開拓をしていた)
ライブにも頻繁に行けないので、個人で運用しているサイトのライブレポが頼みの綱だった。
ビークルは下品きわまりないコール&レスポンスとグダグダのMCが持ち味だったのでそれほどライブレポは気にしていなかったが、セットリストが気になっていた。この曲のあとに、まさかのこれー!この流れ、めちゃくちゃ格好いい、これはライブで見たかった、いいなぁ、とMDで聴きながら思っていた。
今の時代の、好きになったらすぐに情報が入るのもいいけど、この頃の必死で情報を得ようとしていた時代も悪くなかったなぁと思う。好きになるにも労力が必要だったのだ。
もう二度と手に入らない、私の(音楽の)青春の1ページのこと。
(ビークルの話をするためにPV集を引っ張り出して見てみたら、思った以上に想いが溢れて全く文章にならなかったため、週末は頑張ってまとめようと思う。)