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ヒカリへ⑥
二階にある俺らの教室に向かってる途中どこからか美しい音色が聴こえた。俺はその音がどこから響いているのかすぐに検討ついた。
ピアノの音を発してる部屋を目指して音楽室のドアを開けた。そこにはピアノを楽しそうに弾いている小さい女の子の背中があった。
「高安さん…」
それは、同じクラスで隣の席の地味な女の子、高安明日歌だとすぐに気づいた。高安さんもこちらに気がついたのか、ピアノの音が消えた。彼女が出す音につい目を閉じて聞き惚れていた俺は音が止まったことで目を開けて彼女の方を見た。彼女は、夕陽に照らされているにもかかわらず、こちらが照れるほど耳を赤くしている。
「ご、ごめんなさい!ピアノの音が聴こえたから、つい…。」
俺は必至に言い訳したが、彼女は何も言わなかった。ただ耳を赤くしながら顔を下に向けている。
「あ、あの!同じクラスの高安さんだよね。凄い…きれい…でした。聴いたことのない曲だったけど感動した。習ってるの?」
と、彼女の緊張しているような背中に話しかけた。だが、彼女は黙ったまま下を見続けている。やっぱりこの子は地味だ。地味な子は嫌いではないけど、わからない。この沈黙をどうしようかと思っていると。
「わ、私が作曲したの…!」
そう彼女が言った。
アロヒ。