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きのこの菌糸がのびてきた

「しいたけの原木持ち帰ります?」

樹液シロップづくりと同じ日、きのこ王子こと高橋久祐さんナビゲートによるきのこワンダーランドへの冒険は、こんな言葉から始まった。

しいたけの原木って、どんなものなのですか? と問うと、「こんな感じですよ」と連れてきてくださったのがこちら。

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どどどぉぉ〜〜〜ん

森林公園内に広がるきのこ園は本当に広大でした。無数の種類のきのこを栽培してらっしゃる久祐さんに見せていただいたのは、これから収穫シーズンを迎えるしいたけ園のごくごく一部。とても広大です。

近づいてみると…。ニョキッ🍄 ちいっちゃい〜〜のも含めて、なんだか愛おしいフォルム。

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さて、集団になるとインパクトがすごいのですが、一本一本の原木は、どう準備するというのでしょうか。

しいたけの植菌方法

まず、木の枝に、一定の間隔をあけて、ドリルで穴を開けます。

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使用するのは、その名も「しいたけドリル」。(驚)
世の中には、知らない専用器具が無数にあるのだな…と知る。

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ドドドドドドドド

ここで種菌の登場。圧巻の1000個入りです。個人では到底使いきれません。

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袋に入っている状態はパンパンに詰まっていて硬いのだけれど、ひとつを取り出してみると、懐かしのロケット鉛筆みたいな形。あるいは銃弾。

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そして先ほど開けた穴に栓をするように種菌で塞ぐ

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ハンマーで叩きながら穴に入れていきます。トントントン

入りました!(写真下部、中央の穴が植菌された状態です)

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ちなみにこの原木は、これから2週間毎日水をやり、ビニールシートなどをかけて置いておき、きのこが顔を出すのは、2年後とのこと。さ、先が長い…!

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冒頭の写真は、植菌から2年経過して、今年収穫を迎えるしいたけさんたち。写真左にある黒い丸が植菌したところですが、しいたけはここから生えるのではなく。菌はその周囲に回って周囲から生え出すそう。ふ・し・ぎ!

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自宅には二の足を踏んでいたのですが、地域おこし協力隊仲間のMさんの畑で預かっていただけることになり。アパート暮らしに持ち帰るのはどうなんだろうと二の足を踏んでいた私の分も、ちゃっかりいただいてしまいました。

園内を歩き、きのこ解像度を上げる

森林公園を全般的に管理されている久祐さん。たくさんお話して情報もくださるものの、不思議と押し付けがましくなく、自然に染み渡ってくるようなこの佇まいは一体なんなのだろう。

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たとえば飲食店ではきのこ料理を注文し、きのこ型の帽子をかぶり、洋服も365日きのこTシャツを着て、日々の活動を「ご胞子活動」と呼ぶ。これは言い得て妙で、実際久祐さんの行動自体は日々胞子をまいていて、ちゃっかり私の中にまで飛んできた結果、今急速にきのこが気になり始めている。
(昨日も思わず飲食店でマッシュルーム料理を注文した)

そして何より、この膨大な量のきのこ園で、きのこが生えやすいように木を動かしたり、水をやったりカバーをかぶせたり収穫したり…。そのほかにも目に見えない作業がきっと果てしなくあるのだろう。

きのこの概念を覆される

私はきのこ弱者であるわけなのだけれど。見て回るうち、きのこの概念が続々と覆されていった。
こちらは、「ツチグリ」というきのこ。つんつんと真ん中をつつくと、シナモンみたいな色をした胞子がぶわっと飛ぶ。

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私たちが「きのこ」と呼ぶものは植物でいうと花にあたる部分で、子実体と呼ばれるそう。撒き散らす粉のようなものが胞子で、その胞子が飛んでいったり水に流され、ときには子実体とともに動物に食べられ糞として出て…などの経緯を経て発芽し、その菌糸からまた子実体としてのきのこが生える。

管理棟の物販スペースには、木でできた素敵な棚があった。「DIYが得意なスタッフが作ってくれました。ちなみにこの黒い部分もきのこなんですよ」と言われて、はっとする。

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「黒くなっている染みをよく見ると青くなっている部分があって、そこがロクショグサレキンです。木材を青く染める力があるので、木材の中に菌糸がいるんですよ」
な、なんと……これもきのこなのか…!? と、ロクショグサレキンを調べてみたところ…

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ぴぇ〜〜〜〜〜
想像以上に真っ青……!!
自然が作り出すものって本当に神秘的だし、人間が再現しようと思っても難しいほどに鮮やかで複雑だ。

管理棟脇に可愛い建物があった。
「これ、ゴミ捨て場です。大工さんにお任せで作ってもらったんですが、屋根の歪みもデザインなんですよ」

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この森林公園では、5月の連休明けから手打ちのお蕎麦「外山そば」も食べることができ、夏場はキャンプもできる。園内で行われるイベントも毎回応募者が殺到するとか。

そしてきのこ王子こと高橋久祐さんは、紫波町でも行われたイワテきのこ大祭というイベントの首謀者でもある。大大好評のイベントながら、昨年は奇しくも中止に。今年は開催されるといいなあ。

木の皮で作られたお花があった。なんと美しいのだろう。

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岩手県に引っ越してから、私はなんでこんなことも知らずに生きてきて、いろんな過程を見過ごしながら消費してきたのだろう、と思うことばかり。だけど知らずに死ぬよりは今からでも知っていきたいし、何より今、学んでいくことが楽しい。

私の中のきのこ愛が発芽して、子実体が生えてくるのは、二年後か。はたまたそれ以前か。

盛岡市森林公園
盛岡市街から車で40分程の距離にある、ふれあいと体験の森林公園。名物「外山そば」、キャンプ場、屋根付きバーベキューサイト、木製アスレチックなど設備が充実。そば打ちや自然観察などのイベントも随時開催。
(HPより:http://www.city.morioka.iwate.jp/kurashi/kokyoshisetsu/taiken/1000894.html)

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