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コマ撮りアニメをチェコで教わる

靴とチェコアニメが有名な街、ズリーンに来ました。どういう街だろ?というかたはこちらの記事をどうぞ。

ズリーンの中心地と少し離れたところにある「フィルモヴィー・ウゼル・ズリーン」。こちらは、バチャとフィルムの歴史を学べる博物館と、実際にアニメーションを作っているスタジオや、鼻の長い子豚のキャラクター「ロイズィーク・ピグレット」と遊べる遊び場などさまざまな機能をもつ複合施設。私は今回こちらでアニメーションのワークショップを受けました。

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入り口にあるこのモチーフ。これなんなの…??って思われるかもしれません。さてなんでしょう。てるてる坊主?レストランでお肉食べる10秒前につけるアレ?

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まぁあながち間違いではないのですが。これはチェコアニメの母といわれる「ヘルミーナ・ティールロヴァー」の傑作短篇「ハンカチの結び目」のキャラクターです。言われてみれば結び目!完全にそう!こちらがその結び目です。

「チェコアニメの母」ヘルミーナ・ティールロヴァー

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ヘルミーナ・ティールロヴァーはカレル・ゼマンと同時代にこのズリーンで活躍した女性。

1942年に制作された「アリのフェルダ」はチェコ最初のアニメーション作品とも言われ、彼女は93歳で没するまでのほとんどの時間を、子供向けのアニメーションをつくることに捧げた。

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彼女の制作デスクも再現されている。可愛すぎませんか。

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ズリーンの映像制作の歴史

ここはズリーンの映像制作全般について展示されている。1930年代以降のズリーンは、バチャという会社の評判を聞きつけて、各国やチェコ国内各地からの移住希望者が多く、モチベーションの高い人々が集まっていった。

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無名だった俳優や監督志望の人々が集まる中で、結果としてこの街から多くの有名俳優や監督が生まれることになった。

このスタジオを創設した4名も多くの偉大な功績をあげているが、そのうち2名がオスカーを受賞している。すげい。

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コマ撮りアニメとは?

コマ撮りは、1つ1つ動かして連続写真を撮って繋げることで動いて見えるアニメ。ストップモーション(静止画)アニメとも言いますが、動画を撮るのではなく、静止画の写真を連続的に撮って繋げてつくるアニメ。私が初めて認識したのは「ニャッキ!」というアニメなどでしょうか。モチーフが粘土だったら、クレイアニメとも言われます。

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【フィルモヴィー・ウゼル・ズリーン】のワークショップスペースではセットや道具もさまざまな種類があり、粘土やえんぴつ、レゴや紙細工や人形などを使ってアニメを作ることができる。

今回私が教えてもらったのは、こちらのように、真上にカメラが構えられていて平面図を上から撮影するタイプのセット。

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ちなみに正面から撮るタイプのセットもありました。粘土とかレゴとか人形とか、何かしらの立体物を動かして撮るのにはこちらが良いのかと。

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この時は紙細工でできた車などを動かしてアニメを作ったが、単純な動きながら、ちょっとずつ動かしては撮影し、という地道な作業の連続。しかし横着するとイメージと違うものになってしまう。たとえば車を加速させたかったら、初めは小刻みに動かして撮影していき、後半は段々と幅を広げていくなど。イメージをして絵を動かしていかなければならないのが面白い。

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スタッフの人が親身になってサポートしてくれる。
そしてワークショップののち、このニヒルなラクダの模型をおみやげといただきました。関節で動かせるようになっているので、平面で動かしたり歩かせたりすることができる。

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ワークショップを受けてみたい人は

「フィルモヴィー・ウゼル・ズリーン」(Filmový uzel Zlín)
Filmová 689, 760 01 Zlín
博物館:129 CZK/ワークショップ:199 CZK
博物館+ワークショップ:249 CZK
(基本営業時間は月曜を除く 10:00-17:00)
ワークショップ受講希望の場合は、info@filmovyuzel.cz まで希望日と時間を連絡してください。
https://filmovyuzel.cz/kontakty/

予約含めちょいとハードル高めですが、やってみたい!という気持ちがあればぜひ行ってみてほしい。ズリーンの駅や中心地から少し離れた郊外にあるがバスでアクセス可能。目的地を「Filmový uzel Zlín」にして、所在地や時間にあわせてこちらのアプリで検索すると便利です。バスの時刻表も対応していました。

どうにもウズウズしてしまってアニメをつくった

このときのワークショップがあまりに楽しかったので、自分でもはんこのアニメを作りたい!とうずうずうずうず。その結果、友人有志に協力をあおいではんこアニメをつくることにしました。

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三脚を立てて、真上から1コマ1コマ動かして写真を撮っていきます。

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そしてつくったのがこちら。(できれば音ありでお楽しみください)

モデルになったのは、チェコの『パルドゥビツェ』という街。こちらもまた記事を書きます。チェコやヨーロッパ各地の建物にはよく見られる現象でもあるのですが、一階部分のみ異なる様式で建設し、二階や三階をつくる時代には別の様式で建て増しをするというのが珍しくありません。様式がミックスされた建築物に囲まれた街並みが面白くて、街の一角をはんこで作ってみました。

そしてパルドゥビツェは馬の障害物レースで有名な街。そして近郊のクラドルビ・ナド・ラベムの街では今年、欧州最古の馬飼育場が世界遺産登録されとのこと。

パカラッパカラッと走り抜ける馬は切り絵で作られています。この高度な切り絵はFijixさんにご協力いただきました🐎場所提供と撮影は前田とまきさん。

あるものを使って、手探りでつくる

ないものを理由につくらないのではなく、「あるものを使って、手探りでつくる」。専門技術や知識がなくても苦労しながら新しい技術を生み出したカレル・ゼマン。そしてこの街で共に作り続け、「アニメーションと添い遂げた」と言われているヘルミーナ・ティールロヴァー。それこそ「ハンカチ」など、日常にあふれたものをつかってあんな映像を撮ることができるなんて。特別ではないものを特別にしてしまうような魔法がコマ撮りアニメにはありますね。

そんな人たちが制作した場所が、今でも子供たちやアニメーションを学ぶ人たちの集まる場所となっていて、行こうと思えば誰でも行けてしまうことがすごい。

キッズワークショップの作品たちも素晴らしくて見入ってしまう。作ろうと思えばなんだって作れるんだよなぁ。何かの道を極めるのは本当に本当に難しく、奥深いものではあるけれど、構造が複雑でく、「自分でもできそうだな」といい意味で思わせてくれるものに出会うと、やっぱり作りたくてウズウズしちゃう。

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ズリーンまで、どうやらプラハからも直行バスがあるようです。近郊には、「ルハチョヴィツェ」という温泉街も。こちらについてもまた追って。

ぜひともズリーンと足を伸ばしてほしい街です。(言いたかっただけ)

今回の旅のテーマは、主に「チェコの手仕事と文化にふれる旅」。
工房やギャラリー・博物館などを訪れた記録と合わせて、日本人にとってはあまりなじみのないチェコの地方都市について取りあげて書いていきます。
※情報はすべて2019年10月時点のものです。
今回の旅費宿泊費は一部チェコ政府観光局に負担していただいております。


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あまのさくや / はんことことば
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