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樹液をとって、シロップをつくる

「樹液シロップ、作りに行かない?」

地域おこし協力隊仲間のMさんに誘われ、「??」を頭に浮かべつつ、気づけば「よくわかんないけど行きたいです!!」と即答していた。

体験日の前日は、ここ数日と比べてもぐっと冷え込んでいたけれど、朝はとても気持ちのいい快晴だった。

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しかしその数時間後、夕方からは紫波町でも雪が降っていて、朝、屋根にはうっすら雪が積もっていた。桜が咲き始めた中に舞い散る雪。4月の東京では感じたことのない気候だ。

「盛岡市内でもかなり寒いところだから、これでもかってくらい防寒してきてね」と強調され、上も下もバッチリ冬仕様で備え、紫波町から約1時間のドライブの末、たどり着いたのは「盛岡市外山森林公園」。盛岡市にあるとはいえども、盛岡駅からも車で40分ほど。公園の入り口には「熊出没注意」の看板があり、ちょっとビクビク。熊と共生する場所なのだな、と足を踏み入れてみる。

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冬晴れだったけれど、うすく積もる雪がこの森林公園全体をひときわ美しくしていた。「雪化粧」って、よく言ったもんだなぁ。

この日案内してくださったのは、この森林公園を管理されている高橋久祐(たかはしきゅうすけ)さん。「きのこ王子」の異名を持つ久祐さんは、公園内には広大なきのこ園も管理されており、イワテきのこ大祭実行委員会の代表でもあります。久祐さん、本当すごい人でした…。
一貫してきのこ・きのこ料理を発信されているinstagramはこちら

この日は本当に濃密な体験を三部制で(!!)体験させてもらいました。
前回の宿「はこや」さんに続き、ワークショップの内容が濃すぎます…!
今日はひとまず第一部、メインイベント「樹液シロップ」編。

樹液シロップって何?

樹液シロップ…といわれても、来るまでまったくピンと来ず、一体なんなの?と思ったのですが。
カナダの名産『メープルシロップ』は、カエデからでる樹液を採取して煮詰めたものですよ、といわれ。そうか、メープルシロップって樹液だったのか!!とアホみたいに驚いた。
この森林公園でも同様の方法を適用し、樹液シロップを作っているのです。

そのやり方は、こちら。

まず、木に穴を開け、チューブをさします。

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きのこ帽をかぶったきのこ王子🍄

チューブの先にタンクに繋いでおき、そのままにしておけば樹液が出て来る。2月下旬の採取し始めは一晩でも結構溜まるけれど、4月に入った今は数日間置いておいて、タンクにうっすらたまる、といったところ。

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樹液が採取できるのは、冬の寒い寒い時期が明けて少しずつ芽吹きはじめる頃、2月下旬〜4月くらいまで。春が近づくと、芽吹くために樹木たちが糖分を上げて来るので、その甘い部分の一部をいただくとのこと。森林公園に木がこれだけあるなら、いろんな木にさして行けるしたっぷり取れるのかな〜と私は安易に発想したが、久祐さんはその年に穴を開ける木はあらかじめ定めていて、木の生育に問題がないかどうかを見ながら扱っているそう。ここでも「共生」という言葉を突きつけられたような気がした。

そして、タンクに採取した樹液を煮詰める。ガスでもいいけれど、こちらではじっくりと薪ストーブで。樹液を3リットル3時間煮詰めても、とれるのは50ccのシロップ。時間も手間もかかる樹液シロップは、大量生産できず、こちらでも販売されているわけではない。イベントということで特別に、過去に作られたシロップを試食させていただくことに。カナダで主に使われているのは、一番糖度が高い「サトウカエデ」だが、こちらは「ウリハダカエデ」からとれたシロップ。

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久祐さんが過去につくってきたシロップたちは、採取した時期によって色が変わって、並べるとグラデーションのよう。左端は昨年作ったもので、一部結晶のような、ペースト状になっている。その隣の色が薄い方が採取時期が早いもの。最近採取したものになるにつれ、色が濃くなっています。

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さらに特別に、煮詰める前の樹液を沸かし、コーヒーまで淹れてくれた。

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樹液で淹れたコーヒー。飲んでみると…

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わあ、不思議…。ほんの〜〜り甘い。本当にほんのり、だ。飲んだあとに、後頭部とか耳の後ろから、ふわりと香りがついてくるような感じ。鼻で嗅げる匂いともちょっと違う、放っておくと見逃してしまいそうなくらいほのかな甘さが漂う。これが天然の甘さなのか。

そしていよいよ、樹液シロップ。贅沢にも数種類食べ比べさせていただきました。用意してくださったのは、岩手県民のソウルフード・福田パンの食パン!

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「これがフクダの食パンです」

薪ストーブで熱して。放っておくとすぐ焦げる。アチチチチ。

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とろぉり。

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味は………

う  ま  い  …………!

はちみつとも砂糖とも違う、やはり優しい甘さ。だけど樹液自体よりも煮詰めたことで糖度は増していて、しっかり甘い。なのに優しい。季節はじめに採取した色の薄めな方があっさりとしていて、黒っぽい色になるにつれて黒蜜のようなコクが出ているような感じがした。スタートは若くたくさん取れるけれど、後半は絞り出したような量で、熟成されているような感じか。
昨年つくったというシロップはややどろっとしたペースト状。

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参加した4名に一番人気が高かったのは、昨年仕込みのペースト状シロップ。本当に美味しかったなぁ…………。私は一番最近採取された、黒蜜のような濃さのあるものも好きでした。樹液コーヒーによく合う味。

夏はこの樹液を凍らせて、かき氷を作ることもあるとか………
自然のものを利用した贅沢な食べ物って、本当に本当に美味しいんだな…。

後編の、きのこ編に続きます。

盛岡市森林公園
盛岡市街から車で40分程の距離にある、ふれあいと体験の森林公園。名物「外山そば」、キャンプ場、屋根付きバーベキューサイト、木製アスレチックなど設備が充実。そば打ちや自然観察などのイベントも随時開催。
(HPより:http://www.city.morioka.iwate.jp/kurashi/kokyoshisetsu/taiken/1000894.html)





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