チェコの小さな街へ、チャペック兄弟に会いに行く
チェコの小さな街へ行こう
さて、チェコの旅行記の連載をはじめようと思います。
チェコ共和国は、日本人にとって、馴染みがあるようなないような、いや、ない人にとっては全くない。大好きな人は大好き。そんな国。
だからこそチェコの情報は、探してもなかなか出てこないことも多い。特に小さな街やマイナーな都市について日本語で書いているものは少ない。だからこそ、いざ現地に行こう!と思った人の手助けになるような詳しいお話や、そのほかにも旅先でのエピソードなど含め、イラストとはんこをまじえたエッセイも書いていきます。
……ということで、過去に3回チェコへ旅してきた経験から、ちょっとずつチェコの都市をご紹介。
まずは、「マレー・スヴァトニョヴィツェ」。ってもはやすみません。ここは厳密には「村」でした。わー名前が覚えにくい。
チャペック兄弟の街、マレー・スヴァトニョヴィツェ
「チャペック兄弟」という人たちがいる。この人たちについての紹介は、こちらの記事に書きました。この記事の冒頭文だけ読んでいただいてもざっくりと概要はわかるかと。
私はチャペック兄弟、とりわけ、兄のヨゼフ・チャペックの描く絵が大好きで。そのチャペック兄弟の出身地であり、記念館があるという場所にどうしてもいってみたくて、足をのばしたのだった。
マレー・スヴァトニョヴィツェへの行き方
マレー・スヴァトニョヴィツェまでは、プラハ本駅から約3時間ほど。しかし行き方は意外と難しくない。まずはチェコ版の乗り換え案内サイトで調べてみよう。
ちなみに私は基本的に、この乗り換え案内サイトとGoogleMapを駆使して各地をまわっている。超方向音痴な私がチェコ周遊なぞできているので、この二種の神器(というかスマホ)は必須アイテムだ。
出発地: Praha hl.n.
到着地: Malé Svatoňovice
出発地・到着地はそのままコピペすればOK。ちなみにPrahaと入力するだけで予測変換で出て来るので「Praha hl.n.」=「プラハ本駅」を選択。
もちろん日によって違うが、たとえばこんな電車がでてきた。時間によっては直行でいけるものがあるので、時間の縛りがなければ、画面右の「PREVIOUS」「NEXT」を押してみて、直通する電車を探そう。
まずはプラハ本駅で切符を買う。追い追いまとめていきたいが、とりあえず切符の買い方や電車の乗り方はこちらなどを参考に。
おすすめルート・旅程
マレー・スヴァトニョヴィツェ駅到着
↓移動5分
①チャペック兄弟記念館:1~1.5時間
②高いところから街を眺める&街の散策
Mariánský Sad(マリアーンスキー・サッド):1時間
③手作り感満載のスイーツ・軽食が食べられる ツックラールナ 1時間
(→その後トルトノフヘ移動、がオススメ)
正直、本当に本当にこぢんまりとした街である。この街を訪れる人のほとんどがチャペック兄弟ファンだろう。
チャペック兄弟記念館で1時間、ランチ・お茶などをして1時間、周囲を散歩して1時間。正味3時間あれば十分まわれる規模の街だ。丸一日を過ごすという旅程にするより、マレー・スヴァトニョヴィツェから約20分ほど行った「トルトノフ」という都市とくっつけて観光することをおすすめする。
トルトノフもまた、ちょっと独特な雰囲気を持つ街。こちらはまた追って。
いざ鉄道旅へ
実は私はこの街を2回訪れていて、はじめて訪れたときは直行電車があると知らなかった。乗り換えを含む経路で行ったのだが、なぜか乗り換えた先でまた車掌さんが電車を降りろと促す。チェコ語で言われてもわからないので戸惑いつつひたすら自分の切符を見せる。車掌さんがうんうんと頷き、やさしく導かれた先は…なんとバス。っていうかワゴン。
時間帯のせいなのか、何かしらのトラブルなのかはわからないが、無事目的地にはついた。これはチェコの鉄道ではたまに起こることなのであまり慌てずに、とにかく自分の行きたい場所を周りの人に伝えることが大事。
マレー・スヴァトニョヴィツェ駅。このぼろっと感がたまりません。2回目にこの街を訪れたときはチェコ人のKaterinaさんと一緒。
園芸家の愛した庭たち
チャペック兄弟は園芸をこよなく愛していた。「園芸家12ヶ月」という大好きな本があるが、そこで出てくるイラスト、文章から伝わってくる景色がそのまま目の前に現れる感動ったらない。
ごめんなさい。一般のお宅の庭を隠し撮り…。個人のお宅でこんなにお庭が充実してるってすごすぎるので、思わずはんこにしました。
はじめて行った時は夏だったこともあり、バスに乗った道すがらや、歩きながら色々な家の庭を覗き見た。庭に簡易的なプールがあったところも多かったけれど、いわゆる「子供用」というものを超えた「大人用」もきちんとあったりして面白い。トランポリンが置いてある家もあり、蚊帳みたいなもので覆われていたが、果たして安全なのだろうか?
大声でおすすめするものではないけれど、ここは庭見学が楽しい。
黄色い教会と銅像に思いを馳せて
そしてチャペック兄弟記念館を目指して、さらに歩くと見えてくる黄色い建物…。
黄色い建物は教会。幼きカレル・チャペックは病弱で、母がチャペックの健康を日々祈りに来ていたという。中には入れなかったが、扉から中を覗くことができた。こぢんまりしているが、様々な人に大事にされてきた歴史を感じる雰囲気。
教会の横の建物では、湧き水も汲んで飲むことができる。
そして黄色い教会の手前では、兄弟がお出迎え。
ヨゼフはスケッチブックを持ち、カレルは球根とじょうろを持っている。かなり微笑ましい銅像。
そしてはす向かいに、チャペック兄弟記念館がある。建物自体はちょっと地味だけれど、この看板を参考に。黄色い教会のすぐ向かいなので、迷うことはないはず。
チャペック兄弟記念館
館内は撮影禁止なので、ひとつひとつの作品を目に焼き付ける。解説はすべてチェコ語なのでカレルの作品については理解できないところも多いけれど、ヨゼフの絵やとにかくビジュアルで楽しめる展示も多いのでじっくりみられる。ヨゼフのキュビズムの絵や、イラスト原画などが本当に充実していて、私は個人的には1日いられるくらいなんども眺めたいものばかりだ。
ただし営業時期は5月から10月と限られている。その時期に行く際も念のため連絡をしてみたほうがいいかもしれない。お昼休憩もあるので12時台は入館できないので注意。朝8時からってすごいな。
少し散策して足をのばすなら
黄色い教会の脇には「ダーシェンカカフェ&ピザ」というレストランがある。私は未訪なのだがここでランチを食べることもできる。というかレストランが周囲にほとんどないので選択肢は少ない。
私は小高い丘から街を眺めるのが好きなので、そうKaterinaにリクエストすると、「Mariánský Sad(マリアーンスキー・サッド)」という公園に連れて行ってくれた。教会とダーシェンカカフェの間にある坂道を登っていき、住宅街をくぐり抜けた先に公園がある。
住宅街の民家や学校などもいちいち可愛いので立ち止まってしまったりする。
犬を撮ったら奥からおじさんが出て来てちょっと焦った。
そして登った先。見晴らしも風通しもいいので、季節によってはものすごーーく気持ちいい場所。
ちなみにヨゼフ・チャペックの絵にはよくこの種類の木が出てくるので、そこら中にあって嬉しい。
超ローカルなスイーツのお店へ
チェコの街にはいたるところに「Cukrarna(ツックラールナ)」というスイーツショップがある。プラハや他の都市でもいくつか入ったけれど、中でもここが最高に美味しかった。街のおじいさんとおばあさんが手作りでやっている小さなお店で、中は子供や親子でいっぱいだ。
場所は、マレー・スヴァトニョヴィツェ駅へ戻る方向にあるのでわかりやすい。一応GoogleMapはこの周辺。見渡せばスイーツのお店があるはず。
ほら見るからに甘そう。破壊的に甘いお店も多いのだけれどここのスイーツは手作り感があって、やさしい味だったなぁ。
放課後とかに寄り道したい雰囲気。
みんなでわいわいと食べています。
オープンサンドとカフェラテも注文。
Katerinaとシェアしてちょうどいい。でも本当にマイルドな甘さだった。
駅までの帰り道もチャペック兄弟看板発見。いい色だ…
チャペック兄弟をまだ知らない方でも、足を伸ばしてみると、小さな街をめぐる醍醐味を感じるはず。正味3時間のショートツアー。
のどかなチェコ生活を垣間見ることができるマレー・スヴァトニョヴィツェ。
さて、いざ電車に乗って20分、次の街、トルトノフへ。