ないものねだり
最近、わたしの彼を友人に紹介する機会が続いている。
そのたびに、「なんでその人を選んだ?」
はっきり、釣り合わない、と言われてしまう。
ルックスもファッションも食事も合わない、声が小さい、生活リズムが違う。気が利くわけでもない。わたしはどちらかというと人の中心にいてどちらかというと目立つタイプで、彼ははしっこのほうにいるタイプで目立たないタイプ。
「なにもかも反対にみえる」と言われる。
なにが好き?
数学が得意。そんなのできたって社会では通用しないって?
わたしは数学はできなくてちんぷんかんぷんだけど、彼は共通テストの問題をさらっと解く。わたしが問題の意味すらわからない文章問題をさらっと解いていく。説明されてもわからないけど、数学は発想力がないと解けないということを学んだ。
よく「こいつすごいバカだな」と思うことがけっこうあるけど、そもそも全然違う脳のつくりで全然ちがうだけなのかもしれない。
こだわりがないところ。(本人にはあるみたいだけど)
49歳、このくらいの年齢になるとこだわりが強くがんじがらめな人が多い。自分だってそうだ。
こだわりのある人ほど、めんどくさい。
たとえば、ファッション。おしゃれでも似合ってない人がいる。頑張りすぎていると感じる人もいる。それは人それぞれでいいと思う。けどこだわってるひとには「こうしたら?」とは言いづらい。こだわりがなければある程度は変化をつけていける。
駆け引きしないこと。わき目もふらずに一心にわたしを好きだと、言葉にしなくても伝わってくること。一方的ではあるけれど、そうでもないと50歳前後で恋愛になんて発展しなかっただろうと思う。そのまっすぐな思いは安心感を与えてくれる。そんな彼をみていると自分も素直になれる。
わたしとはまったく違う彼を好きだ。
きっとわたしたちはないものねだりなのだ。