花を食べる
畑の隅に、ビオラの花々を花壇のように植え付けています。小柄で楚々とした花のビオラは、食べられるお花(エディブルフラワー)としても人気です。甘い香りのお花で、その甘味がお花の味でもあります。花びらが程よい大きさのため、苦さや渋さを殆ど感じることなく、お子様でもおいしくいただける(抵抗なくいただける)希少な花の一つです。
お花が好きという方には、お花を食すこと自体に抵抗を感じられることもあるようです。「可哀想」な気がするそうです。私は、あまりにたくさんのお花と日々共生しているためか、その「可哀想」という気持ちはよく理解できないのですが、それだけお花は「可憐」な存在ということなのでしょう。
食材が溢れる世の中で、お花をなぜ食べるのか、そこにどのような意味があるのかと尋ねられることがあります。栄養価を調べると、お花はなかなかの食材です。ただ食材として多く流通していないのは、1つは萎れやすく物流に不向きであることと、もう一つはそもそもあまり美味しくないと思われていることかと思います。(「草」っぽいイメージが強いかと思います。)
私が一番に意識していることは、基本的に食べて「美味しい」花のみを食用のお花として世に送り出したいと考えています。(例えばビオラと同じ仲間のパンジーも食べられますが、花びらが大きいため食べにくいので、私は生産販売していません。)二番には、お花はギフトとして喜ばれる農産物のため、特別感のある料理を提供されるレストランや、素敵な空間や場を提供されている店舗などへ送らせていただいております。
鑑賞用であれ、食用であれ、お花は人の心に寄り添って価値の生まれる農産物だと思います。闇雲に食用花を栽培して販売するのではなく、お花に相応しい行き先がどこなのかを想定して、そこに相応しいお花を育て提案していくことで、理想の需給関係が築かれるように思います。価値のある食用花として重宝されるかと思います。