カサブタになるまで
身体を動かさず、ずっとその場所に座り込む。
言葉も発さずに、ただずっと静かに。
本当に辛い時、そんな事がある。
言葉にしたり、動いたりすると傷口が
大きくなってしまうような気がして、
ただ黙ってその痛みに耐える。
「痛いよ」「助けて」
そう言ってしまえば楽になるのかもしれない。
でもさらに痛みが増す時もある。
さらなる痛みを味わいたくないから、
ただ傷口が広がらないようにじっと耐えていく。
少しずつ身体を動かしたり、言葉を口にできたり
するようになる。
そして、その時に傷口に絆創膏を
あててくれた人たちの存在に気づく。
いつの間にか傷口がカサブタになり、
少しだけ傷跡は残るけど治っている。
傷跡は皮膚が少しだけ硬くなり、
強くなってる。
また同じような怪我をした時、その傷跡を
みて思いだすのだと思う。
自分の力と絆創膏をあててくれた人たちのことを。
そうやって何度も怪我をして、人は生きている。
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