VCR GTA3はなぜ「失敗」したか?
2024年12月12日 10日間に及ぶVCRGTA3が終了した。
結論から言うと非常に面白かった。
少なくとも今年行われたVCRの中では一番だと思うし、それは視聴者数や注目度にも表れていたと思う。
しかし今回のVCRは明らかな失敗と思える部分が多数存在していた。
総括と備忘録としてまとめようと思う。
※以下全ての配信者、出演者様は敬称略
失敗1 大量の鯖落ち
まず一つ目、鯖落ちが多すぎる。本当に開催中1日1回は落ちていたレベルだと思う。
今までのGTA1、GTA2はバグが起因で個人の再起動が迫られたり、犯罪の進行ができないという事がよく起きていたが、今回はサーバーが落ちる事があまりにも多すぎた。
そのほとんどの原因はGTA3から導入された新犯罪だ。
新犯罪の潜水艦はやるだけでサーバーが落ちる状態が最終日まで続いていたし、初回の挑戦ではNPCが200人近く一瞬で沸いてサーバーが落ちた。
序盤のスーパーのファーム組は鯖落ちのロールバックに怯えながらプレーしていたし、終盤ではヘンディーが大事な所で鯖落ちしてしまい犯罪に参加できないまま号泣して終了してしまう事態となった。
メイズバンクもバグりまくりで進行不可になる事が多かったし、犯罪が同時に発生して当然のように鯖落ちした時などは、本当にテストプレイを行ったのかすら疑わしいレベルだった。
その後に大型が申請性になって順番待ちになるのだが、普通テストプレイ時に気づかないのだろうか?
失敗2 サポートと運営の連携不足
サポート間と運営側の連携が取れてない部分も気になった。
犯罪用のアイテムで鍵をかけられるバッグがあるのだが、これは犯罪時にマネーを詰めて「警察に捕まった場合も中身を見られないし取られない」と犯罪サポートが明言していた。
バッグは効果が強力な分制作コストも重めで、これを作るためにギャングは数時間ファームする必要があった。
VanilLaが警察に捕まった際にバッグの存在が初めて露見したが、ここでsasatickがバッグの中身を見ようとしてサポートに問い合わせるという場面があった。
ここのやり取りで「手違いで警察内でカバンを開ける鍵がなかった、本来は開けられる」という警察サポートの回答がされたが、これは「警察に押収されないし警察は中身を確認できない」という犯罪サポートの回答と矛盾している。
結局捕まった場合バッグの中身も押収されるルールとなったが、バッグをすでに作っていた橘ひなののギャングが割を食う事になってしまった。
そもそもサポートが何年もプレイしたGTAに詳しい人ではなく新規の人が中心で、まるで「売りたい人」が配置されているかのような作為を感じてしまった。
サポートが「自我」を出しているのか「神の意思」なのかも区別がつきづらく、現場が混乱してしまう場面も頻繁に目にした。
にじGTAを成功させたしょぼすけが排除されていたのも良く分からない。GTA1でも2でも緩衝材として彼は奮闘していたのに、どうして今回に限っていないのか?
失敗3 偶然の出会いの排除
自分はVCRを視聴する時にギャング、警察、白市民などは問わず気になった配信をはしごするのだが、k4senやstylishnoobの配信を開いた時に「土井ストーリー」というまったく見慣れない単語が頻出しているのが目についた。
調べて見ると土井ストーリーというのはVCRの仕掛け人である土井氏が自分の意のままに配信者を配役し、優遇し自分が見たいものを演出する事を指しているという。
土井氏といえば根っからの配信者好き、配信者愛の持ち主で知られており、自分も配信者のリスナーから"どいーら"の愛称でいつも親しまれている印象だったので、ここまで公な主催者批判には面食らってしまった。
実は今回のVCR GTAのギャング側の参加者の何人かは、予めギャングのコアメンバーが決められていた事を配信上で仄めかしている。
下の動画の4:08:07ごろから葛葉がらいじん達を勧誘する場面があるのだが、ヘンディーが「他3人メンツがいる」と濁して断っている(ここの微妙な緊張感も注目してほしい)
らいじんは知らなかったが実はメンバーが開幕から半数ほど決まっている事が明かされている。
これは序盤のモタツキをなくすためとあるが、ハッキリ言ってガッカリした人は多いんじゃないだろうか。
今まで絡んだ事のない人や話した事のない人、チームを組んだ事がない人と好きな配信者が一緒になってドラマが生まれていくのが醍醐味のはずだが、最初から何人か決まっているのは興ざめすぎる。
最初のメンバー勧誘も醍醐味なのに何故楽しみを奪ってしまうのか?
失敗4 明らかな優遇と冷遇
今回のVCRではあからさまな優遇と冷遇が存在していた。
その事実が顕著に表れたのが中盤に起きてしまったMondoの装甲車問題だ。
上の動画ではMondoがたった一人で警察全員を壊滅させるという凄まじいプレーが行われている(厳密に言うと「装甲車」ではないのだが警察側がほぼ対処不能なレベルの硬さの車なので、以下装甲車と明記する)
これが起きた原因は二つの要因がある。
一つは警察の武装が貧弱で装甲車を抜ける武器が存在しなかった事。これは警察が強くなりすぎてしまうと、ギャングの犯罪成功率が落ちすぎてしまうという配慮からだ。ドライブバイという新要素も対処の困難さに拍車をかけていた。
もう一つはスト鯖どころか「ストグラ」でもMondoは別格の存在で互角に戦える人間は存在しないという事だ。
Mondoはサーバーのバランスを一人で揺るがすレベルの最強プレイヤーで、何度かルールの改正が起きてしまうほどで、ストグラではALLIN警察署襲撃事件という大炎上した事件を引き起こしてしまった。
Mondo率いるALLINによる警察署襲撃開始後にダウンをとられた警官が2時間以上も青空定点配信となってしまい、それが余りにも惨たらしく配信としての是非が問われるという出来事が起きてしまった。
当然ながらこれだけの戦闘能力を持つプレイヤーは、スト鯖では一定の制限を設けるのが暗黙の了解だが、何故か開始2,3日の段階で制限が解除され、橘ひなののギャングに加入している。
これほどのプレイヤーに「我慢してきたから好きにやっていい」というのははっきり言ってどうかと思うが、装甲車で無双しているMondoの配信を見ていて目を疑うような光景を見てしまった。
いったいこれはどういう事だろう?
秩序やルールを制定し、みんなが楽しい配信を目指すのが運営の役目であるはずが、一つのチームと個人の行動を称賛し後押しする事で全体のゲームバランスが壊れる事を推奨してしまっている。
もちろんギャング視点だとMondoが救世主のように映っているが、警察視点を見直すと資金持ちが確保されて決着がついているにも関わらず、警察をキルするためだけにただ無差別に暴れる存在となってしまっていた。
実際これが起きた後の釈迦も「全てがどうでもよくなった」と配信中に発言している。この翌日にサーバー開始前の1時間近く調整会議が開かれ開始が遅延する事となった。
バランスブレイカーとなる存在を運営側が推奨している一方、他のストグラ経験者は職が明らかに制限されてしまいVCR GTA期間中にストグラに帰るという事が起こってしまっていた。
警察に途中加入したストグラ勢のごっちゃんマイキーも、始まる前にギャング禁止の誓約書を書かされ、サーバー終了後に「プレーの制限」の存在について仄めかしたり、警察に加入希望を出していた花芽なずなは申請を拒否されたり、GTA2の反省で「ストグラ」が無双しすぎない配慮がされていたのに、MondoだけがOKになった理由が本当に分からない。これが運営の依怙贔屓でなくて何なのだろうと思ってしまう。
SNSでもMondoのゼントーノがトレンド入りしてしまう事態となった。
ルール改正で装甲車が制限されるまでは、警察側の視点だとMondoを叩くようなコメントが増えていて治安がかなり悪かった。
バランスブレイカーとなるプレイヤーに合わせて調整すると、他のギャングが割を食ってしまうから調整も難しい。
Mondo自身も槍玉に上がってしまってかわいそうだったし、一体誰が得したんだろう?
失敗5 4軍ギャングと半グレ
スーパーマーケットは配信者達が画面に映したり運営と交渉していく過程で改善されていったが、本当の闇は「4軍ギャング」と呼ばれていた名もなきチームと「半グレ」の存在だ。
ギャングの正式名称はBulleyesといい、リーダーのゆきお、Clutch_Fi、花芽なずな、兎咲ミミ、白波らむね、奏手イヅル、でっぴー、ひなん、tttcheekyttt 、月島ごうで構成されているギャングだ。
このギャングは創設される経緯がかなり特殊で、簡単に言うと他の4つのギャングとは違い運営側に予め決められていたギャングではない。
これまでのVCRと同じく自然発生的に生まれたギャングだ。
実はこのギャングは「ストーリー」に存在しないギャングなためか、他のギャングと比べると明らかに不遇だった。
大型犯罪は三日で一度しか挑戦できなかった上に、最終日は先に予約していたにも関わらず何故か挑戦が出来なかった。
下のクリップでは「数字持ち」ではないから忖度がされないと仄めかしている。
Clutch_Fiは配信中「俺たちがやるのは撃たれて奪われる役、それがストーリーだから」と思わず漏らしていた。
下記のクリップは「大型犯罪を運営に何度も問い合わせているのに、何故か大手のギャングが優先されて無視され続け、一度だけできた大型犯罪は警察が一人もこなかった無人犯罪。せめて最終日にやるために予約を取り付けたのに、当日に運営の判断で強制的にスケジュールが消された」という極限状態で発した魂の咆哮だ。
もちろん視聴者数の多い有名配信者がいるギャングの活躍が見たいのは分かるが、ここまで露骨に依怙贔屓するのかと面食らってしまった。
チームメンバーの最終日の配信の序盤は全員目に見えて萎えていてあまりにも気の毒だった。
もう一つの闇と呼ばれていた「半グレ」は大きな犯罪には自力で参加できず、傭兵が解禁になる中盤までゲームから完全に除外されていた。
アキローゼンタールなどが誰にも相手にされないのはかわいそうだからと小型犯罪にも積極的に向かっていたが、ゲームが終盤に近付くと中規模犯罪の対応に忙殺され、それすらなくなってしまった。
誰にも相手にされなくなってしまい、警察に変装して無敵の人となって犯罪を働くLEON代表の悲惨さは見ていられなかった。
どこにも所属できない半グレは基本的に以下の行動しか取る事ができない。
スーパーマーケットに行ったみっちーやギャングに拾われた人間や救急に就職できたわきを、半グレロールプレイを完走したleon代表を除くと、他の半グレプレーヤーは始まってすぐにいなくなってしまった。
それ以外にも、白市民プレーを行うとした乾伸一郎は飲食店の営業を拒否され(店の数も制限されていた)サポートすら配置されてない炭鉱バイトを行い1時間働いて40万の稼ぎだった。ちなみにスーパーと違い金額は最後まで改善されなかった。結局数日でスト鯖を去っている。
副産物として石炭が200個くらい手に入ったが、運営側が使い道を設定しておらずただのゴミだったというおまけ付きで露骨なまでの対応の差が伺えた。
まとめ
自分が賛同ではなくこういった批判よりの記事を書くのはVCR GTAが好きだからだ。
これまでも理屈抜きの人間ドラマや、同じ空間を共有することによる絆や大型犯罪の緊迫した局面を寝る間惜しむくらい楽しんできた。
だが今回のVCR GTAはシステム面の失敗に目をつぶったとしても、欺瞞や嘘が多すぎてそれがあまりにも表面化しすぎてしまっている。
GTA1ではまだルールも曖昧だったため、全員が運営と協議をし続けて丁度良い落としどころを探っていき最終的には納得のいく所に着地できた。
自由度が高いからこそ、皆で楽しい世界を作ろうという意思があった。
だからこそ、未だに参加者の間でも語られ続けるくらい美しい終わり方ができたのだと思う。
GTA3もスーパーマーケット組などは最終的に成功に終わったと思うが、ギャングサイドなどは不完全燃焼な部分が多すぎて、GTA1やGTA2を超えなかったと思う。
多くのリスナーが望んでいるのは「場」の提供なのではないか。
こんなにも面白くて魅力的な配信者が揃っているからこそ、新しい出会いや失敗と成功と混沌を見たいというのが当然じゃないか。
しかし、今回は予めギャングのコアメンバーは半数以上最初に決められ偶然の出会いをできるだけ排除していた。転職しようとすると神に難色を示され実際の自由度は一部の「数字持ち」以外ほとんどなかった。
運営のお気に入りや物語を想定通りに動かしたいという神の意思が透けて見えるから「土井ストーリー」という単語が配信者の間で横行してしまったように見える。
もちろん神の脚本はある程度あっても構わない。
主催として呼びたい人呼んで、見たいものを見るというのは当然の権利だ。
自分だって事前情報でstylishnoobが警察なのはワクワクしたし、GTA1の警察メンバーが大半揃っていたのは嬉しかった。だるまいずごっどがこのためだけに復活して配信してくれるのも嬉しい。問題なのはそれが透けて見えすぎてしまう事だ。
今回のVCR GTAは「ディストピアと近未来」がテーマだったらしい。
スーパーマーケットなどの無限ファームと、神の手によって職と仲間と運命をコントロールされているのが「ディストピアと近未来」という皮肉をみかけたがまさにその通りだと思う(ちなみに近未来要素は空飛ぶ車とタブレットくらいしかなかった、どこが近未来なんだ)
他にもギャング対ギャングだとか、精米機だとか、0から作ったとか、テストプレイ200人だとか、交番とか事前情報と違う部分がいくらなんでも多すぎる。
またVCR GTA3が終了した後に釈迦がコメントと一時間以上ヒートアップして議論していたのも驚いてしまった。
釈迦「嫌なら鯖抜けりゃええやん」
毎回VCR GTAが終わった後の釈迦の感想戦が好きで、ここが楽しかったなあという思い出語りやクリップを見るのが好きなのだが、途中からコメントの雰囲気が不穏になり完全にレスバトルのような様相を呈していた。
楽しかった思い出やクリップ鑑賞会ではなく、最終的に議論になってしまった事がGTA3の失敗を暗に物語ってしまっているように感じた。
釈迦の配信だけでなく、他のいくつかの配信でもテストプレイの不足、大量のバグと鯖落ち、バランス調整の失敗、露骨な依怙贔屓、運営側の介入しすぎなどが原因で不満が出てしまっていた。
そもそもの話をすると、今回は配信者を神の手でコントロールしようとしすぎていた気がする。
まるたけ以外失敗に終わった映画やズズのミュージックフェスなどは優遇されていたが、あきぴよが前日から用意した自転車レースは潰されるなど「運営の意思」が見え隠れしていた。
だが本来のVCRはそんな事をする必要はないはずだ。ファン太のように面白い人は見つかるし、面白い配信者達が勝手にその人の魅力を引き出すのだ。
けんき推薦枠の堀西は「堀西くん」の愛称でスーパーの皆に親しまれて最後は号泣して見せ場を作っていたし、ピザ屋に引き続きアルランディスは「ぎゃるかふぇ」の元締めとして存在感を示していた。夜乃くろむはマスコットのような存在で愛され最後は歌でサーバーを締めくくった。
VCRの度に株が上がる男sasatickは汚職を華麗に裁いてまたしても株を上げたし、葛とおの行く末も注目されていた。
配信者同士のシナジーは相変わらず随所に感じられて面白かったからこそ、不幸な人々が生まれてしまう歪さが浮き彫りになってしまっていた。
極論を言うと炎上したり不幸になってしまう人がたくさん出てしまうくらい杜撰なシステムと設計なら、もう少しVCRの頻度を落としても良いのではないかと思う。
本来「土井さん、いつも楽しいイベントを開いてくれてありがとう!」で埋まる称賛のコメントが皮肉交じりの「土井ストーリー」で埋まる事なんて誰も望んでいないはずだ。
テストプレイをしっかりと行い誰でもすぐに分かるようなバグはなくし、外からも意見を求めて自由な「場」を作る。
鯖落ちは明確な萎え要素なので、落ちるような新犯罪や不安定な大規模犯罪はそもそも入れない。
今回何故か排除されていたが、にじGTAを成功させたしょぼすけもアドバイザーとサポートとしてしっかり使う。
記者としてのRPを確立していたぐちつぼや、ホットドッグ屋を開いていた乾伸一郎などの白市民が少なすぎるのも寂しいので、白市民のロールプレイは縛らずに自由にやらせる。
「嫌ならやめろ」というが「嫌だからみんなやめて失敗した」のがVCRマインクラフトだ。
人がいなくなればストリーマーサーバーは成立しなくなってしまう。
天鬼ぷるるですらタバコ屋を開く事を拒否されるサーバーで一体どうしろと言うんだろう?超大手の数字持ちか運が良くないと警察もギャングも救急も入れないから半グレになるしかないのに。
夢野タクシーでみんなを楽しませていたあかりんですら最後の瞬間はいなかった。
個人的に半グレや4軍ギャングのような闇の存在を無かった事にする「火消し」は好きになれない。数字を持っている人間が明らかな優遇と素早いサポート対応をされているのが事実だし、数字のない人間はサポートの対応すら無碍にされているのが事実なのだ。
数字関係なくどんな配信者にもファンはいるし、その好きな配信者達が悲しい思いをしてしまうコンテンツなんて欺瞞すぎるじゃないか。
これまで名シーンを生み出してきて、多くの人を夢中にしてきた魅力的なコンテンツだからこそ、原点に立ち返って全ての配信者を大事にしてあげてほしいと思う。
今回の反省を活かしてもっと良いコンテンツを作れると信じている。
次回のVCRも楽しみにしています。
追記 VCR 本当の闇
VCR GTA3の閉会式でログイン時間のランキングが発表され、1位が釈迦だったがこれが運営の不正と忖度で集計されているのではないかと終了後で一部で話題になった。
釈迦は全ての日でログインしていたが、途中で宝鐘マリンのライブに行っていたので3時間ほど開幕にいなかった(ランキングの結果に釈迦自身も疑問に思っていた)
VCR 本当の闇
https://www.twitch.tv/dmf_kyochan/clip/LuckyJazzyYogurtCmonBruh-3z01hoTTzpA3fL5O
別にランキング自体に特に価値はないものだし、この結果自体はどうでも良いものだが今後も「運営の忖度と依怙贔屓」はされる可能性は残るという後味の悪いものとなってしまった。
何で発表したんだろう?