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マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ! 感想 ストーリー面と演出面の難点

11月7日発売の『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』をクリアしましたが、はっきり言ってプレイを続けるのがかなり苦痛なゲームでした。
 

たしかにRPGらしい楽しさはある。グラフィックも良い。サブクエも面白いものが多い。ゲームとしての長所はある。

が、それら良い点が霞むほどに、ストーリーの幼稚さ・思想の強さと、演出の多さ・長さという2点に重大な難を覚えました。

これらが苦痛すぎてプレイを今すぐやめたい、と本気で何度か思ったくらい。
 

それでも何とか50時間程度でクリアまでは漕ぎ着けました。

なので、今回は「自分がブラザーシップのストーリー面と演出面の具体的にどこを難点と感じたのか」を中心に、ゲーム体験の感想を時系列に沿って書こうと思います。
 

そういったテーマですので、あくまで個人の感想ではありますが、今回はゲームに対して非常に否定的な内容になります。

その他の長所や短所についての感想も書いたので、それらの記事についてはこちらからよろしければどうぞ。

 
全編ネタバレあり。ゲームクリア者が読む事を想定して書くので、ゲーム内容の詳しい解説は省きます。未プレイではまるで理解できないという事もないと思いますが。

10000字程度の長めの記事になります。お時間のある時にどうぞ。なお、シリーズの過去作は『マリオ&ルイージRPG3!!!』(2009/DS)のみプレイ済です。


序盤:最初の13時間 ストーリーの幼稚さ、演出の長さを中心に苦痛を覚える

「序盤」はゲーム開始からフォレストン海域、カララフル海域までの内容を指します。

序盤の時点から既に、最初のボス戦までの時間を始めとして、色んな場面で「もうこのゲームやめたい」と思うほどプレイを続けるのが苦痛でした。
 

最初の悪印象はオープニングムービー。マリオが「ルイジ♡」ルイージが「マーリオ♡」だけでほぼ会話する、兄弟仲良しアピールの強いムービーにまず違和感を覚えました。ブラザーシップが副題とはいえ、今作はいきなりこんなホモ臭いノリなのかと。これが令和のマリオかと。

続いてグラングラン島を始めとして繰り広げられる、面白みの薄い世界観・キャラ・シナリオ。かなり子供向けなのかな? と悪い意味で感じるくらい平易で興味の持てない全体ストーリーに、初っ端からだいぶ退屈していました。

ツクローサとかイワガールとかこの時点でも好きなキャラは一部いたけど、それにしても個々のシナリオに起伏が無さすぎる。単調なおつかいシナリオばかり。
 

また、RPGであるにもかかわらずバトルに関しても悪印象。ジャンプならA→B→Aの3操作、ハンマーでもA→Bの2操作というように、1回の行動に複数のボタン操作・相応の演出時間を要求され、かなりテンポが悪い。ザコ戦の楽しさが皆無。

更に、頻繁に敵シンボルとエンカウントする事。加えて、エンカウントしてしまったら敵の長い攻撃演出を敵の数だけ(背後を突かれれば敵の数+1回)見せられ、それに対して回避や反撃をするために毎回毎回アクションを複数操作やらないといけない。

それがあまりにもプレイとして成果に繋がらない無駄な時間の連続で、非常に苦痛でした。

ストーリー進行に伴って要所要所で挟まるルイージセンスも印象が良くない。まず、発動するたびにルイージが悩んだりポーズを決めたりする同じような短くない演出を毎回見せられる。何も操作できない待機時間が長い。

加えて、用意されたギミックの打開をもってルイージに不自然に活躍の場を与えようとする、今作の無理やりなルイージの持ち上げ方にも疑問があります。
 

漂流島をクリアするたびに毎回同じようなムービーが挟まるのも鬱陶しい。

まあ実はムービーはB長押しで飛ばせるんだけど、それは誰も教えてくれないし、アッサム海域に入って自力でそれに気付くまでムービーは毎回じれったく思いながら最後まで見ていました。

それに、どうせ飛ばされるのなら長いムービーなんて初めから入れず、短い演出だけに留めておくべきだと思います。ステージクリア演出なんてカービィダンスくらいの長さでいい。
 

……と、ここまでまだプレイ3時間程度なのに、早くもこれだけの不満が積もり積もってたのですが、その状態で迎えたのが最初のボスのグラゴン戦。

なんだ、この子供っぽい主張は……。

デカい溜め息出ました。ボスのくせにキャラ性が幼稚すぎるだろと。ストーリーの盛り上がるべき場面でこれかと。3時間不満に耐え続けてこれかと。とても大人が感情移入できる内容ではない。このキャラ性に共感できるのは4〜9歳くらいまでだろ、と……。

ボス戦の後のウルーサがグラゴンを制裁するオバチャン最強! みたいなノリのギャグ演出にも心底げんなり。マリオとルイージも白目広げて激しくリアクションしてるけど、そんな過剰にコミカルなノリについていけるほど、まだこのゲームの事好きになれてないから……。

はっきり言って、アニメや漫画なら間違いなくここで切ってます。100%間違いなくです。娯楽作品のはずなのに触れてて苦痛を覚えるなら一刻も早く離れるべき。自分の理性はそう言ってました。
 

それでも発売日までの日にちを数えながら待ってた程度には期待していたゲームだったので、マリオ&ルイージRPGシリーズの記念すべき復活作だったので、やめときゃいいのに執念でプレイ続行。

クリア後にこうして感想を書く事だけをモチベーションにしながらストーリーを進めていきました。
 

だけどフォレストン海域の大灯台島まで進めると、ブラザーアタックが増えたり、コインで新しい装備を買ったらバトルが楽になったり、レベルアップでランクアップボーナスを初めて選んだりと、だんだんRPG的な面白さが結構出てきたように思いました。

「ぼうぐスロット+1」だけ明らか破格の性能では! と思わせてくれるRPG要素が良い

また、ガブンデスとのボス戦も面白い。大ボス戦らしく相応の難度はあるけど、何度も死に続けてたら徐々にアクションを見切って攻略できるようになるゲーム体験が良かった。

そしてフォレストン海域クリア、ここまで5時間。ここに来て意外に評価が上向いてくる。

ストーリーは相変わらず面白くはないし、演出の長さが致命的に足引っ張ってるけど、ゲームとしてはそこまで捨てたものではないかも……。
 

と思い始めた矢先の、カララフル海域のスナバッカ島で出てきた現地キャラがこいつら。

また子供キャラ!? またかぁっ!! しかもコナンの少年探偵団みたいな、これも幼稚な……。
 

今度はこいつらがメインの話になるのか……。なんでこんな精神性の未熟なキャラが中心のストーリーに付き合わないといかんのじゃ……。ハアァ……。と凄まじく辟易。

あんま作品を馬鹿にする意図での子供向けというレッテルは使いたくないんですけど、子供しか共感できないようなキャラがストーリーの中心になる作品は間違いなく子供向けだと思います。ターゲットの年齢層をパッケージにタイトルロゴよりデカく書いといてほしい。

1海域目だけならまだしも2海域目もこれって……。任天堂の作品やマリオって、全年齢向けではあっても低年齢向け特化ではないのが強みじゃなかったか。自分の勝手な思い込みだったのか。騙されたのか……。天高い秋の日に空の青さを仰ぐ。

続いてボルドルド隊も本格登場。でもこいつらも悪役のくせに早々に漫才かましてきて、こっちはいまだにゲームの世界に入り込めてないのに、テンション高いギャグやられてもまったく楽しめない。ひたすら寒い。

悪人ではあるけどコミカルな言動で「憎めない悪役」を演出したい感が非常に露骨。それをやりたいのなら、まずはシリアスな悪役ムーブでキャラを立てつつ、負けが込むと共に徐々にギャグ落ち、という組み立てとかがセオリーでは……。

上のタップーのツッコミみたいなノリが特に違和感のある要素。まだそれほど見慣れてない悪人相手に、お前何でそんな馴れ馴れしいんだ……。

幼稚なキャラ、感情移入できないギャグ要素、すべてについていけない。
 

という感じで、ブラザーシップの事がほとんど好きになれないまま、カララフル海域クリア。

あとサビレッタ島から登場するようになったロボカラスのゴイールも演出が長くて嫌な敵でした。特にメリーゴ島は細い通路で敵を避けられないし、相変わらずエンカウントしたら長い攻撃演出を1戦で複数回強要してくるし……。

スナバッカ島のシャワーウオのターン開始時の演出の長さも苦痛。しかも複数体で登場された日にゃ……。オアシスの周辺はシンボルが密集してる上に、フィールド上で素早く避けづらい動きをしてくるのもヘイトが溜まる。

ただ、ゼニアレバー島の住民のセリフはウィットに富んでて面白かったです。大都会的な世界観も新鮮味のある要素で良い刺激になった。

ゼニアレバー島は謎解き要素も楽しかったですね。低年齢でも解けるようにしてるのは間違いないけど、これは大人では楽しめないというわけじゃないし良かった。
 

だから、ボス戦の楽しさであったり、様々な世界観の街を巡ったりといった、RPGとしての面白さはたしかにある。

だけどメインストーリーがゲームを進めるための牽引力にまったくなっていない。そして、演出の長さの鬱陶しさを思うとプレイする手を止めたくなる。もう5日間も付き合ってるのに、こんな感想なの、やばくない?

ここまで13時間。序盤のブラザーシップはそんな評価でした。

まあ好きになれてないゲームにわざわざ10時間以上も付き合うほうもどうかしてますけどね。まともな人なら遅くとも5時間くらいやって合わないと判断した所で中古ゲーム屋に駆け込んでるでしょう。

中盤:ストーリーへの悪印象は軟化したが、その一方で強くなるテーマの思想描写

「中盤」はアッサム海域、キニオン海域、ナイトコル海域(ゾケット要塞2回目)までの内容を指します。

序盤の段階ではブラザーシップの印象は最悪だったけど、中盤に入ると正直そこまで全体的に悪い印象ではなくなってきました。
 

ストーリーにおいては、序盤と異なり子供キャラが話の中心にならなくなってきたのが良い印象として大きい。

ロウデン&秘書親子やシバレル&アッチーノのカップル、アダップルみたいな、設定だけでも大人のキャラの話になった事で一応の溜飲は下がりました。

キニオン海域ではまたクッパJrとフレンの子供同士の話があったけど、まあどうあがいても子供向けに話書いてるんだろうなと思いつつ、何とか無視できる程度。
 

デンキュー島のシティアドベンチャーは楽しかった。カンダーン島の対立する部族の話も、1回目のシナリオですぐに手を取り合って仲直り、とはならないのも意外で良かったです。

フレイーム島やツルンベール島からはクッパ軍団も介入してきて、ようやくマリオ作品っぽさが出てきたのも好感触。

ここまで来るとゲームに対して好意的な面が出てきて、クッパ軍団やボルドルド隊との漫才も徐々に楽しめるようになってきました。

この綺麗なノリツッコミにはさすがに笑わされた

 
キニオン海域の冒頭では、ゾケット一味とクッパ軍団の交戦という「敵VS敵」の盛り上がるシチュエーションがありつつ、マリオたちが海に落とされて先が読めなくなる展開にワクワク感もありました。

ドグマグマ島における、シリーズお決まりのクッパ城を攻略しにいく展開も良い。なんか急にベタ褒めしてますね。躁鬱かな。

まあそのくらい、ここに来てストーリーへの印象が軟化し始めたのは事実。ようやくゲーム全体として素直に楽しめるようになってきました。
 

序盤で苦痛だった演出の多さ・長さについても、アッサム海域に入ってからムービーを飛ばせる事に気付いて多少快適になったのと、ゲーム進行も中盤になりルイージセンスの発生するギミックの出現頻度が低下してきたのは消極的な評価だけど良かった。

更にこちらはかなり重要な要素なんですが、「シュンソククラウン」というアイテムを装備すれば、敵とエンカウントしてもそこそこの確率でこちらが先に行動できる仕様にここで気付く。更に岩礁を収集して手に入れた「シュンソククラウンDX」であれば、なんとそれが確定に。

このシュンソククラウンシリーズのおかげで敵の攻撃演出を挟まずすぐに逃げる事が出来るようになったので、ゲームのプレイ体験が劇的に改善されたと感じました。

やっぱ敵の攻撃演出が多すぎ・長すぎなのがゲームとして致命的だったんや。そもそもデフォルトでこっちが先に行動できるように設定されてたら一番良かったんや……。

あと、先手を取って逃げる事を意識してマリオのSPEEDも途中から上げ始めてたんですけど、これはどうだったんですかね。SPEED上げれば敵に対して先手を取れるというような効果はあったのか。これはいまだに謎。
 

まあ、こう書くと中盤は良い事ばかりだったようにも思えるんですけど。

その一方で、徐々に増えてきたゼツエン化住民のセリフはかなり引っ掛かる所でもありました。

やたら「孤独」を肯定する内容を言うんですね。独りが一番だの、友達は要らないだの、自分だけが幸せであればいいだの、やけに攻撃的で極端な事ばかりを言う。

そもそもゾケットもよく「孤独」「ゼツエン」と口にしていて、かたや味方側のキャラを用いて描かれるテーマは家族であったり友情であったりと、そういった善悪の対比で「人と人との関わり」を今作は描こうとしているな、というのはこの時点でも感じていました。

つまりは、ブラザーシップのストーリーは「一人で生きる事」を否定する代わりに、「誰かと生きる事」を肯定したいのだと。そういうテーマのストーリーなのだと。
 

だけど……。ゼツエン化住民を用いて、「孤独は悪い事」「他人の気持ちを考えていない自分勝手な生き方」「周囲の目から見れば醜悪に映る」というような露悪的な描写をするのは、あまりにも思想の発露が極端すぎませんか?

たしかに人は一人では生きられないけど、時には一人になる事も必要でしょう。

常に人と関わっていては疲れてしまう。一人だからこそ楽しい事もある。このブログの記事だって一人の空間で集中するのが一番スラスラ書ける。そして一人になる時間があるからこそ、誰かと生きるありがたみも本当の意味で理解できるのだと思います。

それに、作中では「孤独」というネガティブなワードを使っているけど、自分一人の力で生きるという選択肢があるからこそ、自由が生まれ、自立心が育まれ、自己という人格が確固たるものになる。人間とはそういうものではないでしょうか。
 

だけど、ブラザーシップのストーリーはそういう「孤独」の良い面は描いてくれない。

あるとしてもストーリーの裏付けのない表面的なセリフで、数えるほどのわずかな回数のみ言及するだけで、ストーリーとしては「孤独は悪」「絆は善」という事を一貫して描き続ける。他者とあまり関わらない生き方を絶対に肯定しない。そのようなキャラは登場しない。

こういうセリフもあるのは良いが、唐突すぎるしキャラ性に密着したセリフとは言いがたい

 
子供向けに善と悪をわかりやすく誇張して描いているのか? しかし情緒を育んでいる最中の子供に向けた作品を意識するなら、なおさら単一の思想ではなく、様々な考え方・生き方を提示するべきでしょう。

そして子供向けでなくとも、現実の人間にも当てはまる一つの生き方を「間違い」として露悪的に描写するのは果たして正しい行為でしょうか。異なるあり方を否定するための暴力として正義を用いた瞬間、その正義は曇ってしまう。
 

ゼツエン化住民のセリフを通した、このゲームが持つそういった一辺倒で一元的なメッセージ性には、この時点から強い違和感を覚えていました。やっぱり今作のストーリーおかしいんじゃないか、と思い直すほどに。

中盤以降はどの島に行っても一定数の住民が口を揃えて同じ思想を語るのが気味が悪く、そしてその思想が間違いのように極端に描かれているのが非常に苦痛でした。
 

ゲーム的にも、話しかけるたびにネガティブな気持ちになるNPCをここまで大量に配置する意義はあるのでしょうか。

自分はすべてのNPCのセリフをくまなく読むほうだけど、ゼツエン化住民のセリフに関してはツルンベール島あたりで早々に意識して無視するようになってました。

そして、このストーリー側の思想と、自分の姿勢の反目は終盤に入ってより明確なモノになっていきます。
 

終盤:ストーリーの思想の権化ともいえるラスボス、再び鬱陶しくなる演出

「終盤」はボッチアーニ復活から、エンディングまでの内容を指します。
 

ほとんど前段から続く内容です。ここで自分が言いたいのは、まさにボッチアーニというキャラの言動と思想についてです。

先に、ゼツエン化住民を用いて「孤独」を露悪的に描きすぎている、という事を書きました。プレイ済みの人ならわかると思いますが、ラスボスのボッチアーニはそれをより誇張し、醜悪に描写したキャラクターです。
 

それは差し置いて、まずボッチアーニのいかにも相手を苛立たせるような口調。一片の共感の余地もない言動。他人を顧みず、自己の快楽だけを追求した絶対悪。

これだけの要素だけでも正直自分はキャラ描写として嫌いです。やりすぎなんですよ、悪役としての描き方が。

倒すべき相手をことさらにムカつく滑稽な存在として描写して、そいつを殺してハイスッキリ! 悪い奴は無様に口を閉じました! 気持ちよかったですねぇ! 完!! とするシナリオが、非常に安直で刹那的で軽薄で気に入らない。

悪役にも共感できる悲しき過去があればいい、というわけではありませんが。好きではないんです。異なるあり方を一方的に断罪するだけのシナリオは。敵の描写か味方の描写かなんて関係ない。
 

そして、ボッチアーニの思想。もはや語るまでもない。まさにゼツエン化住民と同じような事を言う。

醜悪で幼稚な言葉で孤独を肯定して肯定して、絆を否定するキャラクター性。まさに対比として、「孤独は悪」「絆は善」というテーマを描くためのパーツ。

思想として否定したい考え方の持ち主をラスボスにして、わざとらしく醜悪に、滑稽に、露悪的に描写して、主人公たちに攻撃させる。最後にラスボスは惨めったらしくくたばって、その考え方は否定される。

絆の力が正義で、孤独を肯定する事は悪。作中において孤独を肯定するのは悪人や異常者ばかりで、逆に人と繋がる事は絶対に否定されない。

このゲームが描いていたのはそういう極端なものだと、自分の目には映りました。

いくらなんでも、思想が強すぎませんか。このストーリーは。
 

ボッチアーニの登場の瞬間からこんな思いだったので、もう自分のブラザーシップへのモチベーションは底の底の底でした。

そこまで40時間くらいプレイしてたけど、ボッチアーニの描写がゲームのキャラとか悪役の域を超えて不愉快すぎて、こいつと関わるくらいならもうここで本気でゲームをやめてしまいたかった。

中盤の時点でもゼツエン化住民の言動からテーマ性や思想の強さは感じ取ってましたが、それにしてもあまりにも終盤から登場したボッチアーニの描写は露骨すぎる。

シナリオとしては、急に花が生えてきて住民が頭に快楽物質注入されるような展開は、ショッキングでエグいけどインパクトはあって良いと思います。

ペーパーマリオシリーズにも通じるブラックさというか。まあターゲット層の子供には刺激が強すぎるかもしれませんが。
 

ただ、ボッチアーニ復活後のキズナ集めシナリオはあまりにも冗長すぎる。

まずゲーム進行として、これは演出面の問題にもかかりますが、船島と今まで訪れた漂流島やカケラ島を往復する連続になるから、これまでで一番ロード時間の長さが引っ掛かる流れになる。

ロード時間のせいで何もしない待機時間が長すぎる。繰り返しになりますが、ゲームにおいて何もしない待機時間が長くていいわけがない。

また、「敵の攻撃にやられて大敗北→仲間の力を集めてリベンジ」という展開が、ゾケット要塞(1回目)の後にもやったのに、完全に二番煎じ。それ自体は盛り上がる王道シナリオだとしても、短期間で2回はさすがに飽きる。

キニオン海域冒頭の展開も似たようなものだから、それを含めるなら実に3回目の繰り返し。

それにキズナ集めのシナリオ自体も、短い会話だけでほぼ終わるような内容がいくつかあってイマイチ。

まあここのシナリオが長かったらそれはそれで冗長さが増すだけの結果になるとは思うので、もうこれはストーリー設計段階のミステイクじゃないでしょうか……。

こんな感じで、終盤のストーリー展開には、思想の強さ・シナリオの質の低さの両面から、大いに不満です。
 

また、それだけにとどまらず、演出の多さ・長さについてもここで序盤のような苦痛がぶり返してくる。

まず端緒は、中盤の最後の方の内容だけど、ゾケット要塞(2回目)のマリオとルイージの離ればなれ展開。ここでは「シュンソククラウンDX」が片方のキャラしか使えず、序盤以来のエンカウント後の攻撃演出長すぎ問題に悩まされる事になる。

これを抜けても、シャダーンツリー下層の小部屋のいくつかでまた同じ展開がある。特に1部屋目。狭い通路にシンボルというシンボルが密集している上に、花に触れたら途中の地点から歩いてシンボルを避けながらスタート地点まで戻らないといけない地獄の仕様。

つまりは長い攻撃演出に目をつぶってでも初めからザコを掃討しないと、更なる苦痛に襲われるという苦悶のマップ。心を無にしてザコを1体1体丁寧に討伐し始めたが、およそその体験はゲームといえる代物ではなかった。まさに煉獄の責苦。

もうこの時点で45時間はやってたんですけど、もう何度目かと思うくらい本気でこのゲームをやめたくなりました。
 

終盤のブラザーアタック「ミックストルネード」「オムスビむすび」の演出の長さもやりすぎ。ダメージと引き換えに、1回の攻撃にいったいどれだけのボタン操作、拘束時間を要求するのか。特にオムスビむすびはアクションも難しすぎる。

バトルプラグの「かってにエクセレント」を使えばある程度解決するけど、そういう問題ではないでしょう。ムービーを飛ばせるのはいいとしても、飛ばされるようなムービーを入れるのは無駄すぎるというのと同じ。

ブラザーアタックの演出の長さとしては「スピードボム」「はね〜るメット」あたりが操作してて楽しい限度です。「フラッシュクロック」あたりからボタン操作多すぎ・演出時間長すぎで明らかにおかしくなってきてた。
 

ボッチアーニ復活後、船島のフレームレートが落ちて画面がカクカクするようになるのもマイナス。

ロード時間といい、マシンパワーを超えた設計でプレイヤーに負担をかけないでほしい。これも二度目ですが、娯楽作品であるはずのゲームで不快になってたら本末転倒では。
 

あとこれはストーリー面のせいでもありますが、偽キノコ王国でのイベントで「逆?ブロック」を叩かないといけない回数が多すぎる。 

イベント自体は面白いかもしれないが…

ストーリー中盤のオムスビさま戦といい、なぜ起伏も変化もない同じギミックを何回も何回もやらせるのか……。賽の河原か?
 

総評

という感じでした。文句が多すぎなのは重々承知していますが、それほどまでにストーリー面と演出面の難点が過大だと感じたゲームでした。
 

短くまとめると、ストーリー面は序盤は幼稚すぎ、中盤は良かったがテーマの思想が強くなってきて、終盤はラスボスのキャラのせいで何から何まで不快。

演出面はRPGなのにザコ戦が苦痛なのが致命的欠陥。とにかく味方も敵も攻撃演出が長い。ルイージセンスの存在や、ムービーの長さも着実にマイナス評価を積む要素。

自分の最終セーブデータ、プレイ時間一覧

それでもほぼ50時間やりました。エンディングまで見ました。サブコンテンツもほぼやり尽くしました。その上で評価します。このゲームは0点です。

やらなきゃ良かった。その一言に尽きる。
 

最初の13時間の苦痛さだけでも到底他人に勧めるのは憚られるけど、たしかに面白い中盤やボス戦やサブクエの存在を考慮しても、ストーリーの思想の強さとラスボスの不快さは最悪でした。

ストーリーのテーマが子供向けっぽいから悪いってんじゃないです。結局ストーリー描写そのものの問題です。

似たようなテイストのテーマでも、たとえば『ドラゴンクエストビルダーズ2』(2018/PS4, Switch)は、非常に良いストーリーのゲームだったと感じました。
 

クリアまで50時間かかったというと十分なボリュームがあるように思えますが、サブクエをやってた10時間を差し引いても、演出の長さやロード時間でかなり無駄にプレイ時間を水増しされてるのでこの数字は見せかけです。クソです。

死んだと思われたシリーズの復活というだけで評価も見ずに新作を購入した行為は本当に愚かでした。

同じアクワイア製の『オクトパストラベラー』(2018/Switch)もグラフィックは良いけどザコ戦とストーリーがつまらないという今作と同じプレイ感想だったし、もうアクワイアのゲームは過去作含めてそう簡単には買わないと思います。

監修してるであろう任天堂もこんなのを世に出させるな……。ハード末期のソフト販売スケジュールを埋めるためなら多少の粗製濫造は仕方ないってか?
 

ルイージのバトルでの選択ボタンがBじゃなくてAになってるインターフェースみたいな不満点もあるにはあったんですが、そういった小さい要素が霞んでしまうほど、地獄の50時間と13日間でした。

このゲームをまだプレイしていない人がいるのなら、絶対にオススメはしません。

これをやるくらいなら、その分の時間を睡眠に回すと人生が少し快適になって良いと思います。

以上です。
 

追記: こちらは次に書いた、バトル・RPG部分の感想です。この記事に比べると全体的に肯定的な内容になっているかと思います。

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