【後編】往年の良作の良リマスター。『ペーパーマリオRPG (Switch版)』感想
今年の5月23日に発売したSwitch版『ペーパーマリオRPG』の感想記事です。
一応この記事から読んでも大丈夫ですが、こちらは後編記事なので、まずストーリー全体について感想を書いた前編記事から読んでもらったほうがわかりやすいかと思います。
この記事では、前編記事からの続きでエンディング後のプレイや、バトル、BGM、アート、小ネタについての感想を書いていきたいと思います。
エンディング後のプレイ
仲間たちと再会。クリアデータをロードしても、クリア前に戻らずエンディング後の世界を遊べるゲームは嬉しい。最近のゲームは後者が多いけど、昔はあまり多くはなかった感。
ドジっ子のキノシコワちゃんがグレート・ゴンザレスの選手登録を抹消しちゃったので、エンディング後のウーロン街で改めて再びのチャンピオン返り咲き20連戦。なおエンディング前でも出来るはず。
本編での20連戦は面倒だなぁと思ってたのに何でまたやったのか。半年近く前の事だしもう忘れました。良いエンディングを見せてもらったからご祝儀効果かも。あとはコイン稼ぎついでとか。
更に、エキシビジョンマッチのプリンス・マッシュ戦にも挑戦。ステージ5クリアの段階で解禁されたから一度挑んでたけど、その時はケチョンケチョンに返り討ちにされました。
プリンス・マッシュ戦はSwitch版の追加要素らしいけど、戦闘曲も専用のモノでめちゃくちゃカッコいい。エキシビジョンマッチの戦闘曲だから重苦しい感じはなく、でも全力のぶつかり合いという頂上決戦感。
「ザコキャラ(モチーフ)の裏ボスの専用曲」っていう共通点があるからか、『アンダーテール』(2015)のメガロバニアにも似てるかも。
結局、プリンス・マッシュ戦はスーパーガードを最低1度は決めないとどうにもならないという結論に達したので、大人げなく緊急キノコ10個を搭載して挑戦しました。ふっかつのタネをガン積みして潜るポケダンかな。
結果、緊急キノコ10個中8個を使って辛勝。いやー、めちゃくちゃ戦い応えありました。
どうでもいいけど、プリンス・マッシュは中点を入れて表記しないと「プリン+スマッシュ」に見えるので、中点入れる事を意識してます。
モンテ稼ぎのためにやり込んだ遊戯場のヒコーキモードで距離550達成。
ペーパーモードも結構やったけど、ヒコーキモードでハイスコア狙いながら毎回確実に一定数のモンテ稼ぐのが最高効率かなという結論に。
エンディング後のなかまヒントでノコタロウがやたら勧めてくるので、「100階ダンジョン」にも挑戦。これもエンディング前でもやれると思うけど。
100階ダンジョンは真剣にやって途中で負けたら立ち直れそうになかったので、エンディング後だし噂のHP5マリオを解禁して1周クリア。評判通りのぶっ壊れ性能だった。
でもその補助輪があっても100連戦はかなりの作業プレイでおもんなかった。サブクエラッシュとバトルタワーでプレイ時間稼ぎは良くないね。
Switch版は2周目行くと最後にコブロンとも戦えるらしいけど、そこまではさすがにやる気が起きずプレイ終了。そもそもコブロンしばきたくないし……。ここまでプレイ時間は50時間弱でした。
まあRPGはエンディングまでが面白いかどうかが一番重要だと思ってるので、クリア後のやり込み要素がそこまで面白くないとしても特に気にしてはないんですが。
バトルについて
RPGなんだからバトルについての感想も詳しく書けるはずなんだけど、ぶっちゃけもうプレイ感覚を忘れてきててあまり詳しく書けそうにないので、後回しにしてしまいました。
まずザコ戦に関しては、プレイの最序盤は良かったけど、何回もエンカウントするようになるとハッキリ言って面倒。ザコ戦やる旨味もあまりないし、RPGなのにバトルがシンボルから逃げ切れなかった時の罰ゲームになってるのはどうなのか。
もうちょっとザコ戦を積極的にやりたくなる動機付けと、1戦1戦のテンポの向上が欲しかった。ドラクエなんかはそこめちゃくちゃしっかりしてると思う。
そういうワケでザコ戦での1撃1殺を意識して「ガツントナグーリ」のバッジを複数つけてたかな。よく使ってた仲間は、ものしり役も兼ねた「れんぞくずつき」のクリスチーヌ。他だとデザインが好きなバレル。
「スバヤクカワール」の有用性にはすぐに気付いた。BP7かかるとしても、ターンのロスなしで最適な仲間に入れ替えられるのはアドバンテージ大きい。
ボス戦でよく使ったのはスペシャル技の「ムキムキボディ」。多段攻撃との相性が非常に良いと思います。
RPGなのに攻撃の成否にアクション要素があるゲーム性がかなりクセがあって、それがザコ戦の冗長さにもなってるけど、ボス戦は面白いし、マリオルイージRPGのほうも同じだから、これもシリーズらしさって所でしょうか。まあ冗長さを解決する工夫は欲しいとこですが。
BGMについて
BGMについてはこれまでの記事でだいぶ書いた気がするけど、改めて。
まず通常戦闘曲のアレンジはどれも良いですね。原作では原曲1曲しかなかったらしいけど、通常戦闘曲にいくつものバリエーションがあって、しかもどれも良いアレンジというのはRPGとしてかなりの評価点だと思います。ザコ戦の評価が上記の通りだから、BGMも毎回同じだと飽きてしまうし。
強いて挙げるなら、ゴンババ城・ステージ6・ステージ7(雪原)の通常戦闘曲はかなりお気に入り。特にステージ7の雪原アレンジ。今作の数ある曲でも一番ってくらい好き。ゲーム中で聴く機会がほとんど無いのだけが弱点。
ボス戦では上記の通りプリンス・マッシュ戦の曲が好きです。だけどその他の中ボス戦や、ラスボス戦の曲はあまり印象に残らなかったイメージ。
フィールド曲ならゴロツキタウン、ドラドラ平原、リッチリッチエクスプレス夕方あたりが特に良いですね。
遊戯場のミニゲーム曲もなかなか。今作では原作『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMが至る所でアレンジされてるけど、通常戦闘曲を始めとして何度も聴かせて飽きさせないのもスゴい。
エンディングのスタッフロールの曲も良かったです。自分は原作はやってないからわからないけど、「ナツメーロ」も原作プレイヤーには嬉しい要素ではないでしょうか。
しかしゲームキューブがもう懐メロかぁ……。まあ20年前はもうひと昔というレベルじゃないから当然かもしれないけど。
アートについて
原作のゲームキューブ版のアートは、ペラペラの2Dなのはマリオ達キャラクターだけなんですが、Switch版では背景も含めてペーパークラフト的なアートデザインに変更されているようです。
自分は『ペーパーマリオ スーパーシール』(2012)から始まったペーパーマリオシリーズの紙要素の強調路線が気に入らないので当初はこれもどうかと思ったんですが、別に見た目をペーパークラフトにする事で原作の内容や雰囲気を壊してるワケじゃなかったし、これも良い表現だと思いました。
やっぱりリメイクにせよリマスターにせよ見た目の変化は重要なので。見た目の新鮮味があるかどうかでモチベーションが全然違う。単なる移植ゲームや中古ゲームが、昔好きな作品だったとしても最後まであまりやれたりしないのはこのあたりが原因としてあるのではないかと。
ペーパークラフト風のデザインだけじゃなく、画面の明るさをイメージしてか光の当て方についてもSwitch版では大幅に追加されていて、これが画面の印象の変化に大きく貢献していると感じます。
原作の雰囲気を壊さず、今の時代に求められるモノに合わせる、アート面ではそれが十分になされていたと思いました。
小ネタについて
ペーパーマリオRPGは本筋のストーリーも良いけど、本筋の進行とは関係ない様々な小ネタ要素も豊富。むしろ小ネタこそペーパーマリオの面白さの核の一つ。
ストーリーと小ネタ、この両方が高いレベルでまとまってるからこそ、キャラクターが立ってるとか、世界観が良いという評価に繋がってると感じます。
小ネタに関しては豊富すぎてすべて挙げるとキリが無いので、ジャンルに応じてネタをいくつかピックアップするに留めたいと思います。
ものしり、クリスチーヌ関連
クリスチーヌのエリア解説。全マップに個別のテキストがあるの地味におかしくない? このテキスト量の多さもペーパーマリオRPGのスゴい所。
命知らずのバクダン野郎で草。バトル中ものしりもウィットに富んだ解説が多くて面白い。
あざといクリスチーヌあざとい。
これってもしかしてフィールドに出てる仲間だけがストーリー上でも喋ってくれるのか? と思って試行。まったく同じセリフでもクリスチーヌに言ってもらうほうが良いわけ。
クリスチーヌあざとい。
NPC、モブ関連
こういうルイージいじり要素が一番良いわけ。最近のマリオ作品はルイージいじりが下火って本当? この年代のマリオ作品に最初に触れたからだろうけど、ルイージはいじられてナンボのキャラだと思ってる。
常にマリオ達の先回りをしてくる、ドンパンと旅行大スキ三人娘ほんと草。もうこれ準仲間キャラだろ……。
『マリオストーリー』(2000)の強ザコだと噂のブラックヘイホー。一度戦ってみたい。この演出でブラックヘイホーが出てくるのも何やらSwitch版の追加要素とのこと。関係ないけど自分はマリオカートではヘイホーが持ちキャラ。
こういうストーリーあるモブが色んな所にいるのもペーパーマリオRPGの良い所。
ステージクリアごとに更新される掲示板の表と裏の書き込みが細かい。
本当にプリンス・マッシュほどじゃない(プリンス・マッシュが強すぎるという意味で)からビビるよな……。その設定を裏切らないバトル難度に調整してきたSwitch版は神。いや紙。
ステージ5の進行中。バトルたつじんキノピオもマリオ達と一緒に流されてたのか……。
ピカリーヒルズの噴水にもガジガジ棲んでて草ァ! なんでおんねん!
キノピコお別れ😢 もっといっぱい教えてほしかった😢
シリーズのお馴染みネタ
デアールとか『スーパーペーパーマリオ』(2007)にもいたねー。同じ名前の別人と思うが……。自分はスーパーペーパーマリオしかやった事ないけど、マリオストーリーにもデアール出てくるらしい。
スタッフによるレサレサ自画自賛。エンディング後のピカリーヒルズにもレサレサこっそり出てくる。初期ポケモンのゲーム内のゲームフリークに通じる同人らしいお遊び。
ここに限らず、メタネタが随所に挟まるのも面白い。特にクリスチーヌはメタネタに関してボケにもツッコミにも回るのが忙しい。
トイレネタ、スーパーペーパーマリオにもあったよな。本当好きだな~。
この語呂合わせパスワードネタもスーパーペーパーマリオにもあったぞ……。たしか「41262816 (よいフロにはいろー)」。
スーパーペーパーマリオではステージ2のネタだけど、トイレネタもクイズショーも同時にあるし、あのステージ2にはシリーズの定番ネタが詰まり過ぎてる。
時事ネタ(2004年当時)
LINEとかじゃなくてメールなのが2000年代感。当時はケータイ時代でしたねー。ガラケーとかいう名前がつくのはもっと後のこと。
ゲームボーイアドバンスが懐かしい。こういうのは変に気を利かせてSwitchに変えたりしなくて良い要素。
これフォールガイズじゃん! いや時代的には、その更に元ネタの風雲たけし城とかなのかな?
当時のテキスト担当者は18歳という数字にモノスゴく強い思いを込めてそう。
2004年当時の時事ネタカラス。一応原作のテキストも確認したけど原作のままだった。
エネルギー問題は20年経っても深刻なままだけど、今はもうメガじゃなくてギガやテラを平気でダウンロードしてる時代なんだよなぁ……。将来はペタとかにインフレしてんのか? まあこのセリフも、スマホのアプリの事と考えれば今も通じるかも。
テックって昔のインテリジェントシステムズの協力会社にあった名前らしいけど、関係あるのかな?
その他
フランクリに教えられるよりも先にウルトラハンマーを手に入れていた場合の分岐セリフ。こんな差分がちゃんとあるのか……。
ゴンババ、ブンババ、ゾンババの名前の元ネタってあれだよね、メソポタミア神話の「フンババ」。
ランペルの元ネタは悪魔の名前を当てるのがテーマのグリム童話「ルンペルシュティルツヒェン」らしいし、コルテスはスペインの征服者「エルナン・コルテス」。あとキノシコワとキノシチョフはロシア系の名前がモチーフ。
マリオのゲームとは思えないほど国際色豊かで、元ネタがマイナーでスゴい。普通もっとメジャーな元ネタ選びそうだけど、スゴい知識量だな……。クイズショーとかメタネタとかをかましてるのと同じゲームとは思えない。
全裸ピーチはまずいですよ! 数は少ないけど割と下ネタもあるペーパーマリオRPG。
こっちはもっとストレート。いや、ドンパンはさすがどうかと!
かと思えば、深みのあるコトをモブが言うのもペーパーマリオらしさ。こういうのは大人になって人生の経験を積んだからこそ理解できる。
現状の生活に不自由がないなら、それって意外と恵まれてるんだよ。幸福は他者との比較でしかないってね。だから「足るを知る」が大切。ガツガツ上を目指す競争社会の考え方とは相容れないかもしれないが。
ミスター・ビーンのサブクエ。詩的なセリフ……。
ゲーム総評
長い文章読んでくださってありがとうございました。ここまでで前後編合わせて10000文字くらいですね。大作ゲームの感想をしっかり書こうと思うとめちゃくちゃ長くなってしまう。
それでは前編のストーリー部分に加えて、バトル部分などその他の要素も考慮した総合的な評価に入ります。
まず、全体的にはこれぞペーパーマリオらしさの象徴というか、自分がプレイ前にイメージしていたペーパーマリオのイメージそのものという内容でとても良かったです。ストーリー良し、世界観良し、小ネタ良し。
しかしバトルのテンポを始めとして、やはり全体的にゲームとしてダレる部分もある。20年前のゲームだから当然なのかもしれませんが。様々な追加要素はその緩和にある程度成功していると思うけど、それでもゲームスピードの遅さ、ステージ進行の冗長さがぬぐい切れない印象はある。
あと、もうちょっとボリュームのある追加要素が欲しかった。別に本編がボリューム不足というワケじゃないですが。例えばプリンス・マッシュ戦の追加みたいなのはとても良かったから、こういう要素がもっと欲しかった。
引き合いに近年のリマスター作品を出すと、『星のカービィWiiデラックス』(2023)は、原作『星のカービィWii』(2011)本編部分はさすがに古臭い2Dカービィであまり面白くなかったけど、追加本編「マホロアエピローグ」やサブゲーム集「マホロアランド」などの追加要素の内容は現代の感覚に合わせて設計されていて、追加部分だけでもある程度満足する事ができた。
今作Switch版ペーパーマリオRPGは、リマスターとしては理想に近い出来だけど、正直もうちょっとプラスアルファ要素が欲しかったかなと思います。任天堂的にはリメイクともリマスターとも言ってない今作だけど、そういう点でどちらかというとリマスターかな、と。
だから、一言でいえば「往年の良原作の良リマスター」。そんなゲームでした。
以下、雑談
ともかく、ゲームキューブの『ペーパーマリオRPG』を遊ぶ機会が今になって訪れたのはとても嬉しかったです。期待通りの面白さだった。
3DS時代以降オリキャラ禁止令が下ったペーパーマリオシリーズにおいて、今になってペーパーマリオRPGのリマスターが許されたり、他にもSwitch版『スーパーマリオRPG』(2023)や、『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』(2024)が新たに出たりするのは、もしかしたら次回作のペーパーマリオは今作のようなオリキャラ路線回帰があるのではないかと思わせる展開ではあるので、古いファンとしては期待したいところです。
まあ、自分が『スーパーシール』(2012)以降のペーパーマリオを買ってないのは、ストーリー面じゃなくて紙モチーフの要素を求めてない事が理由なので、あくまでも次回作も紙要素にこだわるのであれば買わないかもしれませんが……。扇風機とか文房具とかハサミとか出てるうちはちょっとね。
ペーパーマリオはインテリジェントシステムズの主力シリーズってワケではないのか、スーパーペーパーマリオを除いて歴代の作品は必ず4年ごとに出てるので、次回作があるなら2028年でしょうか。まあ気の長い話ですが。
という感じでした。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。次はあと1週間ほどに迫ってきた『ブラザーシップ』の発売を待ちたいと思います。
今まで同年に発売する事のなかったペーパーマリオとマリオルイージRPGのソフトが、2024年に初めて同年発売をするのは巡り合わせも感じますね。
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