【出張記録】沖縄 IN MY HEAD Vol.2
1月某日
現時点で好きな食べ物といえば?と言われれば、「ハワイアンカフェのポキランチプレート」、「炙り石垣牛握り」、「タコライス」と数種を即答出来るであろう。
しかし周囲に飲食店が少ない、ホテル住まいなので自炊も出来ずなので例えばこの4種が日替わりで出てきたとしても、ルーティン化してしまったらたちまち飽きてしまうだろう。
昼食は職場に従業員食堂があるので困らないのだが、夕食に関しては別だ。毎日上記の好きなものを食べるのも少しあれだし、、、となると食べられるものはコンビニ弁当となってしまうのであり、実際主張中の8割はコンビニ弁当で済ませていた。
本来なら未知のものを咀嚼し新しい感動を得たいと常々思っている。
33年間生きてきての好きな食べ物トップが「春巻き」というだけあって明日には新しい感覚に目覚めるかもしれない。
では長い間味の指針にしてきている「春巻き」を「ハワイアンカフェのポキランチプレート」が塗り替えるかといえばそうではない。慣れというのは実際心地いいものだ。
そして瞬発力の高い快感が持続するかどうかと云えばそうとも云えない。
好きなアイドルはその瞬間に見るから最高なんだ。だから私は「綾瀬はるか」が好きなのである。
一体何の話をしているんだろう。
とにかく初めて聞いた時からいまだに感動を与え続けてくれる音楽が稀にあって、これはその中の一つであり、単身赴任で落ち込んでいた私を元気付けてくれた一つである。
1月某日
何日か前までいた東京のことを思うと「あれ?どんな服装で過ごしていたのだっけ?」といった感覚に落ちることがある。
沖縄の気候は読み辛く昨日まではTシャツ一枚で過ごせていたのに、陽が陰ってしまった瞬間にたちまち気温は下がり持ってきた名著「三体」とオリオンビールを持ってそそくさと部屋に戻るのである。
そこに徐々に季節の移ろいを感じるクロスフェードという言葉はなくそこにあるのは聴衆を「おっ?」と思わせるカットインが季節を表しているようだ。ここにDJがいたらそれは名演になるのか?と云えばそうではなさそうだ。やはり季節は徐々に移ろいを感じていくのが良い。
部屋に戻る最中にあるのは広がるオーシャンブルーか長く続く国道だけである。
広がる開放的な風景にノスタルジーにひたる、、、といった事はなく実際には無心で家に戻る事のみに私は集中していた。東京にいるときはいろんなことを考えながら家路についているのに。
「嗅覚からの記憶は鮮明」
巷を騒がせた某シンガーソングライターの一説に某ブランドの香水のせいという歌詞があったがまさしくその通りだ。
春先になると17時過ぎでも外は少し明るく、西の空はオレンジ色に染まっている。
「まだ暗くないからもうちょっと遊ぼうよ」
常識的に考えればもう暗いはずなのに友達といつまで遊んでいたら親に怒られないか、それは暗黙の了解であり、その何とも云えない遅くまで遊べるという謎の冒険心が私をドキドキさせた。案の定鬼ごっこをしていると「もう遅いんだから家に入りなさい!〇〇君もお母さんに怒られるわよ!」と出てくる母親。
開いた窓から漂ってくるのは夕食の唐揚げを揚げている匂いである。
「やあお母さん、飯はまだかね?」
「まだだよ、もうちょっと待ってて。」
飯のことなんてそんなに重要なファクターではない私はテレビでやっている忍たま乱太郎を観る。
宿題には手が付かない。では何かを考えているか?と云えばそうでもない。垂れ流されるテレビを観ながら石油ヒーターの前を陣取り手足を温める。喉が乾いたからコーラを飲んでいると友達から電話がかかってくる。
「今日の宿題、何ページだっけ?」
宿題の項目を伝えると明日はどこで何をして遊ぶかと会話が弾む。学校で覚えた歴史の年号の暗唱大会。好きな女の子の話。駄話とコーラに費やす10歳位。匂ってくるのは唐揚げを揚げる香り。得たものと得られなかったもの。
いつだって、その真っ只中にいるときにはそのことの価値には気づけない。
ノスタルジーが柔らかな甘さを伴うのも、あるいはこういう仕組みのせいなのかもしれない。
沖縄には記憶のトリガーがない。しかしもし季節が夏で肌にまとわりつくようなじっとりとした感覚や、熱された外から冷房の効いた部屋に入り氷入りのグラスにサイダーを注いで一気飲みしていたら、もしかしたら夏の記憶のトリガーを引いていたかもしれない。
まあこんなこと考えていること自体いろいろ考えてたってことなんだけどね。
部屋に着いて全ての思考を停止させて夕食のことを考える。そうやってこの記事の冒頭に戻り日々の行いはループしている。それを退屈ととるのか、心地いととるのは自分次第だ。
はしゃぐ練馬のボウフラ、古宇利島にて
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