自衛隊に入るため痩せようとするデブの話 二十日目
その男は酒と食べ物がおりなす口内交響曲が大好きだ。昨日などはビールと揚げたて天ぷらを次から次へと口へ放り込むなどした。冷凍ジョッキに注がれたビールに加えて、揚げたてのしし唐、マイタケ、しいたけ、海老天、はも、豚バラ、しその葉、サーロインなどをそれはもう矢継ぎ早に楽しんだ。noteの投稿を完全に忘れるほど楽しんだのであった。
さて、その男にとり、この気質こそがダイエットの天敵なのだ。その男が好む酒は広範で、ビールも飲むし日本酒もたしなむしウイスキーも傾けるし焼酎も舐めるしワインも空ける。食べものはと言えば食物アレルギーは(おそらく)ひとつもなく米もパンも食べるし、肉は羊どころかワニやカエルまで食べるし、育てられ方がよいので魚もホッケからイワシまで食べられるし魚卵も数の子からイクラ・キャビアまで食べられる。野菜は特に好きで、サラダとして提供されるものはドレッシングなしで食べるのが好きだ。ひるがえって嫌いな食べ物を考えてみたが、いくつかちょっとイヤ程度の食材は出てくるものの本当にイヤな食材なんて、その男が少し考えた程度では出てこないのだった。
そんなわけで、そういう性質のその男はダイエットにとても困っている。今日計ったばかりの数字では体重がなんと2kgも落ちていたが、それでもなお目標体重まであと18kgなのである。モチベーション維持のためにはいまのところ順調じゃんと思い込むほかないのだが、これから年末年始の楽しい楽しい忘年会シーズンが目白押しであることを考えるとまるで楽観視はできない。もはやnoteには書いてもいないが相変わらず身をやつしているバイトをもってしてなおこの程度の体重減である。
『悩ましい、舌が肥えていて食に関しては面倒を辞さない自分が悩ましい。』その男はそんな考え方を半分恥じて半分誇りながらnoteを書き終えた。
その男の今日一日はこんなものであった。