私の価値観を歪めた愛読書 3選
吾輩は猫を被るニンゲンである。名前はぽん乃助という。
山根あきらさんの企画「#愛読書で自己紹介」に、今日は参加してみようと思う。
普段は流行に反発したくなる私だが、企画の面白さについつい釣られてしまった。
私は創作全般が好きで、本だけでなく、映像やアートも雑多に楽しむようなニンゲンだ。
時間がないという社会人の常套の言い訳で、私は本を何度も読むというよりは、一期一会を楽しんでいる。
とはいえ、一度読んだだけで、私の「価値観を変えた」ような本はたくさんあった。
いや、「価値観を変えた」という表現は、大袈裟かもしれない。
「価値観が変わる」ことは世の中で是とされているが、そんなことはない。近年は、「価値観をアップデート」という表現が使われているが、安直に自分を肯定化したいという心理が見え隠れして気に食わない。
良くも悪くもという意味で、「価値観を歪めた」という表現の方が適切だろう。
世間では「自己肯定感を高める」や「他者を論破する」が流行っているけど、私は「自分の心を抉る(えぐる)」ことが幸せにつながるのではないかという逆張り的な考えを持ち、noteでエッセイ等を発信している。
ということで、「自分の心を抉る(えぐる)」ことが幸せにつながるという考えを持ち始めたきっかけになったという意味で、私の「価値観を歪めた」3冊の愛読書を紹介しよう。
◇
①小説『何者』(著:浅井リョウ)
2012年の直木賞作品。「就活」がテーマだと聞き、学生だった私が飛びついて読んだ小説である。
本著者の小説のスタイルには賛否があり、私も正直好きではないけど、「価値観を歪めた」という意味で挙げざるを得ない一冊である。
読者の心を抉ってくるのに、でも何故だか前向きな気持ちになれる。そして、常に不穏さが付き纏い、自然と最後まで読んでしまう。
よくある映画の予告(宣伝)で、「どんでん返し」という胡散臭い売り文句があるが、この小説の売り文句の「どんでん返し」は本物である。
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②ビジネス書『シン・ニホン』(著:安宅和人)
2021年のベストセラー。著者は、経歴が凄すぎてそれだけで作品になりそうな人である。「イシューからはじめよ」の著者でもある。間違いなく私の「価値観を歪めた」1冊である。
日本という国をデータから適切に抉り(えぐり)、その上で、日本に対する希望を論理的かつ創造的に描いている。「日本はオワコン」とbotのように呟くX民とは訳が違う。
ビジネス書とか自己啓発本といえば、「それってあなたの感想ですよね?」的な本が多いけど、この本は全てのページに主張のエビデンスが詰まっている。
「全てのRPGを過去にする」という売り文句のゲームがいつぞやか発売されたけど、この本は「全てのビジネス書を過去にした」と言っても過言ではないと思う。
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③漫画『ちーちゃんはちょっと足りない』(著:阿部共実)
宝島社『このマンガがすごい!』2015年オンナ編第1位&第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作。一冊で完結するのに、「価値観を歪めた」という意味でトラウマ級の劇薬。
明らかに万人にお勧めできないけど、「どの漫画がおすすめ?」と聞かれると真っ先に口から出てしまう。
どんなジャンルかと聞かれれば、「高校生の日常モノ」である。絵柄もシンプルで可愛いくて読みやすい。ただ、好奇心本位で読むと、想像を絶することになる。
「心を抉る(えぐる)」ということに無限の可能性を感じた作品。多くの人に読んで欲しい。ただ一応、現在進行形で精神的に病んでいる方は閲覧注意。
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◇
終わりに、愛読書ということで、一つエピソードを紹介したい。
愛読書は性格が出ると言われており、私もこれには同意だ。そして、その人が「どの本を推すか?」ということにも、性格が垣間見えると思う。
他方、不可思議ではあるが、愛読書の一致度が高い人と関係性が続きやすいかというと、私はそうではなかった。
私の場合、男女の付き合いになるきっかけとして、好きな創作が一致しているということが多かったけど、悉くその関係性は一瞬で崩壊した。
「同族嫌悪」というものがこの世に存在するのだなと、私は思う。
ということで、私のことは嫌いでも、紹介した愛読書のことは嫌いにならないでください。