あなたと越えたい天城越え

初めのうちは『ちょいと遠出』だったが、今ではもう『標準』となってしまった。
ひたすら国道135号線を南下して下田まで何も考えずに走らせる。
『海が見えればOK牧場』と。
道の駅・開国下田みなとへ向かう。
ここまで来たんだからと海の幸を食わずしてどうすると回転ずし屋に入ってみた。
珍しいネタもあって、食べてみたいネタはたくさんあるし、どれもが美味しそうだった。
だが、どういう訳かさほど腹も減ってなかったので、つまむ程度に食して撤収。
『そんな時もあるさ...』と車に乗り込んで撤収。

来た道を戻り、谷津交差点を左折して下佐ヶ野谷津線を通って、国道414号線に合流。
ここからは山を堪能せざるを得ない道になる。
それでも心は軽やかなものだった。
まだまだ沿道には桜の花は残っていて彩のある道だった。
今年は昼間も冷えてる日が多いせいか、花は長く持ち堪えて、いわゆる山間部は恩恵に与ってるようだ。
この道は昼間に走るのが良いなと常々思う。
夜になると街灯が少ないから車のライトだけが頼りだ。
そこへ来て道は曲がりくねり、高低差もあるからオドオドしながら運転する羽目になる。
後続車が来ればどうぞどうぞと道を譲り、トロトロと進めるのは精神衛生上あまりよろしくはない。
初めて通った時はそんな運転をして周囲に迷惑をかけたものだが、今では少しはマシになったのではないかと思う。
河津七滝(かわづななだる)ループ橋という珍しい高架橋を通過。
後日、河津桜の開花時はライトアップした桜を見ることが出来ると聞いて、間の悪さに苦笑するしかない。
それでも、沿道の桜がそれをカバーしてしまうほどの枝振りと咲き具合が見事なものだった。
道の駅の案内板が見えたので立ち寄ることにする。
http://www.cbr.mlit.go.jp/michinoeki/shizuoka/shizuoka07.html
静かな道の駅で、夜は真っ暗になるから車中泊には良い場所。

一休みした後、北上を続けると、『浄蓮の滝』という看板が目につく。
『もしや...あの石川さゆりの歌に出て来る滝のことか..』と過ぎる。
素通りする訳にも行くまいと立ち寄ることに。
そうか、歌詞にある『九十九折り浄蓮の滝』とはそういうことかと独り納得。
そして、滝は華厳の滝のような壮大さやら荘厳さはなくても、何と言ったら良いのかわからぬ雰囲気を出していた。
観光客が近付ける所の壁には天城越えの歌碑があった。
歌詞と譜面が彫られていた。
譜面をキッチリと読める訳じゃないが、『歌うと難しそうだ』というのは察しがついた。
『石川さゆりにしか歌えない曲を』ということで作られた曲らしい。
石川さゆり当人以外にも歌ってたりしてるみたいだが、やっぱり石川さゆりでないとってのはある。
それでも、歌い込み過ぎてるせいか、年々仰々しくなっている感じがしないでもないのは気のせいだろうか。
一番わかりやすい例がYouTubeにあったので参考までに。
坂本冬美の方が、かつて歌い始めた頃に近い感じがする。
そして石川さゆりは全てのツボを心得た上での歌い方。
演歌も『歌い込み』で良くも悪くも変化していくものなのかもしれない。
石川さゆりが歌ったからこそ名曲になった訳で、他の人だったら成立はしないんだろうなと帰ってから動画を見て思う。
https://www.youtube.com/watch?v=jja00RNEB74

天城越えの道はさらに続き、修善寺を抜けて伊豆縦貫自動車道を使って三島、箱根を経由して家路についたロングドライブ。
何か忘れてるなぁと思ったら、温泉に浸かってなかったなぁと思い出した。
毎度のことだが、もうちょっとゆっくりすればいいものをと帰ってから思う。
歌にもあるが、『あなたと越えたい』って思っても、そのあなたが誰かって話もそうだ。

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