With作品解説【番外編】〜展示のポスターを3DCGで作った話〜
展示会『With』を開催しました
2023年9月にメディアアート集団「WONDEMENT」を立ち上げました。
↓下記noteで設立の細かい話をしています。
そして2024年3月23〜24日の2日間に渡ってWONDEMENTとして2回目の展示となる『With』を代官山のギャラリー「UPSTAIRS GALLERY」で開催しました。
本展示では4つの作品を展示し、自分が全体のプロデュースと2つの作品制作に携わっています。
作品解説では展示作品の制作過程を解説していますが、今回はその番外編として本展示『With』のポスター作成について取り上げます。
ポスターを作る
WONDEMENTでは展示ごとにタイトルを設定し、それを元にしたポスターを作成しており、前回の第一回展示『encounter』や今回の『With』は自分がポスターの作成を担当しています。
デザインを考える
展示会名が決まった後にデザイン制作を進めます。
前回は2D的なデザインだったため、当初から3Dっぽいデザインにしたいという考えがありました。
そして「メディアアートと既存のアートのかけ合わせ」
という展示コンセプトから、展示される様々な作品をボールに見立て、そのボールが浮遊しているイメージが浮かびました。
イメージがなんとなく出来たらリファレンスを探します。
こういったデザイン物の制作をする時にはリファレンスを探すのですが、よく使っているのがInstagramとPinterestです。
Instagramは日頃から見ていて気になったデザインを保存しおき、必要な時に見返せる引き出しとして活用しています。
PinterestもInstagramと同じ様な写真共有サービスですが、自ら投稿するというよりもネット上に転がっている様々なデザイン物を検索して見れるといった使い方ができます。
そして色々と検索する中でなんとなくイメージに近い2つの事例をリファレンスとして制作をしていくことにしました。
初めて3DCGを触る
イメージが固まったら実際に制作に入ります。
前回のポスターは2D的なデザインだったこともあり、Illustratorで作成しましたが、今回は3D的なデザインということもあり3Dソフトを使って制作することにしました。
今回利用したのはBlenderです。
"フリーで使えてネットに転がっている情報も多いから"
という理由で選んだのですが、自分自身3DCGをガッツリと触るのは今回が初めてだったので試行錯誤しながらの制作となりました。
やることは空間を作ってボールとテキストを作るだけ
3DCG素人なのでそこまで難しいことは出来ずやったことは単純です。
球体を作ってマテリアルを任意の色で作成し、テキストを打って同じ様に色を付けたうえで押し出して立体化させています。
ただ、その中でもいくつかの工夫があるのでそれを紹介します。
1.カラーを決める
本展示では作品ごとに独自のカラーを決めています。
上記の組み合わせになっていて、それぞれの色が持つ意味合いが作品の内容とリンクしています。
どの色もビビット感のある色ではなくパステルカラーの様な柔らかい色なので、球体の色もこの色または同じ様なパステルカラーベースの色を使ってマテリアルを設定しています。
また、『With』の4文字はこの作品カラーを使用しています。
2.文字を柔らかくする
中央に配置したテキストはこの記事を参考に立体にしていますが、
既存のフォントをベースに少し丸みを帯びさせています。
また、丸みをつけるのは「ベベル」を使っています。
詳細の「ベベル」にある「ラウンド」の値を少しだけ増やして丸みを付けています。
ただ、今回もそうだったのですがフォントによって一部形が崩れてしまうため、そういった場合は数値を調整したり必要があれば手動でポリゴンを触って修正しています。
3.影を調整する
立体感を出すために影を入れていますが、全ての球体に影を入れると他の球体に被ってしまったり、床に落ちる影があまりにも多くなってしまいます。
現実的に正しくするのでなら良いのですが、デザイン的にはいまいちです。
そこで文字と一部の球体は影をオフにしてすっきりとした見た目にしています。
そして完成へ
準備が出来たらカメラアングルを探って必要な解像度分の画質でレンダリングを行います。
ライトは色々と多用していてサイズもA4で印刷することを想定しているのでそこそこ大きなサイズですが、マテリアルや形状が単純なこともあって比較的時間がかからずレンダリングが完了しました。
画像ができたらIllustratorに取り込み、ロゴやその他開催場所、日時などの情報をレイアウトして完成です。
最後に
今回は作品解説の番外編として展示ポスターの制作過程を紹介しました。
3DCGを細かく触るのは初めてだったこともあり色々と勉強しながらの作業になりました。
ただ2Dには出来ない表現が出来ることはとても魅力的なので、作品制作も含め3Dの勉強をして活用したいと思うきっかけにもなっています。
それではまた!