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Hello World作品解説~Tech Synthesizer編③~


展示会『Hello World』を開催しました

自分が代表と務めるメディアアート集団"WONDEMENT"は8月10〜12日の3日間、原宿のデザインフェスタギャラリーで第三回展示となる『Hello World』を開催しました。

本展示ではメイン作品1点とサブの作品2点の合計3点を展示し、自分が全体のプロデュースと2つの作品制作に携わっています。
今回は前回に引き続き、その『Hello World』で展示し、自分が制作に携わったメイン作品『Tech Synthesizer』の作品解説をしていきます。
↓解説第、第一回、第二回はこちら!

↓その他過去の作品についてはこちらにまとめています!

前回までの振り返り

今回も引き続き『Tech Synthesizer』について取り上げます。

この『Tech Synthesizer』は「AI」「Self Portrait」「Music」の3つのモードを選択して体験するインタラクティブコンテンツになっています。
解説第一〜第二回でこれら3つのモードについて解説してきました。

解説ラストとなる今回は、モードを切り替えるために制作したコントロールパネルについてなど、各種モード以外の細かい部分について解説していきます。

モード切替

切り替え機構について

各種のモードと「Self Portraitモード」にある3つのエフェクトの切り替えには下記のような形でCHOPとSwitch TOPを組み合わせた切り替え機構を利用しています。

iPadで起動している"TouchOSC"の情報をMIDI inでTouchDesignerに取り込み、RenameでSwitch TOPが処理できるデータ名に変更、LogicでRadioボタン化しFanで押されたボタンの信号のみと取り出してSwitch TOPに入れ込み切り替える仕組みです。

図解したのはモード切替の部分ですが、エフェクトの切り替えも同様です。
また、MIDI inのノード1つでモード、エフェクト両方の入力を取り込んでいるため、Renameの前にSelectをおいて必要な信号のみを取り出しています。

UI作成〜TouchOSCとEditorについて〜

実際に来場者が操作する端末にはiPadを用いています。
パソコン上の操作だとややこしく、直感的に操作するにはタッチ操作が良いと考え、TouchDesignerとも相性の良いTouchOSCを利用しました。

ちなみにTouchOSCはリリース当初に出ていたアプリの後継が登場しており、最初に出たほうがTouchOSC mk1、最新がTouchOSCというそれぞれ別のアプリになっています。
今回はTouchOSC mk1を使用しています。

TouchOSCにはデフォルトでいくつかのプリセットが入っていますが、必要ないボタンなどがあり使いづらいのでUIを自作しています。

こういった形でプリセットが入っているが用途に合わない

利用したのは「TouchOSC Editor」というPCのソフトです。
Windows、Mac共に提供されています。

TouchOSC mk1の紹介ページ下部にDLリンクがあります。

画面はこんな感じで右クリックするとどんな種類のボタンを配置するか選択でき、大きさや配置、ボタンの色などは自由に設定可能です。

"Label"を配置するとテキストを表示出来るため、このボタンが何のボタンなのかが分かるようにボタン上部にモードの名称などを記載しています。
↓最終的にはこんなUIになっています。

TouchOSC Editorで作成したUIをiPadに送る

UIを作ったらそれをiPadに転送します。

転送はTouchOSC Editorを起動しているPCと送り先のiPadを同じwifiに接続して行います。
TouchOSC Editorの右上にある「Sync」を押して転送可能状態にし、iPadのTouchOSCで「Layout」→「Add」からEDITOR HOSTにIPアドレスを入職して完了すれば転送されます。

※こちらの方は詳しく説明されていて、参考にさせていただきました。

有線で情報を伝達する〜TouchOSC Bridge〜

UIが出来たらTouchOSCからTouchDesignerへ入力データを送る準備をしますが、今回は展示会場にWifiに不安があり、Wifiを使用してのOSC通信以外の方法で転送を行いました。

今回利用したのは"TouchOSC Bridge"を利用した有線接続です。
TouchOSC BridgeはEditorと同じサイトからDL可能です。

TouchOSC Bridgeを起動するとバックグランドで動作します。
USBでPCとiPadを接続するとMIDI経由でTouchDesignerへデータが送られる様になります。

これで完成

WONDEMENTの第三回展示「Hello World」のメイン作品
『Tech Synthesizer』はこういった仕組みで作成していました。

AIなどの新しい要素はありつつも、基本的には今までやってきたことの応用のような仕組みになっています。
ただ、その中でもTouchOSC Bridgeを使った有線での接続や、キャプチャーを組み合わせて2台のPCで分散して処理を行うなど、要素や要求スペックが多くなる中でどう対処するかといった、一見お客さんには見えない部分の工夫できた作品でもあるなと考えています。

これにて全3回に分かれてお届けした第三回展示「Hello World」のメイン作品『Tech Synthesizer』の解説は終了です。

それではまた!

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