お盆明けの政局・菅政権の命運

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まずはこちらのグラフを見てください。2000年代以降の歴代内閣の支持率の推移がまとめられてあります。そしてわかり易すぎる程歴代内閣は2つのパターンに分岐します。

短命に終わった内閣は、いきなり右肩下がりで、そのまま墜落するようなグラフを描いていること。比較的長期政権になった内閣は支持率を上げ下げしながら横ばいに近い推移になっていること。見事なまでにこの2つのパターンのどちらかに嵌っています。

さて、現政権である菅内閣は誰がみても明らかに「短命内閣パターン」に該当しています。「長期政権内閣」と「短命内閣」の違いは、「支持率が下がりかけた局面で盛り返せるかどうか」にかかっています。もっともわかりやすい例は小泉内閣において、田中真紀子を更迭した後に起きた支持率の低下を北朝鮮を電撃訪問し、Vの字回復させたことでしょうか。時にわかりやすい話題を提供し、時に支持層が離れないような政策を打ち出すことによって、「本格的な右肩下がり局面」を招かないことが政権の命運を左右するとも言えます。

そういった意味では、菅内閣はもう既に「ポイント・オブ・ノーリターン」を通過して完全な「右肩下がり局面」に突入しています。チャンスがなかった訳ではありません。ワクチン供給に目処をつけた4月に一旦浮揚しかけたとことがありました。しかし結果としては第4波が到来してその対策が指弾され、これ以降リカバリーは一切しないままとなっています。

正確に言うと、菅氏自身は捲土重来を狙っていたと思います。それはワクチン接種による死者・重傷者の減少とオリンピックの開催による国民感情の高揚でした。結論として支持率のV字回復を狙っていたのではないでしょうか?それは⇓の記事からもはっきりと読み取れます。

しかし結果は惨憺たるもので、第4波の直後、息をつく暇もなくデルタ株が猛威を振るう第5波が襲来。オリンピックの開催と共に東京の感染状況は史上最悪(2021年7月31日、東京の新規感染者数は初めて4000人を超えた)となり、医療崩壊が起こるかどうかは別として、恐らく次回の世論調査の結果は史上最低の支持率を更新することが容易に想像できる状況となりました。

上でも述べましたが、「本格的な右肩下がり局面」に入って、支持率がV字回復した内閣はこの20年存在していません。過去の歴史に学べば、菅政権が短命に終わるのは必至の状況でしょう。さらにオリンピック後は政治日程が目白押しで、特に自民党総裁選と衆議院選挙を抱えています。つまりは政局が8月以降必然的に起こりうる状況となっています。

今、一番面食らっているのは自民党の議員先生方ではないでしょうか。菅氏がいかに仏頂面で、国民に語りかけるのが苦手な調整型の政治家だったとしても、安倍内閣が作り上げてきた「保守本流岩盤支持層」・「ライトな保守支持層」というレガシーがある限り、ほどほどの食いつぶしであれば、野党が弱いのも相まって、今秋の衆議院選挙は菅氏を顔として戦うことで党内世論は一致していたと思うのですが、この構想が根本的に成り立たないような菅政権の不人気ぶりです。「菅政権では選挙を戦えない」という判断をする動きが出てもおかしくなく、「菅で行く」から「ポスト菅探し」に一気に舵が切られかねない状況と言って差し支えがないんではないでしょうか。

菅政権にとって不幸なのは、菅政権の支持率がいかに下落しようとも自民党の政党支持率は底堅いどころか、高止まりというべき水準を保っています。この状況なら「頭さえ変えれば選挙は十分戦える」と考えてもおかしくありません。みすみす不人気なリーダーを担いで討ち死にする者を多数出す必要はないと判断する勢力が出てきてもなんの不思議もないと思われます。

よって、現在自民党の内部では暗闘が始まりつつあり、衆議院選挙までは「菅で行く」から「菅以外で行く」に舵がきられつつあるのではないかと想像します。8月8日のオリンピック閉会式からお盆休みの間は水面下の期間、お盆明けから45日後の9月末には菅氏は自民党総裁の任期満了を迎えます。その間に世論調査も最新のものに差し替わるでしょうが、支持率が回復する見込みは極めて低いといえます。つまりは「ポスト菅」をめぐる動きは、8月後半から9月にかけて活発化するものと思われます。

様々な要因を検証すればするほど、菅内閣はオリンピックとともに命運が尽きるのではないかと思えてきます。仮にデルタ株が落ち着いても、菅内閣のイメージが大幅に回復する見込は極小でしょう。

アフターオリンピックの後はアフター菅、これが今の所の私の予想です。ついでにアフターコロナに光明が見えると良いのですが。



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