漫画家志望の失われた30年
前回、漫画家志望で初投稿したお話を記事にしましたが、今回は「失われた30年」について書きます。
タイトル写真は私の前回完成させた漫画原稿と今回の投稿作品を並べて撮ったものです。だいたい30年くらいの開きがありますが、まったく画力は上がっていないことが見て取れます。これがまさしく、失われた30年です。
いったいこの30年間は何をやっていたのか?就職して、働いて、結婚して、子どもが生まれて育てて、働いて、そして仕事を退職して、家族からはゴミのように扱われる。「いったい何をやってきたのか」という想いと「失われた30年」というフレーズが頭に浮かんできて離れないまま漫画を完成させました。
この30年は日本の社会にとっても失われた30年というのは皆さまの周知の事実のことでありますが、今回少女漫画雑誌「なかよし」に投稿するにあたって募集要項を確認して改めて気付かされました。これは漫画家志望者のみならず大方の漫画家さんにも当てはまると思うのですが、この30年賃金が全く上がっていないということです。
まずは新人賞の賞金が30年前と全く同じ100万円、そして原稿料についてもネットで調べてみた感じ原稿1枚1万円いかないくらいとほとんど変わっていませんでした。
この30年間デフレが進み競争が激化してきたことが、どの業界でも言えることなのだと思います。
その結果が昨今言われている人材不足。どこもかしこも余裕のない状態で仕事を回していて、ちょっとしたことですぐ機能不全に陥ってしまう。社会の構造的な問題が顕わになっているような気がします。
それでも最近良い傾向と思えることも出てきました。それはギブアップを正直に言える、むしろちゃんと言うべきだという世の中になったことです。特にコロナ禍でそれは加速し世界は完全に書き換わってしまいました。
昔だったら無理をしてでも徹夜してでも命懸けで締切に間に合わせなければいけなかったのが、無理ならば締め切りを伸ばす、そのことが社会全体で常識化されました。漫画においても休載や隔週、隔月掲載が珍しくならなくなりました。
そして昔なら「黙っている」「耐え忍ぶ」ことが美徳とされ暗黙の裡に強制されてきたものが「ぶっちゃけ」「正直に」「助けを借りる」ことが当たり前の世の中になったと思います。
「失われた30年」で日本が失ったものはたくさんありますが、それでも希望の芽も確実に存在します。30年間絵の進歩のなかった私も希望を持ってチャレンジし続けたいと思います。
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