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【2月11日・建国記念の日に考える 日本の国体と政体】

もうすぐ「建国記念の日」ですね。
この機会に、日本の成り立ちについて改めて考えてみようと思い、この記事を書きました。

2月11日は、日本の建国をしのび、国を愛する心を養う日とされていますが、その由来は初代天皇・神武天皇の即位にあります。『古事記』や『日本書紀』に記された神武東征の物語は、日本の統治の始まりを象徴し、**国体(天皇を中心とする国家の在り方)**の原点となる出来事でした。

しかし、日本の歴史を紐解くと、国体は維持されながらも、政体(政治の仕組み)は時代とともに変化してきたことが分かります。律令制から武士政権、明治維新、戦後の民主主義へと、日本の統治の形は大きく変遷してきました。

この記事では、『古事記』を通して神武天皇の即位と日本の国体・政体の関係について詳しく解説しています。建国記念の日を前に、日本の歴史を振り返るきっかけになれば幸いです。ぜひ最後までお読みください。

【神武天皇と国体・政体の関連性】

**神武天皇(じんむてんのう)は『古事記』や『日本書紀』に登場する日本の初代天皇であり、日本の統治の始まりを象徴する存在です。彼の東征と即位の物語は、「日本の国体の確立」や「政体の変化」**に大きく関わっています。

1. 神武天皇の即位と国体の確立

『古事記』によると、神武天皇(本名:カムヤマトイワレビコ)は天照大神の血を引く存在であり、天孫降臨した瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の子孫です。これは、日本の国体の根本である「天皇は神の子孫であり、正統な統治者である」という思想の起源となります。

◉ 神武東征と国譲りの継承

神武天皇は、日向(現在の宮崎県)から大和(奈良県)へ向かい、「東征(とうせい)」を行いました。これは、天照大神の子孫である自分こそが日本を治める正統な支配者であることを示す戦いでした。途中、熊野や河内(大阪)での戦いを経て、最終的に**長髄彦(ながすねひこ)**を討ち、大和の地で即位しました(紀元前660年とされる)。

この「東征による支配の確立」は、『古事記』に記された大国主命(おおくにぬしのみこと)の国譲りと共通しています。つまり、「日本の正統な支配者は天照大神の子孫であり、それが現実の統治にも反映される」という考えが、神武天皇の即位によって形となったのです。これが日本の国体の原点となりました。

2. 神武天皇と政体の変化

神武天皇の即位により、日本は本格的な中央集権的な統治が始まります。これは、国体を維持しながら、政体が確立されていく過程を示しています。

◉ 政治制度の原型の誕生

神武天皇の時代には、国家運営の基礎となる統治システムが作られました。具体的には:

・天皇を頂点とする統治体制
    →   日本初の政体の確立
・大臣や豪族を統治の補佐に          
    →   のちの大和政権につながる

・都(宮)を置き、政治を行う
    →   奈良・平安時代の律令国家の基盤


神武天皇は大和を支配することで、天皇を中心とした統治の形を作り、政体の原型を築いたと考えられます。

3. 後世への影響:国体維持と政体の変遷

神武天皇の即位以降、日本の歴史において**「国体を維持しつつ政体を変える」**という形が何度も見られます。

この流れを見ると、神武天皇が確立した「天皇を中心とする国体」は変わらずに受け継がれ、政体だけが時代ごとに変化してきたことがわかります。

4. 神武天皇と戦前の国体論

明治時代以降、神武天皇の存在は**「国体の象徴」**として強調されました。特に戦前の教育や思想では、「日本は神武天皇によって建国され、天皇の統治は万世一系である」という考えが重視されました。

・1889年:大日本帝国憲法において、「天皇主権」が明文化
・1890年:教育勅語で「天皇への忠誠」が教育の中心に
・1930年代:「国体明徴運動」により「国体の本義」が強調される

戦前の日本では、神武天皇の即位の日(紀元節・2月11日)が祝日とされ、「日本の国体は神武天皇以来、不変である」という思想が国民に広く植え付けられました。

しかし、戦後の**日本国憲法(1947年)**により、天皇は「象徴」とされ、国体の概念も大きく変わりました。戦前のような「天皇主権」ではなく、「国民主権」が採用され、政治の仕組み(政体)が大きく変化しました。

まとめ

◉ 神武天皇が確立したもの

・国体:「天皇は天照大神の子孫であり、日本の正統な統治者」
・政体:天皇を中心とする統治の形(中央集権の原型)

◉ 神武天皇の影響

・天皇制の正統性の根拠として『古事記』に記される
・戦前の国体論において「建国の祖」として強調
・戦後は象徴天皇制へ移行するも、「建国神話」として影響を残す

神武天皇の即位は、日本の国体の原点として語り継がれ、天皇を中心とする統治の正統性を示すものとされてきました。しかし、日本の歴史を通して見ると、国体は維持されながらも、政体は時代とともに変化し続けてきました。奈良・平安時代の律令制、武士による幕府政治、明治維新による近代国家の形成、そして戦後の民主主義へと、日本の統治の仕組みは大きく変遷してきたのです。

こうした歴史の流れを振り返ると、建国記念の日は単なる祝日ではなく、日本という国の成り立ちを考える貴重な機会であることが分かります。神話から始まる日本の歴史が、どのように形を変えながらも続いてきたのかを知ることで、今の日本の在り方について改めて考えるきっかけになるかもしれません。

これからも時代とともに変わりゆく社会の中で、私たちはどのように日本の伝統や価値を受け継ぎ、未来へとつなげていくのか。建国記念の日を前に、そんなことを考えてみるのも良いかもしれません。

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