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香水イベント「香跡万里」レポ 2025/1/25(土) @表参道

こんにちは、スジャータです。
1/25にTwitterで告知されていた「香跡万里」なる香水イベントに行ってまいりましたので、そちらのレポになります。
正直、情報量が多すぎて、伝えきれないところも多々あるのですが、空気感だけでも伝われば幸いです。


「香跡万里」とは

香水ブランド「馥世夢 -KAYON-」ディレクターであるKENさんが、アジア圏の知られざるニッチフレグランスを、ご自身のコレクションからご紹介されるというイベントhttps://www.kayonperfume.com/home

アジア圏を横断するエリアの香りを嗅ぎ、交流を深めるということで「香りのシルクロード」と名付けられています。
イベントは、最初に5分程度に簡単な説明があったあと、30分ほど展示されている香水を自由に嗅ぎます。その後2時間ほど座学となり、計15ブランドから、1〜5作品の説明を伺いながら、配られたムエットを嗅いでいきます。最後にQAがあり、その後気になる香りがあれば再度嗅いだり、ムエットをいただいたりしました。


うん、総じて大学の授業みたいで面白かった。
やる気のある人は早めに来て前の方に陣取ってる感じとか、プリント(※今回はムエット)配られたら隣の人に渡していく感じとか、先生のOHP(※今回はパワーポイント)の進みが早すぎてノート取るの間に合わない感じとか懐かしすぎるw

ちなみにこんな感じ。ガチで授業。

なお、今回は第1回目で、4月に2回目を予定しているとのことですが、その際は運用が変わる可能性があります。
また、今回は参加費無料でしたが、どう考えても大赤字なので、今後は参加費が徴収される可能性が高いです。
というか、Twitter上の感想コメントで一番多かったのが「金払わせろ」なの面白すぎる。内容が濃い割に商売っ気が無さすぎてこちらが不安になるレベルなので、むしろ参加費を取ってほしい。

紹介ブランド一覧

紹介いただいたのは、以下の15ブランドです。
半分くらいは中国ですね。
「① Auphorie オーフォリー」は日本から通販で購入可能、「④ 邱吴 QiuHao」はイベントで日本上陸した実績ありですが、他は日本未上陸とのこと。

① Auphorie オーフォリー(マレーシア)
② Strings of Errors (マレーシア)
③ Yili Olfactory Art(中国)
④ 邱吴 QiuHao(中国)
⑤ 大佛之香Damfool(中国)
⑥ 莫比乌斯Mobius Fragrances(中国)
⑦ 窄门 Laporte(中国)
⑧ 东方鼻子 Oriental Perfume(中国)
⑨ Fort & Manle(オーストラリア)
⑩ Strangers(タイ)
11 Prissana (タイ)
12 Prin (タイ)
13 Azman(アラブ首長国連邦)
14 Chasing Scent (オーストラリア)
15 Soul Artisan(中国)

さて、ここからざっと、気になったブランドと香水を並べていきます

① Auphorie オーフォリー(マレーシア)

日本語で調べて、唯一多少の情報が出てきたのがこのブランド。
通販で購入可能なので、取り寄せている人もいらっしゃるようですね。

このブランドは、世界中の文化や遺産にインスパイヤされた香りを作っているとのこと。
何種類か嗅いでみて、全体的に、甘やかで切ないトーンが感じられました。オスマンサスを使うことが多いのも特徴。

神話の恋物語をモチーフにした「洛神」は、ジャスミン、イリス等の美しいフローラルブーケ。個人的にはウビガンの「ケルクフルール」と似ているけれど、より透明感のある香りに思いました。

個人的に気に入ったのは、「九色鹿」。敦煌の壁画よりインスパイヤードされたもので、ロータス、アプリコット、ローズが美しい、控えめで透明感のある、甘酸っぱいグリーンフローラル。

Auphorie 「九色鹿」

今年はブランド10周年なので、購入するとサンプル等の特典があるそうです。送料込みで4万円くらいとのこと。・・・高いな。
なお、結構色が強いのもあるので、服につかないよう要注意。

③ Yili Olfactory Art(中国)

2018年の創業ブランド。
説明を読む限り、複数の調香師を束ねたアートスタジオを設けた、実験的な試みのようです。
香りは、神話や土地をモチーフにしたものが多いよう。
全般的に、中国固有の香料を使用した、控え目で洗練されたスパイス遣いが特徴。日本の気候でも綺麗に香ってくれそうな、グリーンのざらつきがほんの少し感じられる香りが多いように思いました。

一番気に入ったのは、「植物学的女児」。
細かい説明が無かったのであとで調べたところ、「植物学者の娘」という発禁になった映画をモチーフにしているようです。
柑橘、グリーン、お茶、最後に揺蕩う少しの甘さ。・・・好き。
イベント主催のKENさん曰く、ゲランのネロリウートルノアに似ていると思うとのこと。わかる気がする。

Yili Olfactory Art「植物学的女児」

なお、「韋駄天」という、韋駄天と女神の許されざる恋物語をモチーフにした、月下美人を用いたグリーンで静かで美しい香りもあり、「韋駄天・・・お前、脳筋だと思ってたのに、こんなロマンチックな一面があったのか!?」と何故か地味にショック。

④ 邱吴 QiuHao(中国)

昨年の10月に銀座SIXで期間限定POPUPが開かれてたとのことで、ひょっとしたら試したことのある方もいらっしゃるかもしれません。

ファッション、それもクアイエットラグジュアリーなアイテムがメインのブランドで、香水はサブの位置付けのようですが、その割には超尖っています。

今発売されているのは無人島三部作。三作揃ってストーリーとして完結するとのことです。意識高い。三作に共通する香料も使われてます。

実は、このイベントで嗅いだ香りの中で一番気に入ったのは、三部作の一作目「風が吹く時」。無人島に上陸し、風が吹いている風景だそうです。
嗅いだ第一印象は何故か「種」。風はわかる。そこから「こういうカレーある!」という印象に。
正確には、南アジアカレー定食で味噌汁ポジにある「ラッサム」のスパイス。酸っぱくて、青々としていて、ちょっぴりスパイシー。癒される。
ノートを見てみると、「ラッサム」で必ず使われるタマリンドと、必須ではないが良く使われるクミン、クローブあたりが入っていたので、この感想は的外れでは無いはず。

QiuHao「風が吹く時」

なお、三作目の「恋人の抱擁」はマジでクミン臭しかしない。シンプルにカレー。

なお、上記リンクから香水の値段を確認したところ、6万弱でした。
・・・うん、高いな。

⑤ 大佛之香Damfool(中国)


これも中国のブランド。
ご夫婦が、ご自身のストーリーから香りを組み立てているとのことです。

「③ Yili Olfactory Art(中国)」とも被るのですが、洗練されたスパイス使い、何となく漢方などで嗅いだことがある香りが混じって、日本人ウケしそう。少なくても私は好き。通常ラインのミニマリストっぽいケースもGood。

特に気に入ったのは「明鏡花」。
苦味のある柑橘で、木生子、ホーリーフ、キクニガナなど、あまり聞かない中国らしい香料が入っているのも良き。

大佛之香「明鏡花」


「鴛鴦(えんおう)」もスッキリとしたフローラルで好き。ただ個人的にはあんまり鳥の羽毛っぽさは感じない。

大佛之香「鴛鴦(えんおう)」

総じて、結構好きなテイストなので、手軽に試せる機会があったら、うっかり買ってしまいそうです。

11 Prissana (タイ)

実は、以下の3ブランドは、同じ人がディレクションしているとのこと。
1つ目が最も一般ウケを狙ったもので、2つ目はやや玄人ウケ、3つ目は完全に個人の趣味に振り切れているとのこと。

10 Strangers(タイ)
11 Prissana (タイ)
12 Prin (タイ)

Strangersは、おそらくディレクターの趣味と思われるのですが、コーヒー系の香りが充実しており、日本でも人気が出るように思いました。
ただ、個人的に好きな香りが多かったのはPrissanaの方。
特に「トムヤム」はトムヤンクンの香りということで、イロモノかと思いきや、確かにトムヤンクンでありながら、ライムやレモングラスがメインなのでカクテルのようなおしゃれな香りでもあり、結構好き。

Prissana「トムヤム」


もう一つ気になったのは「夏めく」。トトロに出てくる田舎の風景とのことですが、え?タイでトトロって人気なの?それで通じるの??とそっちが気になって夜しか寝られない。ちなみに個人的には「トトロが出てくる前の何気ない平和な田舎」という感じがしました。

Prissana「夏めく」

このブランドは比較的リーズナブルっぽいので、日本で展開されたら買えそう。

14 Chasing Scent (オーストラリア)

オーストラリアの紅茶系香水。
うん、私の中で「パケ買いしたいで賞」の大賞
説明不要の可愛さ💕

Chasing Scent「プライベートティパーティ」

「プライベートティパーティ」が、パッケージが一番可愛く(※当社比)、かつ香りもちょっと甘味があって人気が出そうですが、個人的には「ティーサービス」の方が、ハーブティっぽくて好き。

Chasing Scent「ティーサービス」

お値段的にも、30mlで一万円台の模様。あら現実的なライン。嬉しい。

終わりに

ふぅ、かなり端折りましたが、大まかな空気感は伝わりましたでしょうか。
各国の特徴としては、中国は日本人なりにうっすら馴染みのあるスパイス使いが多く、マレーシアはやや甘め、アラビアはやはりウード、オーストラリアはこれらに比べると結構クラシカルな感じがしました。
また、あまり馴染みのない、中華文化圏の神話や逸話に触れられたのが、興味深かったです。やっぱり中華圏って科挙文化圏、受験文化圏だから、みんな古典に精通してて、詩を誦んじたりできるのかな。知り合いの中国人はド理系しかいないので、その辺りイマイチわからない。今度詳しい人に来てみたい。

一つ残念なお知らせですが、今回ご紹介いただいた香水のうち一部は、IFRAないしは日本の化粧品の基準を満たしていないため、現時点では輸入が難しいそうです。
とは言え、少なくとも日本で取り扱い可能なものについては、このイベントを機に取り扱いが始まってくれると、とても嬉しいです。

それでは〜

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