スタオケキャラ雑感:シルフ芸術アカデミー(弓原 凛&榛名流星)
スマートフォンアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」(通称:スタオケ)のシルフ芸術アカデミーのクラシックアイドルユニット「ポラリス」の2名について、個人的な所感をまとめる。また、彼らがフィーチャーされるメインストーリー4章、期間限定イベント「Bitter Sweet WhiteDay」のイベントストーリーについても触れる。
現在スタオケでは1.5周年企画の一環でメインストーリー解放応援キャンペーンを行なっている(~2022年9月24日まで)。記事内で紹介するキャラクターの中でお気に召した子がいたらぜひアプリをダウンロードしてゲームを楽しんでいただきたいという気持ちを込め、未プレイの方に向けて書く。
クラシックアイドルユニット「ポラリス」
いや「クラシックアイドルユニット」ってなによ!?と思われるかもしれない。私たちも思いましたとも。
具体的なことを言うと、「若い人にも楽器やクラシック音楽に親しんでもらう」という目的で作中時間軸の3年前に結成された、リーガルレコードの美少年ユニット。舞台上でフルートとクラリネットで演奏を披露し、若い女性に人気がある。一般的なアイドルのように歌うわけではないようだが、演奏曲のCDが作中で販売・流通している。
なお、所属事務所は成宮の実姉・小百合が社長を務めるリーガルレコードだ。
弓原 凛(シルフ芸術アカデミー1年 / フルート)
自己プロデュース力激高美少年。美少女とも見まごう、世界に通用するあざとい可愛さで周囲を圧倒する。凛が自分のちょっとした望みを叶えるためにファンサービスを炸裂させることもしばしば。
キュートなアイドルのオモテの顔を見る→小悪魔的でウラの顔を見る、という順だと「うわ二面性コワ……」と思ってしまうが、その表裏とはまた別の、計算高さをかなぐり捨ててチョモランマ級の美意識・プロ意識を持って業界人と渡り合う姿を見てしまったコンミスたちは、最終的に好きになる以外のすべての選択肢を奪われる。
「自分大好き♡」なワガママ王子様の一面が目立つ凛だが、そもそも彼がアイドルを志すようになったのは、「自分の音楽で子どもたちを笑顔にしたい」というピュアな願望を持っているためだ。そのため、子どもが出てくるエピソードにおいて、凛が子どもに注ぐ眼差しはとても優しい。ただし、普段が露悪的なだけに、そうしたピュアな部分を指摘されると盛大に照れる。
一方で、スタオケ加入後も周囲を振り回すかと思いきや、クセの強い面々に対してツッコミを入れることが多い常識人としての一面も垣間見せる。自覚的に“お利口さん”を演じることができる彼が苦労人にも見えるからおもしろい。
榛名流星(シルフ芸術アカデミー1年 / クラリネット)
物静かで表情に乏しい儚げ美少年。もともと造形の整った顔がふとしたときに見せる微笑は、透明感があって実にかわいらしい。
食いしん坊なのは自覚がないらしいが、差し入れのお菓子等をたびたび「食べ過ぎ! カロリーオーバー!」と凛に阻止されているのもかわいいし、主人公やスタオケメンバーに餌付けされているのもかわいい。もはやかわいいのバーゲンセールである。
「ロボ系アイドル」という表現の通り、「自分に関わる人間が自分に何を求めているか」(=オーダー)を読み取るのが抜群にうまく、パフォーマンスにクライアントや指導者の要求を反映させることが可能だ。凛とはまた異なるタイプのプロフェッショナルであることの表れと言える。その一方で、凛ほど計算高くないので、仕事以外の場で“空気を読む”ことをせずに天然発言を炸裂させることがある。
反面、楽曲解釈をクライアントや凛に任せきりだったり、自我のありかが危うげな感じがあったりするわけだが、これは彼のエグい家庭環境が大いに影響している。詳しくは親密度を上げて解放されるキャラクターストーリーを読み進めていってほしい。
メインストーリー4章「Twinkle Double Star」
“音楽のまち”浜松で例年開催される音楽祭を見学することになったスタオケメンバー。オープニングセレモニーとフィナーレには、巷で人気の高校生アイドルユニット「ポラリス」も出演するという。オープニングセレモニーを観覧したスタオケメンバーは、ポラリスの演奏技術の高さに圧倒される。
そんなとき、ポラリスのバックバンドに共演を断られて困っていたポラリスのマネージャー・寺阪と遭遇。もともと成宮と知り合いだった彼にスタオケを売り込み、音楽祭のフィナーレ公演でスタオケがポラリスのバックバンドを務めることになる。
楽屋で会ったポラリスのふたりは、ファンに見せるステージ上の姿と裏腹の塩対応。戸惑うスタオケメンバーに、ポラリスは「本当ならあんたたちみたいに知名度のない相手と組むメリットはない」などと文句をつける。さらにコンミスである主人公をパシリに使う図々しさに、竜崎などは怒り心頭。
一方で、学校でダンスのレッスンを受けるポラリスのふたりは真摯そのもの。マネージャーの寺阪も「パフォーマンスをよりよくするために努力する、誇り高い彼らが好き」「本当はもっと好きにやらせてあげたい」と語る。
「かわいらしさ」を求めるクライアントに唯々諾々として頭を垂れ、演奏について意見を出しても外見で軽んじられることもあるポラリス。凛は「それでも仕事があるだけありがたいと思えないならやめた方がいい」と自分を納得させながらレッスンを続ける。アイドルも演奏家もごまんといる中で勝ち上がっていくには、ファンの望むパフォーマンスをするしかない――凛と流星の努力の陰には、そのような信念があった。
そんな中、主人公は、凛から「ポラリスで演奏する『ゴリウォーグのケークウォーク』で、もっとクールでカッコいいパフォーマンスをしてみたい」と打ち明けられる。これまでポラリスが演奏してきた「ゴリウォーグのケークウォーク」は、かわいらしいイメージの解釈。もし可能であればポラリスの新境地だが、クライアントが首を縦に振るとは思えない。「あんたたち(スタオケ)が勝手気ままに演奏しているのを聞いて、僕も…なんてちらっと考えちゃった」と諦めたように言う凛。
「やりたいこと」を凛が流星に伝えると、流星もすぐに理解し、クールな「ゴリウォーグのケークウォーク」のセッションを即興で合わせた。だが流星は「この曲をいかに可愛くできるかが僕たちの仕事」と言い切り、凛に反対する。
一方で、自我の強い凛に扱いにくさを感じたリーガルレコードの上層部は、ポラリスのメンバー交替を企図し流星に伝える。そのことを凛に伝えるわけにもいかない流星も、ポラリスのあり方について悩み始める。
流星の指摘を受け、自分の希望を押し殺し、クライアントとファンの求める「かわいいポラリス」を徹底することに決めた凛。一方で、「かっこいいポラリス」の演奏での楽しそうな凛の音色を忘れられない流星。これからも凛と一緒にポラリスでいたい。しかしポラリスも新しい演出をしなければいつか飽きられる日が来る。音楽祭のフィナーレの楽屋、流星は主人公とのやりとりの中である決意を固める――。
常に「かわいい」ともてはやされてきた美少年ユニットポラリス。彼ら自身の望む表現をつかみ取ろうとあがき始めた彼らの背を、スタオケのコンミスとして押してみよう。
期間限定イベント「Bitter Sweet WhiteDay」
ホワイトデーに合わせてポラリスの関係性について深掘りされたイベントストーリー「Bitter Sweet WhiteDay」が語られた期間限定イベント。ポラリス結成秘話、そしてそれに関わった成宮の事情についてもっと知りたい人はこれを解放するのがオススメだ。
ホワイトデー商品のCMキャラクターとして双子の王子を演じることになったポラリス。「僕らは双子みたいにいつも一緒」と信じていた凛だが、事務所内外で凛と流星に対する扱いが違ってきたことから、二人の仲がギクシャクし出す。
現時点でこのイベントストーリーが未読状態のユーザーでも、消費アイテム「ストーリーキー」を使ってイベントストーリーを読むことができる。ストーリーキーの使い方については公式の「ルジコレポ 第5回」を参照してほしい。
アイドル戦国時代の中のスタオケ
こちらの項目は、コルダシリーズ過去作をプレイしたことのある方向けに書く。
さて、ここ十年ほどの日本のサブカルチャー・コンテンツはアイドル全盛時代である。特に女性向けでは「うたの☆プリンスさまっ♪」(2010年~)を皮切りに、「アイドルマスターsideM」(2015年~)、「あんさんぶるスターズ!」(2015年~)、「アイドリッシュセブン」(2015年~)等、男性アイドル物のコンテンツが覇を競う戦国時代とも言える。女性の身近に男性アイドルコンテンツがあって当たり前、という時代だ。
思い返せば「金色のコルダ」シリーズでもアイドル物要素を採り入れたことがあるのだが、あくまでもパラレルストーリー(いわゆる芸能パロ)として展開されるものだった。スタオケで世代一新するにあたり、弓原凛と榛名流星という“本職アイドル”を投入したのは、こうした時流に本格的に乗らなければという意図があったのかもしれない。
事実、弓原凛について、スタッフインタビューでは「『コルダ』シリーズの新作はどうあるべきか模索していた時期があったのですが、そのときからある程度方向性が固まっていました」と語られている。メインストーリー4章で示される凛と流星の「需要と供給の中で折り合いをつけながら、新境地を探求する」姿勢が、20年近い歴史を持つシリーズの最新作として世に出た「スタオケ」というコンテンツそのものを象徴しているようにさえ思えるのである。
さらに、ポラリスという形で示したコルダシリーズとしてのスタオケの新基軸「商業音楽としてのクラシック音楽」は、この後物語の根底に深く根を張り、後半にあたる7章や8章とも関わってくるテーマとなる。売れる音楽とは何か? そこに盛り込まれる演奏者たちの感情と思考は?――ポラリスのきらめきは人の心をときめかせるだけでなく、そんな課題もユーザーに投げかけてくるような気がする。
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