スタオケキャラ雑感:星奏学院 (1)(九条朔夜&成宮智治&竜崎疾風)
順番が前後したが、スマートフォンアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」(通称:スタオケ)の星奏学院のキャラクターについて、2回に分けて個人的な所感をまとめる。
現在スタオケでは1.5周年企画の一環でメインストーリー解放応援キャンペーンを行なっている。記事内で紹介するキャラクターの中でお気に召した子がいたらぜひアプリをダウンロードしてゲームを楽しんでいただきたいという気持ちを込め、未プレイの方に向けて書く。
星奏学院は、横浜にあると設定されている架空の私立高校で、金色のコルダシリーズの主要舞台だ。シリーズファンからするととてもなじみ深いこの高校は、「どんな生徒も音楽に親しめるように」との創立者の理念から、音楽科と普通科が併設されている。また、実家から通うことのできない生徒のために寮が整備されている。
歴代主人公を含む多くのシリーズ登場キャラクターがこの高校に通っており、スタオケの主人公(デフォルトネーム:朝日奈唯)も星奏学院普通科2年生だ。初代主人公(デフォルトネーム:日野香穂子)も普通科2年だったため、ここは原点回帰の感がある。
スタオケ1章は星奏学院でスターライトオーケストラが結成されて初期メンバーが集まるまでを描く。スタオケは日本各地の様々な演奏者たちを集める壮大な旅の物語だが、その出発地であり本拠地となる星奏学院は、きっと新しく「コルダ」の世界に触れるユーザーにとっても温かな“ホーム”になるはずだ。
九条朔夜(星奏学院普通科2年 / ヴァイオリン)
主人公とは星奏学院の合格発表の日に知り合い、2年生の現在は同級生となる朔夜。星奏学院の寮「菩提樹寮(リンデンホール)」で暮らしているのも主人公との共通点だ。
1章開始直後に出会うメインヒーローポジションで、実力あるヴァイオリニスト…………なのだが、彼自身に物語や運命を動かす意欲は皆無。パワフルに奔走し、時に空回りしたり盛大にスッ転んだりする主人公の世話をし、振り回される。「君の世話をするのはもう慣れた」なんてやれやれムーブしつつ、だんだん「君に振り回されるのも悪くない」と微笑むようになるあたり、相当主人公に絆されていると言っていいだろう。涼宮ハルヒとキョンの関係をもうちょっとソフトにした感じだろうか。
……あれ? これってヒーローというよりヒロインポジションだったりする……?
ちなみに、担当声優の日野聡氏は、朔夜を演じるにあたって「30分ゲームをしてて10人中8人が必ず落ちるようなキャラクターにしてください」という注文を受けたと語っている(「スタオケ学園日誌 第5回」)。無茶苦茶なディレクションだが、だいぶ困惑しつつもちゃんと要件を満たす演技をこなすところはさすがである。
コルダシリーズのキャラクターID: 1に相当するキャラは、姓名に「月」の名を持ち、かつヴァイオリニストの男子高生だ。朔夜(「朔」が新月を意味する)もまたその条件に該当する、作品中のメインヒーローポジションである。が、どこまでもクールな孤高のヴァイオリニストであった月森蓮とも、軽口をたたき合える幼なじみポジションの如月響也ともまた違った主人公との距離感が楽しい。主人公(朝日奈唯)が最も1キャラクターとして立っているのも、朔夜とのやりとりの中だと言えるかもしれない。
一方で、入学当初から菩提樹寮に住んでいる朔夜には、家族の影が見当たらない。話を進めるうちに、作中のラスボス格にあたる月城慧の義兄であったことが判明する。どうやら一時期月城家の養子として「月城朔夜」を名乗っていたようだ。月城の父は天才ヴァイオリニストであった慧と同じように、朔夜を優秀なヴァイオリニストとして育成する心づもりがあったらしい。朔夜のネガティブさ、諦めの早さはどうもこの経歴が関わっているようだが……?
成宮智治(星奏学院普通科1年 / チェロ)
こちらは星奏学院普通科に入学したての1年生で、菩提樹寮に住み始めた寮生。登場シーンは料理中、アルバイト掛け持ちの苦学生という身分だが、「スタオケおもしろそうだなぁ。俺も昔チェロやってたんで入れてくれませんか? 恋も始めてみたいんですけどね、先輩と♡(意訳)」みたいなノリで入団してくる。
ブランクがあるため1章時点でのチェロの技量はいまひとつだったが、その場でポンとチェロを買ってしまう大物で、なによりちゃんと上達のための努力はしているので、温かく見守っていただきたい。
ちなみに、その場で始めるためにチェロ購入、っていくらするんだろう?とググってみたところ、ヤマハでは本体30万円~、弓3万円~、ケース7万円~と紹介されていた。まあ、カツカツの“苦学生”がポンと出せる金額ではない。
話を進めていくと、実は成宮は巨大グループ企業「リーガルグループ」の御曹司で、家族と考えが合わず出奔してきたということが判明する。実家に頼っていない彼がなぜ経済的に困っていないかは、彼の特技をアプリ内で確認するか、キャラクターストーリーを読み進めていくかすればわかるだろう。
成宮智治というキャラクターを言い表すと、高校1年生にして184cmの長身・甘いマスク・出奔したとはいえゴン太の実家持ち・そして武内俊輔の低音ボイスを備えた、甘え上手な大型ワンコ系後輩ということになる。甘やかされたい女子のハートを全力で鷲掴みにしてくるから恐ろしい。
通常、敬称となる「先輩」という言葉に対して「後輩」が敬称となることはないが、この成宮に対してはユーザーが自主的に「成宮後輩」「後輩」と呼び出したあたりから、「プロの後輩」っぷりが察せられる(1年生は他に凛・流星がいるが、ユーザーの間で「後輩」といえば成宮を指す)。
一方で、通常の少女漫画の文脈だと、成宮のような完璧イケメン王子様キャラは「当て馬」にされることが多い役どころだ。個人的に恋愛を含む青春物をゲームという媒体で描く利点は、ユーザーの選択によって成宮のようなキャラクターも「攻略」できることだと感じる。成宮自身、あまり主人公からのリアクションを期待せずにグイグイ来るので、主人公からアプローチする選択肢を選ぶと、「……まいったな」と結構マジな照れ顔を見せてくれたりするのが楽しい。
竜崎疾風(星奏学院音楽科2年 / ヴィオラ)
星奏学院音楽科2年で、ヴィオラ奏者の男子生徒。シリーズ伝統の星奏学院オーケストラ部(通称オケ部)に所属し、部員をビシビシ指導している様子も描かれる。
初登場時の印象はド最悪の極みである。オケ部への入部を希望して実技試験を受けようとする主人公を追い払い、スタオケ創設のために奮闘する主人公たちを「普通科のお遊び」と一蹴する。昨年度まで活動していたが空中分解してしまった「スターライトオーケストラ」(旧スタオケ)に所属していた竜崎は、それを一新してメンバーを募集する普通科の主人公に対して批判的だ。
だがそれ以降は「不正や裏切りが大嫌いな正義漢」「音楽はもちろんその他の学問に対しても真摯な情熱を傾ける努力家」「同様の姿勢を持つ人間には分け隔てなく手を貸す漢気」、それに加えて「感情豊かな純情ツンデレ」という側面までお出ししてくる。とんでもなくかっこよくてかわいいので、どんどん好きになっていってしまう。
なおかわいいと書いたが、身長は177cmあるのでそこそこの長身だ。なんとなく小さくかわいく見えるのは、感情の振れ幅の大きさと、隣に居合わせることの多い成宮(184cm)のせいであろう。
愛する音楽やオーケストラに対して真摯に取り組む竜崎疾風は、実のところ、主人公ととても波長が合う。主人公は所属オケの解散や音高受験失敗など、音楽について数々の挫折を味わってきた分、いまかじりつくようにしてスタオケでの活動に励んでいるためだ。竜崎は1章終盤で彼女に対する見方を改め、主人公率いる新生スターライトオーケストラへの加入を承諾することになる。
旧スタオケ解散の経緯については、期間限定イベント「間奏曲 未完成のスコア」で語られた。作中の一年前の竜崎について垣間見たい人は、そちらの復刻を待ってほしい。竜崎がどれほど真摯に音楽を、ヴィオラを、オーケストラを大切に想っているかを知ることができるだろう。
主人公に対して世話焼きなダウナー系男子朔夜、先輩大好き♡を全面に押し出してくるスイートな二番手成宮、そして主人公に喝を入れる鬼軍曹ポジションながらかわいさも垣間見える竜崎。最初の章に登場し、今後長く付き合うキャラクターたちだけあって、性格配置のバランスが絶妙である(もちろん音楽をやる上でもバランスがよく、ヴァイオリニストである主人公を加えると弦楽四重奏が可能となる)。
彼らを率いた主人公(コンミス)は、実績作りとメンバー集めを兼ねて、日本各地を巡ることになる。次の記事では、星奏学院の他のメンバーについて述べていこう。
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