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スタオケの期間限定イベント「間奏曲 金のリンゴは天に実る」のストーリーを読む

 ここでは、iPhone/Android向けソーシャルアプリゲーム「金色のコルダ スターライトオーケストラ」(スタオケ)にて配信された期間限定イベント「間奏曲 金のリンゴは天に実る」(2022年9月1日~10日)のイベントストーリー感想を書いてみる。
 テキスト引用をはじめイベントストーリーのネタバレが多数含まれるので、ご了承いただきたい。

 スタオケにおいて「間奏曲」が冠されたイベントストーリーは、通常、メインストーリーの間章の役割を担い、少数のピックアップキャラクターの掘り下げが重点的に行われる。登場キャラクターの顔ぶれで時系列もはっきりとわかり、季節はイベント開催期間の現実世界と連動するとは限らない。
 今回の「金のリンゴは天に実る」では、メインストーリー8章(11月)に加入した笹塚・仁科がおり、全員の学年が公式プロフィール通りのものであるにもかかわらず、ストーリー中の季節はイベント開催期間の現実世界に即した時期、すなわち9月のシルバーウィークのできごととして描かれたため、他ストーリーとの時系列は定かではない。しかしこれまでに提示されたメインストーリーと期間限定イベントストーリーを踏まえた内容になっている。

ストーリー構成

明確な主題提示「過去と向き合い、前に進む」

 今回ピックアップされた日向南高校出身のコンビ・赤羽拓斗と三上蒼司は、メインストーリー5章から登場する。かつてプロのバスケットボールプレイヤーを目指していた拓斗は、2年前、蒼司に誘われて吹奏楽部の「ふれあいコンサート」の催しを手伝ったことがきっかけで負傷し、足を壊して夢を絶たれる。自責に駆られた蒼司は、プロのホルン奏者になるという己の希望を封印し、音楽に向き合うことができなくなっていた。
 メインストーリー5章では、そんな彼らに朝日奈たちが接触し、「スタオケで世界を目指す」という夢を提示する。まず拓斗がそれに共鳴し、「お前の夢を潰した俺だけが夢を見るなんて(できない)」と拒む蒼司に対し「俺の夢はなくなっていない(蒼司と一緒にスタオケで新しい夢を叶えたい)」と伝え心を動かす。こうしてふたりが「スタオケで世界を目指す」という新たな夢を抱いて旅立つ――という内容になっている。

 スタオケに参加したものの、拓斗の事故に対する忸怩たる思いは、蒼司の中で解消しきれていなかった。これについて「間奏曲 金のリンゴは天に実る」のイベントストーリーでは「後悔」という言葉で表現され、序盤から重要なキーワードとして提示される。

三上蒼司「……それから、団長。一ノ瀬先生が、『帰りに、土産持ってご挨拶にうかがいます』って。止めなくて平気?」
三上蒼司「……どういう意味って……検査入院する楽団員ってあれ、団長のことなんだろ」
三上蒼司「怪しいと思って、母さんに聞いた。――体、大丈夫なの?」
団長「かーっ、深刻な声を出しおって。この体とも長いつきあいになる。多少はガタもくるわ」
団長「わしゃ、後悔のないよう胸を張って生きてきた。検査の結果がどうあれ恐くないわい」
団長「そんなことを気にかける暇があったら練習せい。演奏会は待っちゃくれんぞ」
団長「全力でやるべきことをやるんじゃ。人生、後悔だけは残すべからず。わかったか、このヒヨッコめ!」
三上蒼司「……怒鳴るだけの元気があるってわかって、よかったよ」
三上蒼司「検査結果が出たらちゃんと教えて。約束」

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第1話

 メインストーリー5章にも登場した「団長」は、拓斗と蒼司の音楽の師匠のような老人。パワフルでクセの強い彼の健康不安がイベントストーリー序盤に表出したことから、「老いてなお盛んであっても人間の健康や命は永遠ではない」ことが示される。
 ここで蒼司は団長との電話を切るが、たまたま傍にいた拓斗と朝日奈が聞いていることに気付かない。

三上蒼司「『後悔だけは残すべからず』……か。俺の場合は……」
三上蒼司「……もう、手遅れだな

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第1話

 3話、演奏会場の下見の場面で「黄金のリンゴ」の話題が出たときも、「後悔」というキーワードによって呼び起こされた蒼司の心の揺らぎが見えてくる。黄金のリンゴは今回のコンサートで演奏する曲の出典となる楽劇「ニーベルングの指輪」に登場するアイテムで、食べるとたちまち若返って不老不死になるというもの。

三上蒼司「でも、若返ったり不死になったりしたところで過去へ戻れるわけじゃないから……」
笹塚 創「つまり、お前は時間を遡りたいのか? いかにもな望みだな」
三上蒼司「……っ」
笹塚 創「そんなことして、何になるわけ」
三上蒼司(何になるか、だって?)
三上蒼司(……過去に戻れたら変わるかもしれない
三上蒼司(変えられるかもしれないじゃないか……

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第3話

 こうして蒼司の中で「過去に戻れるなら戻りたい」という願望が膨らみ上がった頃、フルーツパークのスタッフ・サチが梯子から落下するのを庇った彼は頭を打って昏倒してしまう。幸い、サチにも蒼司にも大きなケガはなかったが、蒼司は一時的な記憶退行を患うことになる。この記憶退行をギミックとして、物語は進行する。

蒼司の記憶退行(1):偽りの時間遡行

 蒼司の精神状態は15歳当時、もっと言うと「拓斗が負傷した中学3年の文化祭の前」まで遡ることになる。ストーリー中で特に明示はされないが、拓斗の事故に拘泥する蒼司の願望が精神退行を起こしたのだろう。
 診察した医師を含め、蒼司以外の全員が蒼司の現在の状態を「15歳から現在(17歳)までの記憶を喪失している」と認識している一方、蒼司のみが「自分は15歳」「夢で2年後の未来に来ている」と思い込んでおり、両者の間で話がちぐはぐする場面がある。「過去に戻りたい」と願った17歳の蒼司が、実際に過去に戻ったような精神状態になっただけで、現実の時間は過去から未来へ流れているという、なんとも残酷な状況が出現するのだ。
 その好例が、イベントストーリー7話の「岩に掘った星マーク」の話題。実際には昔の拓斗がやったことなのに、その話を過去に聞いていた蒼司が記憶を混濁させ、「昨晩の夢の中(=2年前)で自分はこの岩に星マークを掘った」「ここにマークが残っている、未来は変えられるんだ」と無邪気に喜ぶ。真相を知っている拓斗は、蒼司を前に時間の不可逆性を痛感する――過去に遡って未来を改変するなど不可能なのだ、と。

三上蒼司「お前が、どんな事故で怪我を負ったのかは知らない」
三上蒼司「でも、俺がその事故を元の時空で防げばいいんだ。そしたら、お前の足も元どおりになる!
赤羽拓斗「……蒼司。いいんだ」
三上蒼司「……っ? いいって、何が?」
赤羽拓斗「気持ちは嬉しいけど、俺は大丈夫だから」
三上蒼司「……何が大丈夫なんだよ」
三上蒼司「お前、スポーツ推薦が決まってあんなに喜んでたのに」
三上蒼司「NBAに入るのがずっと夢だったろ? その夢が断たれるんだぞ!」
赤羽拓斗「……うん。一度はな」
赤羽拓斗「でも、夢は何度だって生まれるよ」
三上蒼司「………………。そう、自分に言い聞かせてるだけなんじゃないのか?」
赤羽拓斗「――――……」
三上蒼司「大人ぶってないで教えろよ。お前はいつ、なんの事故にあったんだ!」
(選択肢:ふたりとも落ち着いて)
三上蒼司「俺は冷静です。拓斗が逃げてるだけだ!」
赤羽拓斗「蒼司、もういいんだって。宿に戻って朝飯食おう」
三上蒼司「ごまかすなよ……! 強がるな! 俺が、絶対に事故を防いでみせるから!

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第7話

 ルビーパーティー作品で時間遡行というと、シリーズは異なるが「遙かなる時空の中で3」(2004)と「遙かなる時空の中で5」(2011)が連想される。前者は源平合戦期、後者は幕末に似た異世界にタイムスリップした女子高生の主人公が、仲間をすべて失うという悲劇の運命に見舞われ、ただひとり生き残る。そして彼女らは時間を遡る力を手に入れ、世界と自分の仲間たちを救うために戦うことになる。
 「金のリンゴは天に実る」のイベントストーリー中の蒼司の行動は、彼女らと似ているかもしれない。「ただひとり真実を知っている自分が、仲間のよりよい未来のために過去を改変する」というのは大変ヒロイックなシチュエーションであり、蒼司自身もそのことに酔っていた部分があるだろう。だが蒼司には白龍の神子のような時間を遡る特殊能力は備わっておらず、シリーズ伝統の魔法の担い手であるファータも彼に手を貸さない。無情な現実の中で、蒼司はただひとりから回る。拓斗と朝日奈も、蒼司の言動が拓斗の負傷を気に病んだゆえの反動であることをよく知っているからこそ、黙って蒼司を見守るしかない。
 17歳の拓斗と蒼司にとって、2年前の事故は消えない傷跡のようなものだ。記憶を共有しない蒼司が拓斗の足について指摘することで、おおらかな拓斗もしだいに摩耗していき――やがて爆発を起こす。

三上蒼司「だってお前、このままじゃ――」
赤羽拓斗「――いいって言ってるだろ!!」
三上蒼司「……っ!」
赤羽拓斗「『このままじゃ』、なんだ? 今の俺が不幸に見えるのか?
三上蒼司「……あ……」
三上蒼司「…………っ……。………………」
三上蒼司「くそ……っ! 勝手にしろよ!!」

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第7話

 蒼司が去った直後、拓斗は彼に怒鳴ったことを悔やみ、朝日奈に胸中を吐露する。拓斗はいまの自分とスタオケのことが好きで、未来への希望も持っているが、「一度絶望したのも本当なんだ」「今でも、怪我をする前の体が恋しくてたまらない時がある」という。そうした苦しい思いを抱えている自分自身のことも認めたいが、「それがまだ上手くできていないから」蒼司に当たったのかもしれない、と。立ち直ったように見えた拓斗もまた、事故で運命を変えられたことを受け入れきれていないことがわかる。

蒼司の記憶退行(2):性格の変化

 本来の蒼司がガキ大将気質の持ち主であったことは、今回のイベントストーリー第2話で話題になる小学校時代のエピソードに加え、メインストーリー5章の章頭ムービー(回想シーン)でも表現されてきた。現在の蒼司の控えめでネガティブな性格が形成されたのは拓斗の事故を経たためなので、事故発生前の蒼司の自信に満ちた無鉄砲な態度が現れたことに、蒼司の母と拓斗以外の人間は大いに驚かされることになる(逆に言えば、蒼司の母と拓斗が驚かないことが、こちらが蒼司の本来の性格であることの証左となる)。

「あいつは可愛い年下の男の子」というやつか…(萌)(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第6話)

 年上相手でも物怖じせずハキハキと会話する“15歳の蒼司”の姿はなんとも微笑ましく、スタオケメンバーとユーザーを和ませる。“かっこいい”朝日奈に対して率直に好意を示してくれるところもかわいらしい。ネガティブ思考の“17歳の蒼司”を嫌っているわけではないにしても、大多数のメンバーがやんちゃな蒼司をかわいがって歓迎する。
 その中で、“17歳の蒼司”がたびたび反発する笹塚だけが「(“15歳の蒼司”の)音が一本調子でおもしろくない」と明確に不満を表しているのがおもしろい。「金色のコルダ」シリーズでは伝統的に音(音楽)に演奏者の性格や精神状態が反映されるので、笹塚が“17歳の蒼司”の音楽と人格を気に入っていることを示すシーンである。

 なお、イベントストーリー第5話でスタオケの演奏に加わることを申し出たとき、“15歳の蒼司”は「時間がないのはわかってる。でも、できないって思ってからが頑張りどころだろ?」と話している。これはメインストーリー5章12話での拓斗のセリフ「できないって思ったところからが頑張りどころだってよく蒼司言ってただろ」にそぐう内容になっている。

蒼司の記憶退行(3):2年後の君へ、2年前の君へ

 イベントストーリー終盤でサーファー男性を救助した蒼司は、病院に運ばれ眠りにつく。やがて彼は“17歳の蒼司”としての自意識を取り戻すが、その前に、夢うつつのまま“15歳の蒼司”として内心を吐露する場面がある。

三上蒼司「……俺……」
三上蒼司「今の拓斗が……不幸に見えたわけじゃないよ」
赤羽拓斗「――――……」
三上蒼司「むしろ……急に大人になってて……俺より、ずっと逞しくなってて………………焦ったんだ」
赤羽拓斗「ははっ、照れるな~。でも、そんなことないって。単に2年経ったってだけでさ」
三上蒼司「……そうかな」
三上蒼司「最近――いや、『俺の世界』での最近だけど……」
三上蒼司「お前、俺の身長追い越すし、スポーツ推薦取るし、どんどん明るくなるしさ……」
三上蒼司「正直、コンプレックス感じてる。……あっという間に置いてかれる気がして」
三上蒼司「……だから、お前の足の怪我を防ごうって思ったのは……」
三上蒼司「お前に恩を売って、偉ぶりたかったから……かもしれない」
赤羽拓斗「馬鹿言え。俺のためだったことはわかってるよ。さっき、怒鳴ってごめん」
三上蒼司「……くそ。先に謝るなよ」
(中略)
三上蒼司「最近――や、『俺の世界』での最近だけどさ……」
赤羽拓斗「ふんばるなぁ」
三上蒼司「ちょっと……お前のこと、避けてたんだ。自分と比べちゃうのが嫌で……」
赤羽拓斗「あー……確かに、中3の頃、あんまり蒼司と話せない時期があった気がする」
三上蒼司「どうせ高校も別々だし、このままだんだん……疎遠になるだろうって思ってたけど……」
三上蒼司「拓斗、推薦決まって暇そうだし……今度、コンサートの手伝いでも……頼もう……かな……
(選択肢:拓斗を見る)
赤羽拓斗「うん、蒼司。声をかけてくれ」
赤羽拓斗「蒼司の世界の俺も――」
赤羽拓斗「きっと、またお前と組めるのを待ってるからさ」
三上蒼司「――――……」
蒼司のまぶたが降りて、静かな寝息が聞こえ始めた。
赤羽拓斗「……なぁ、蒼司」
赤羽拓斗「もし、あの事故が起きなければ、別の道があったと思う。それは否定できないよ」
赤羽拓斗「でも、一個だけハッキリ言えるのは――」
赤羽拓斗「俺、今の自分が、出会いが、仲間がすげぇ好きなんだ」
赤羽拓斗「お前も、きっとそうだって信じてる」

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第9話

 拓斗と蒼司は幼なじみで、現在の日向南高校のみならず小・中学生時代も同じ学校だったという。だが「ずっと一緒」だった拓斗の成長は蒼司の中にコンプレックスを生み、ふたりの間に隙を生じさせることになった(コンプレックスは今回の合宿中に17歳の拓斗を見たことで増幅している)。このことを“15歳の蒼司”が“17歳の拓斗”に向かって正直に打ち明けるが、おそらく当事者である“15歳の拓斗”に直接話すことはできなかっただろう。“15歳の蒼司”と“17歳の拓斗”の組み合わせだからこそ成立した会話と言える。

昔は蒼司の方が高身長だった(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第4話)
演奏面でも習熟した拓斗に対して嫉妬心が増大する(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第6話)

 もうひとつ、一般論として、中学3年は卒業後の進路を決める重要な時期でもある。拓斗がスポーツ推薦で進路を決めたことで、蒼司とは高校が分かれることがほぼ決定的になった。もしあの事故が起こらなければ、拓斗はバスケットボールプレイヤーの卵としての道を歩み、蒼司はおそらく音楽高校へ進んで、ふたりは遠ざかったままに終わったことだろう。
 「ふれあいコンサート」の事故そのものは確かに不幸なことで、拓斗は健康な足を、蒼司は自信と明朗さを失い、両者とも公立高校への進路変更を余儀なくされた(厳密に言うと蒼司は音楽高校の入試に失敗して日向南に入ったわけだが、事故で音楽に向き合う姿勢を失ったことが大きく関与している)。いわば運命の分岐点であった。だがそうして進路が変わってしまった人生を受け入れてその中で精一杯生きることが、いまの拓斗と蒼司にはできるのである。何より、一度分かたれかけたふたりの進路は、事故によって再び交わったのだ。
 そして拓斗は「俺、今の自分が、出会いが、仲間がすげぇ好きなんだ」と話す(この言葉は“15歳の蒼司”が眠りについたのを見てから拓斗が言ったものだが、後で目覚めた“17歳の蒼司”が回想することから、ちゃんと聞き届けられていた)。彼の語る“仲間”には当然蒼司が含まれているわけで、“今の蒼司のことを大切な友人だと思っている”というニュアンスを含む。事故で運命が変わっても、それに伴ってさまざまなものを失ったとしても、今の拓斗は今の蒼司のことを大切に思っている。そして拓斗が「お前も、きっとそうだって信じてる」と語るように、今の蒼司が今の拓斗のことを大切に思っているというのもまた真であろう。

 夢うつつの“15歳の蒼司”が「拓斗をふれあいコンサートの手伝いに誘おうかな」と口に出したとき、拓斗は迷わず「声をかけてくれ」と話した。“15歳の蒼司”はふれあいコンサートが自分たちの人生を変える事故のきっかけになることを最後まで知らないし、彼が「拓斗を誘う/誘わない」と決意したところで、「ふれあいコンサートがきっかけで事故が起こる」という事実は変わることはない。だがそれでも拓斗は、事故を経た自分たちの変化を改めて受け入れることを、蒼司との友情を再び取り戻したいことを、「声をかけてくれ」の言葉で表明している。
 このふたりのような経験をした人間は実はかなり多いのではないだろうか。幼い頃からともに成長してきた友人同士が、ちょっとした気持ちの行き違いによって疎遠になり、進学や就職を経て、一年に一度会うかどうかもわからない遠い存在になる。それぞれの自己実現を優先した結果なのだから別に悪いことではないが、それでも失われるものは確かにある。
 いま一度人生を振り返って、自分にとってのそうした存在を思い出してみるのもよいかもしれない。

 さて、精神退行していた“15歳”のときの一連のふるまいを、蒼司本人は隠してはいるがすべて覚えていた。イベントストーリー第9話で「一階の自販機のほうじ茶を買ってきてくれないかな」と朝日奈に退出してもらった彼は、病室でただひとり嗚咽する。
 “15歳の蒼司”が感じていた複雑な感情を打ち明け、“17歳の拓斗”から「(ふれあいコンサートの手伝いに)声をかけてくれ」と応じられたことで、どんなにか胸のつかえがとれたことだろう。苦い思いを噛み締めつつも、ようやく彼は2年前の事故とそれからのことを受け入れることができたのだ。

言葉にならない泣き声だけが響く(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第9話)

 イベントストーリー第10話で交わされる団長とサチの通話は、まさしく今回ストーリーを総括するものだ。

サチさん「あの子たちを見ていると、自分の若い頃を思い出すわ。昔に戻れたら……なんてね」
団長「ははは。いざ、戻れるとなったら戻らんのじゃろうに」
サチさん「そうねぇ。あの時分には二度と戻れない。それでいいんだわ
サチさん「楽しい日、つらい日、普通の日――何十年もの間、紡いできた先の今日だもの

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第10話

 老いて若者たちをうらやむことがあっても、最高の仲間と精いっぱい歩んできたこれまでの人生をいとおしく思い、肯定する。団長とサチのふたりの間だけで交わされる会話だが、拓斗と蒼司に、朝日奈を筆頭とするスターライトオーケストラの皆に、そしてユーザーに対する優しいエールとして響く。

随所に現れる過去のイベントストーリーの話題

 「間奏曲 金のリンゴは天に実る」のイベントストーリーは、メインストーリーと間奏曲以外の過去の期間限定イベントのストーリーの話題が出たことも注目に値する。いずれも時系列は不明だが、確かにスタオケメンバーたちが体験したできごとだ。

 2022年8月開催の「SPLASH! ナイト・スイッチ」でも「SPLASH! サマー・サバイバル」を回想するキャラクターがいたが、「間奏曲 金のリンゴは天に実る」で過去イベントストーリーが話題に出る回数の方が圧倒的に多い。第6話のブライダルフェア以外の思い出話は出さなくても話が成立するにもかかわらず、だ。
 これらの話題がストーリー中に出されたのには、メタ的な意図がふたつある。ひとつには、消費アイテムで読めるようになった過去の期間限定イベントストーリーへの導線としての役割。そしてもうひとつは、「過去の期間限定イベントストーリーは、運営とユーザーを含むスタオケの仲間たちが共有している周知の事実」という前提を示す役割だ。これにより、「楽しいことも苦しいことも積み重ねてきた時間はなかったことにはできない」というストーリー全体のメッセージを補完していることになる。
「時間の不可逆性」「共有体験の積み重ね」のテーマが色濃く現れた今回のイベントストーリーは、おそらくメインストーリー続編「Secondo viaggio」シリーズの前フリになっている。

ふたりのヒーロー

 第2話、小学校時代の蒼司が切り立った崖から落ちそうになった拓斗を助けたとの思い出話がサチによって語られる。小学生時代の蒼司は、他人のサチから見ても「ヒーローみたいだった」という。拓斗もサチに同調して「特撮ヒーローみたいだった」と話す。拓斗が蒼司をヒーロー視していたことは、メインストーリー5章13話でも語られている。だが蒼司本人は、根拠のない自信に満ちていた過去の自分を恥じているので、この話題が出たときはきまり悪そうにしていた。

固有名詞に対する認知能力は怪しいサチさんだが記憶力はいいようだ(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第2話)

 この「手を繋いで引っ張り上げて助ける」という救出劇をちょうど反転させたものが第8話だ。「いつも俺の後ろに隠れてばかりの弱虫だった拓斗」の成長にコンプレックスを抱いていた“15歳の蒼司”は、大人びた拓斗の美点をなかなか認められなかった。だが事故後に転向した車いすバスケで上半身を鍛えた拓斗に救われたことで、ようやく“いまの拓斗”を「めちゃくちゃかっけぇ」と認めることができた。

 第9話、拓斗は2年前の事故に対する思いを朝日奈に語る。拓斗が2年前に事故の直接的な原因は、倒れかかってきた大道具から子どもを庇ったためだった。もし蒼司が拓斗と同じ場にいたら同じ行動を取っただろう(=蒼司のように人助けできたのだから、怪我をしたことに後悔はない)という。
 小学校時代と同じように、短期間でサチ(3話、精神退行前)とサーファー(8話、精神退行中)のふたりを身を挺して助けた蒼司。精神年齢が変わっても無私の人助けをした彼のおこないを見て、拓斗もようやく2年前の事故を見つめ直すことができたのだ。

お前みたいなヒーローになりたかった(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第9話)

 「金のリンゴは天に実る」のイベントストーリーは、「一見正反対だが、お互いがお互いのヒーロー」という拓斗と蒼司の友人関係に焦点を当てた話となっている。メインストーリーでその片鱗はあった(「ヒーロー」というキーワードが5章13話で登場していた)ものの、深くは語られなかった部分だ。
 さて、ルビーパーティーが関わった作品で「ヒーローに憧れる男子」というと、「バディミッションBOND」(2021)が連想される。こちらはネオロマンス(女性向け恋愛ゲーム)ではなくバディ物として制作され、4人のメインキャラクターがバディを組んで敵地潜入などのミッションを遂行するアドベンチャーゲームで、シナリオとキャラクター描写への評価が大変高い。こちらのメインキャラクターの中で特に主人公としてピックアップされているルーク・ウィリアムズは、亡父に憧れてヒーローを志す警察官の若者だ。彼はひょんなことからアーロンという大怪盗とバディを組んでストーリーが進むが、やがてルークにとってアーロンが、アーロンにとってルークが“ヒーロー”になっていく。
 「金色のコルダ スターライトオーケストラ」と「バディミッションBOND」はどちらも2021年リリースで、開発部署も開発期間もかぶっていると思われるので、描写に類似点があるのかもしれない。拓斗と蒼司の関係、あるいはルークとアーロンの関係が気になる方はぜひ両者をチェックしていただきたい。

各キャラ雑感

三上蒼司

 今回のイベントストーリーで、彼の人格を形成した過去を含めて最も丁寧に深掘りされたキャラクター。精神退行を起こした蒼司の思春期らしさが活写されたテキストには、受け手として脱帽するほかなかった。こちらの項目ではもう少し細かい点に着目してみる。
 第2話、スタオケメンバーでフルーツパークを見て回る際、売店・収穫体験・散策のいずれを選んでも、足の悪い拓斗を気遣ってさりげなく彼に同行する蒼司の姿を見ることができる。“15歳の蒼司”はスタオケメンバーが皆互いのことをよく観察していることを知ってしきりに「かっけー」を連発し、「俺も高校生になったらあんなふうになりたい」と大人への憧れを口にしていたが、実際に“17歳の蒼司”はそれができている。

 また今回、三上家は父・母・ひとりっ子の蒼司という構成であることが明かされ、実際に母親が登場した。イベントストーリー中で母と直接話すのは“15歳の蒼司”だが、心配で口うるさくなる母に対する反抗的な蒼司の態度がいかにも中学生らしい。
 グランツを含め、家庭環境に恵まれないメンバーがちらほら登場する本作だが、蒼司は極めて平穏な家庭で両親の愛情を受けて育ったことが感じ取れる。困っている人を見かけたら躊躇なく助けようとする性格も、蒼司の生来の気質に両親の教育方針が加わって醸成されたものではないだろうか。
 ただ、拓斗の母と蒼司の母も育児仲間として仲が良かったようだが、拓斗が「母さん、連絡来たら喜びそう。久しぶりにおばさんとお茶したいなって言ってたから」(第9話)と話しているところを見ると、近年は疎遠になっていたらしいことが読み取れる。2年前の事故で、蒼司の母もまた拓斗の母に対する申し訳なさから連絡を断っていたのだろうか。彼女らの交友関係も、今後復活するかもしれない。

蒼司の母に200のダメージ!(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第4話)

 蒼司について特筆すべきは、最終盤の第10話で笹塚に向かって告げた「俺、音楽大学を目指すつもりですから」の一言であろう。
 メインストーリー5章(スタオケ加入前)で音楽高校の受験に失敗したことが語られている蒼司。スタオケ加入前の蒼司は音楽を専攻することを諦め、希望進路を国立大学の文学部か経済学部としていた。大学進学(スタオケの活動外の未来)における目標として「音楽」を掲げ、さらにそれを笹塚に(そう、笹塚に!)対して臆さず表明して見せたのは、彼が今後も長く音楽と向き合っていく覚悟を決めた証であった。音楽大学を勧めたがっていた蒼司の母(メインストーリー5章参照)の気持ちを考えるとスタンディングオベーションしたい気持ちになってしまう。

アイコンタクトの表情だけで、彼らの感情の推移がユーザーにも伝わってくる(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第10話)

赤羽拓斗

 イベントストーリー中、拓斗に対してコンプレックスを抱いている“15歳の蒼司”は拓斗にあまり近づかないし、拓斗の方も彼に対して嘘(中学卒業後の進路や足の状態)をついていることから、直接蒼司に話しかけることは少ない。だがその分、突然タイムスリップしたかのような不安を抱えている蒼司を心配し、少し離れた位置からそっと見守っている描写が多い。
 蒼司からは「大人ぶっている」と詰問されるほか、朝日奈から拓斗に対する評価として「拓斗は大人だ」という選択肢が用意されている今回のイベントストーリー。普段のスタオケの活動では天真爛漫で少年らしさが際立つ拓斗が、今回は年長者として蒼司の状況を慮り、彼の怒りを受け止める役割を果たしている。拓斗自身は双子の弟妹(小学生)がいるというから、優しい兄のような態度を発揮するのも納得だ。

 2年前の事故からハンデのある生活を余儀なくされた拓斗。足が不自由であるがゆえに具体的な不利益を被る場面はストーリーでほとんど描かれていない上、本人が一貫して明るい態度なものだから、ともすればユーザーも拓斗が足を悪くしていることを忘れそうになる。
 だが、2021年5月開催の期間限定イベント「陽だまりの思い出」のストーリーでは、なかなか眠らない捨て犬のカラシに寄り添いながら、「昼間あれだけはしゃいでみんなの前では『なんでもないよ』って顔してても――」「夜、ひとりになると急に心細くなって、泣きたくなる」と語ったことがある。これは明らかにカラシの境遇を過去の自分に当てはめたもので、拓斗自身、突如として足と将来の夢を奪われたために不安と孤独にさいなまれて眠れない夜があっただろうことがうかがえる。

一ノ瀬銀河

 スタオケメンバーの中で唯一の成人かつ指導者。今回は演奏旅行ゆえ引率者、監督者としての役割も大きかった。学生たちの補佐役として視野を広く持ち、不安定な蒼司を陰ながらサポートしていた。
 教育者としての一ノ瀬銀河の方向性は、朝日奈の進路相談に乗るキャラクターストーリー第6話で明確に表れている。優秀な指揮者でありながらドロップアウトした経歴のある銀河は、「音楽だけがすべてだなんて思うのは、勘違いだ」「俺には自信持って音楽の道を勧めることはできない」と朝日奈に話す。音楽の世界の厳しさを知っているからこそだが、彼は若者たちの進路をひとつに限定してその他の可能性を閉ざすことを回避しようとしている。時系列が前後するが、「Secondo viaggio 第1章 春嵐出来フェルマータ」のストーリーでも、卒業を迎えるスタオケの3年メンバーに対し、スタオケをやめるかどうか考え直させる時間を与えている。これについて香坂は「私たちに、後悔をさせたくないんだと思うわ」と話している。若者たちが後悔をしないよう、また後悔したとしても当時選択したことに納得がいくよう考えさせる姿勢は、一貫している。

ここまでのシーンでときどき銀河の目線のカットインが入ったことからも、彼が蒼司と拓斗を観察していたのがわかる(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第6話)

 今回の「金のリンゴは天に実る」での銀河の行動は、深層意識下に後悔が根を張った蒼司と拓斗に対するメンタルケアが主眼となる。合宿中、銀河は“15歳の蒼司”が拓斗に対してコンプレックス(ライバル意識と嫉妬心)を持っていることを見抜いていた。
 拓斗の足が二度と治らないことを、“15歳の蒼司”は知らない。拓斗自身が、蒼司に苦悩を追体験してほしくないとして伝えないからだ(ただし拓斗自身もまた、この件を他ならぬ蒼司に触れられることを嫌がっている節がある)。このままでは蒼司は後悔から解き放たれないと分析した銀河は、“荒療治”と称して、拓斗の足が完治する見込みがないことを伝える。蒼司と拓斗の衝突を誘導してやったことになる。

三上蒼司「でも、ダメだ……。やっぱり、今のままじゃダメだって気がする」
三上蒼司「なんだか、ものすごく気持ちが焦って……。まるで迷路の中にいるみたいなんです」
一ノ瀬銀河「……そうか」
一ノ瀬銀河「三上。その迷路を抜け出して、前に進みたいか?」
三上蒼司「………っ……、はい」
一ノ瀬銀河「なら、向き合わなきゃいけないことがあるんだと思うよ」
一ノ瀬銀河「高2のお前は、その先にしかいないんだから」

「金色のコルダ スターライトオーケストラ」より「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第7話

 また今回、イベントストーリー中に蒼司が二度病院に運び込まれたことから、来院した蒼司の母と銀河が話す場面が二度ある。常にちゃらんぽらんとしている銀河が、監督者として対外的に責任を負っている姿は、これまでのイベントストーリーではあまり描かれてこなかった。スタオケは刑部や仁科のように高校生離れした沈着さを持つキャラクターを擁するものの、現在の彼らは今回の銀河の代わりにはなれない。「金のリンゴは天に実る」での銀河は、拓斗と蒼司にメンタルケアを施す教導者としての姿と、不測の事態が発生したときに責任を取る大人としての姿の両面を見せていることになる。

蒼司の母に頭を下げる銀河(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第9話)

笹塚 創

2021年8月に開催された期間限定イベント「SPLASH! サマー・サバイバル」以降、傍若無人な笹塚に反発する蒼司の姿が何度となく描かれている。先述した通り、“15歳の蒼司”に唯一ダメ出しを食らわせる笹塚は、翻せば“17歳の蒼司”をかなり気に入っているということ。
 音にダメ出しする以外にも、金のリンゴの話題(第3話)、蒼司の容態に対する懸念の表明(第4話)、足の現況についての嘘をつく拓斗(第4話)など、蒼司にまつわる事象に対し的確に抉るような指摘をしてみせる。基本的にスタオケメンバーは全員思いやりがあるので、嫌味なくド直球に冷徹な指摘ができるのは笹塚ならではであった。

中学生時代の蒼司は他人を「(下の名前)さん」と呼ぶのがデフォルトだったようだ(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第6話)

おわりに

 9月の初見でべしょべしょに泣かされたイベントストーリーだったが、2ヶ月経過後に本記事を書くために読み返したところ、またもやべしょべしょに泣かされてしまった。爽やかながらほろ苦い男子高校生の青春ストーリーは世の中に数あれど、ここまで丁寧に描写を積み重ねつつ上質にまとめた話はあまり記憶にない(「金色のコルダ3 AnotherSky feat.至誠館」のストーリーがテーマとしても近くはあるが、細切れに発生するイベントで語られるストーリーゆえ、一気に読み進めることが難しかったように思う)。
 拓斗&蒼司の登場するメインストーリー5章からして青春と郷愁の要素が濃かったが、「金のリンゴは天に実る」はそれらの要素をより強調しつつ、今後の展開(メインストーリー続編にあたる「Secondo viaggio」シリーズ)への布石を打っていたと言えるだろう。拓斗と蒼司がお互いの表情を見ながら歩いていく様子が見られるSecondo viaggioのティザーイラストを見ると、なんともこみ上げてくるものがある。
 配信前からコンビとして登場することが想定されていたであろう拓斗と蒼司の組み合わせで、これだけ密度の濃い掘り下げ方をされた以上、他のコンビでもこのようなイベントストーリーがあるのかもしれない……と少々期待してしまう。

 今回はイベントカードにまつわる新規カードが登場した4人のみ記事でピックアップしたが、彼ら以外のスタオケメンバーのふるまいも楽しかった。迷子の少年を肩車してやる源一郎、ヤンキーのボスとして面倒見のよさを発揮する母親思いの桐ケ谷、自分を慕うピュアな後輩(仮)の爆誕にまんざらでもない凛&流星、一方で「可愛い後輩枠は俺だけだと思っていたのに」とボヤく成宮など見どころが多く、紙幅が許せばいくらでも語れるレベルだ。
 温かな態度で蒼司を見守るスタオケメンバーもそれぞれかわいかった。拓斗の嘘を庇いきれずに微妙な空気が流れる場面もあった(第6話)が、「ボクの仲間は、優しくって、一生懸命な人ばっかりさ」という乙音の言葉にしみじみと感じ入ってしまった。

こんなボヤキ宮智治見たことない!!(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第6話)

 第3話で神話の「黄金のリンゴ」が話題に上がることはすでに書いたが、この場面のBGMとして「金色のコルダのテーマ」のピアノアレンジバージョンが流れるのは非常に示唆的である(これまでの「スタオケ」のイベントストーリー中でこのBGMが使われている箇所が思い当たらなかったので、もしご存知の方がいればぜひともご教示いただきたい)。
 「コルダ」は弦のほか、細い糸状のもの全般を意味する言葉で、特に金色のコルダシリーズでは絆(関係性)を暗示する。「青春時代に音楽を通じて仲間と素晴らしい絆を結ぶ」のがシリーズ共通の物語なので、タイトルにある“金色”は「黄金のリンゴ」と同じく永遠性・希少性を示すものだろう。「間奏曲 金のリンゴは天に実る」のイベントストーリーは蒼司の「一度しかない今を、最高の仲間と分かち合えることはもしかしたら――」「黄金よりも、永遠の命よりも、ずっと上等な宝物なのかもしれない」というモノローグで締めくくられる。彼もまた音楽を通じ、今を分かち合いたいと思う“最高の仲間(絆)”に出会えたことを示しているのではないか。

(「間奏曲 金のリンゴは天に実る」第10話)


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