スタオケキャラ雑感:常陽工業高校(桐ケ谷晃&刑部斉士)
スマートフォンアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」(通称:スタオケ)の常陽工業高校のキャラクター2名と、彼らがフィーチャーされるメインストーリー2章について、本記事で所感をまとめた。
現在スタオケでは1.5周年企画の一環でメインストーリー解放応援キャンペーンを行なっている(~2022年9月24日まで)。記事内で紹介するキャラクターの中でお気に召した子がいたらぜひアプリをダウンロードしてゲームを楽しんでいただきたいという気持ちを込め、未プレイの方に向けて書く。
桐ケ谷晃(常陽工業高校3年 / トランペット)
公式曰く“カリスマヤンキー”(女性向けコンテンツの世界観に合うようチューニングされたイケメンヤンキーであるということは申し添えておく)。ケンカに強く、義侠心に富み、ヤスたち舎弟どもを従えてバイクで駆け回る。100人が見たら100人が理解しえる「強さ」「かっこよさ」を、絶大な自信とともにまとって華やかに登場する。
小学校のときにブラスバンドクラブに入ってトランペットを始め、高校に上がった現在も気が向けばトランペットを手下たちに吹き聴かせているという一面もある。
常工の不良連中にとっては唯一無二のリーダーであるが、かといってリーダーの座に固執するタイプの男ではない。スタオケではコンサートミストレスである主人公に全面的な主導権を明け渡しつつ、上級生らしい懐の深さと視野の広さを発揮して下級生の面倒を見る、頼れる兄貴としての地位を確立している。さらに言うと、年下女子である主人公のことを「朝日奈さん」とさん付けで呼ぶことにいい意味で驚かされる。
刑部斉士(常陽工業高校3年 / トランペット)
常陽工業の成績優秀・有能な生徒会長。貫禄と辣腕を兼ね備え、予算改革や生徒会業務のスリム化に取り組んで成果を挙げた。ポンポン飛ばす皮肉の語彙の豊富さに、聞いているこちらも楽しくなってきてしまう。
トランペットでのコンクール受賞経験があり、さらに一昨年・昨年と続けてスターライトオーケストラ(旧スタオケ)に在籍しパートリーダーも務めていたという。旧スタオケの団員だった竜崎は、刑部を「きちんとした人」と高く評価し、彼の加入を熱望する。だがそれは桐ケ谷以上に負けず嫌いで血の気が多い性格をうまく自制しているためで、「生まれも育ちも悪くてね」と自嘲する彼には常に後ろ暗い出自がつきまとっている。
桐ケ谷曰く「陰険メガネ」だが、スーツの似合う、いわゆる“インテリヤクザ風”(「風」か?)のキャラクターはこれまでのネオロマンスシリーズにはいなかったように思う。稀に出るマジギレ顔がいい感じに刑部という人間の本質を垣間見せてくれる。
メインストーリー2章「根性キメて走れるか?」
水戸市のホールでコンサートをすることになった主人公たちは、せっかく水戸を訪れたのだからとメンバー集めを敢行。竜崎と面識がありもともと勧誘するつもりだった常陽工業の刑部に加え、同校の桐ケ谷というトランペッターと知遇を得る。
常陽工業高校は、根性のキマった不良集団「ウロボロス」(桐ケ谷サイド)と折り目正しい生徒会(刑部サイド)の対立が深まっており、そのリーダーにあたる桐ケ谷と刑部も犬猿の仲であった。
「音楽で世界一を目指すのは面白そう。でもあいつと一緒にやるのは無理」
「とはいえ人数が少なくて困っているようだから、水戸のコンサートは手伝ってやる」
との約束を二人から取り付け、練習に励むスタオケ。しかし仲が悪いという桐ケ谷と刑部、阿吽の呼吸で合奏する上、お互いに対する嫌味の応酬のテンポが良すぎるように見えるわけだが……。
数年前まで常工は不良も生徒会も中途半端で、他校生からナメられていたという。それを改革し不良・生徒会とも立ち直らせたのが、小学校からの友人で「ウロボロス」仲間の桐ケ谷と刑部だったのだ。こ、これってつまり…………
び、ビジネス不仲ってやつだ~~~~~!?!?!?
※ビジネス不仲:部下たちの士気を上げるために、本当は不仲ではないのに不仲を演じること。
不良側と生徒会が馴れ合っていると思われたら意味がないとの理由で、常工を表と裏の両面から立て直していたという桐ケ谷・刑部。一方で、刑部が「優等生」の仮面をかぶっている理由もある。
他校の不良に人質を取られた後輩がケンカを挑みに行くが、要注意人物の他校の不良・毒島に加えて“本職”の人間を相手に苦戦を強いられる桐ケ谷。そして主人公からそのことを伝え聞いた刑部は桐ケ谷を助けに行く。この運営、女子(クソデカ主語)の大好きなやつを全部詰め合わせてお出ししてきたぞ。
だが、事態は思わぬ方法に転がっていく。たまたまいじめられている子どもを助けた主人公・桐ケ谷・刑部の3人だが、いじめっ子の母親が登場して桐ケ谷らが常工の生徒であることに気付き、「教育委員会にクレームを入れる」と言い捨てて去っていくという珍事が発生する。
彼女の言葉は脅しでなかった。本当に教育委員会にクレームが行き、さらにスタオケがコンサートを行う予定だったホールからも使用キャンセルを申し出られてしまう――桐ケ谷の素行の悪さに加えて刑部の出自に問題がある、と暗に示して。
主人公に対し「俺を外せ」と進言する刑部。彼は小学校で桐ケ谷とともに所属していたブラスバンドクラブでも、まったく同じ理由で退部を迫られ承諾した過去があった(不条理を嫌う桐ケ谷も、先生に啖呵を切って退部するに至る)。
刑部も桐ケ谷も音楽が好きで、オーケストラをやりたい気持ちは人一倍持っているのに、何も悪いことをしていないのに。コンクールの場では、経歴や家柄も関係なくステージで競えるはずだと銀河も言っていたのに――義憤に駆られる主人公は、刑部を切らないと宣言する。
桐ケ谷・刑部をメンバーに入れてコンサートを成功させなければならない。そのために、スタオケは不良たちの溜まり場となっていたジャズバー「ウロボロス」を修繕してコンサート会場とし、集客に挑む。
スターライトオーケストラに集まってくる若者たちには主人公を始めそれぞれ鬱屈した過去、なんらかの挫折経験があり、それを癒していくという救済の物語という側面があるのだが、2章は特にその傾向がわかりやすく表出している。シリーズ過去作「金色のコルダ3」をプレイしたことのある人であれば至誠館高校の八木沢雪広を思い出すかもしれないが、桐ケ谷や刑部のように挫折を味わって諦めている若者たちを主人公が救い上げ、ひとりも置いていくまいとあがいてあがいてあがきまくるのだ。
ここまでお読みくださった方には、ぜひ2章ラストの「ウロボロス」コンサートを成功させ、桐ケ谷と刑部をスターライトオーケストラという名の船に乗せてやっていただきたい。
期間限定イベント「間奏曲 秋を奏でるフルコース」
スタオケ加入が二番手となった桐ケ谷と刑部だが、個人的には“スタオケの兄貴分”としての描写が色濃い「間奏曲 秋を奏でるフルコース」のイベントストーリーが気に入っている。実は料理がうまいこの二人が、スタオケ内で料理対決イベントのシェフとして選出される。
料理対決イベントの隠れた趣旨は、スタオケに加入したばかりで、かつある人物との離別を経験して間もない源一郎を元気づけるというもの。この時点で加入済みの3年生(乙音・桐ケ谷・刑部)が様々に気を回して源一郎を気遣う様子は、スタオケがひとつのファミリーであることを実感させられる。
ここまで、常陽工業高校の桐ケ谷・刑部コンビを中心に所感を書いてみた。「背中合わせで戦う二人のヒーロー」のようなバディが好きな人にはぜひこの常工コンビのエピソードをお読みいただきたいと思う。
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