スタオケキャラ雑感:ラザルス学院高校(笹塚 創&仁科諒介)
スマートフォンアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」(通称:スタオケ)のラザルス学院高校発のテクノユニット「ネオンフィッシュ」のキャラクター2名と、彼らがフィーチャーされるメインストーリー8章について所感をまとめる。
現在スタオケでは1.5周年企画の一環でメインストーリー解放応援キャンペーンを行なっている(~2022年9月24日まで)。記事内で紹介するキャラクターの中でお気に召した子がいたらぜひアプリをダウンロードしてゲームを楽しんでいただきたいという気持ちを込め、未プレイの方に向けて書く。
笹塚 創(ラザルス学院高校3年 / コントラバス)
ピンポイントの正論でズケズケ物を言う合理主義者で天才で自己肯定感のカタマリ。「相手の気持ち? そんなの考えたことなかった」とか言うタイプ。シリーズ初代「金色のコルダ」で登場した志水桂一も将来的に作曲家として大成する天才キャラだったが、彼がぽやぽやした可愛い後輩だったのは、天才にありがちな無神経さを軽減するよう計算されたキャラ付けでもあったというのがよくわかる。そして笹塚のような劇薬キャラが早い段階で仲間入りすると、有能過ぎて物語バランスが崩壊する+コミュニケーションが荒れてオケそのものが崩壊する可能性すら秘めているので、加入が最終盤になったのも納得である。
彼の価値判断基準は非常にシンプルで、「おもしろいか、つまらないか」の一点のみ。笹塚がその興味に従って才能を発揮したとき、「すごい」と褒め称えるよりは「おもしろい」と共感・知的好奇心を示した方が彼の反応が良い。有限の時間を可能な限り「おもしろいこと」に費やそうと考える笹塚は、「つまらないこと」「無駄なこと」に捉われることを嫌うし、愚かだと思っている。
コミュニケーションと生活面以外の能力は非常に高い。数年前にピアノトリオの一員としてメジャーデビューしていた(解散済)ことがあり、現在も若手作曲家としてその才能を発揮し続けている(活動分野はアイドルソングから交響曲まで多ジャンルにわたる)。ときどきテレビ番組で特集される「若き俊才」のような位置づけか。
8章の初登場シーンから、焦燥のために演奏の調子が狂う主人公に対して鋭い舌鋒で否定的な物言いをする。笹塚を中和するように優しい態度を仁科が取るので「あ、いわゆる“アメとムチ”コンビなのか」と思いきや、笹塚が主人公に対して「おもしろい」という感情を向け始めてからは笹塚も9のムチに対して1のアメ的言動をどストレートに混ぜてくるからズルい。オケの取りまとめ役としてはハラハラさせられっぱなしだが、やがて違う意味でドキドキさせられるようになる男だ。
仁科諒介(ラザルス学院高校3年 / ヴァイオリン)
テクノユニット「ネオンフィッシュ」のマネジメント全般と渉外、そしてヴァイオリンを担当する高校3年生。公式の紹介テキストを見るとチャラ男要素を全面に押し出しているが、おそらくこれはスタオケ世界の一般モブから仁科単体を見たときの評価なのだろう。スタオケのストーリーでは基本的に笹塚と組んでお出しされるのと、他のメンバーの個性がそれぞれ強いせいで、繊細で世話焼きな苦労人にしか見えない。仁科のバースデーキャンペーンのハッシュタグとして「#実は世話焼き気質持ち」と付されたときに「“実は”じゃないよみんな知ってるよ!!!」と総ツッコミが入ったのは記憶に新しい。
……いやでもクエストの路上ライブのフィナーレでウインクするのはドチャクソキュートなイケメンなんだなぁ!!! 仁科さん目線くださ〜〜〜い!!!
特に魅力を感じることもなく惰性でヴァイオリン続けていたときに、笹塚に勧誘(ナンパ)されて「ネオンフィッシュ」を結成するようになった旨が章頭ムービーで語られているが、そもそも笹塚がなぜ仁科のヴァイオリンに目をつけたのか現時点では語られていない。演奏技術の程度も不明だ。なにが笹塚の琴線に触れたのかはまったくわからないのだが、それは仁科本人も同じ。メインストーリー中、あるいはいくつかのイベントストーリー中、仁科は「天才」月城慧と並び立とうとして焦燥を感じる主人公に対し共感と同情を示す――彼自身が「天才」笹塚の隣に立つことについて自信を持てなくなることがあるからだ。これまで2年間「ネオンフィッシュ」の片割れとして活動してきた仁科だが、メインストーリー8章ではその精神的ゆらぎが浮上する。
ともあれ、マネジメントと渉外を仁科が一手に引き受けることによって、笹塚が作曲活動に集中することができているのは事実である。まさに適材適所。交渉(言いくるめ)能力は笹塚に対しても発揮され、気乗りしない仕事に笹塚を連れていくのは仁科にしかできないこと、現場で突然発生したトラブルをうまく収めるのもスマートだ。スタオケ加入後はスタオケの仕事を獲得して帰ってくることもある。
とても有能で頼れるお兄さんだが、ときどきガチで疲れた顔をしているので本当にちゃんと休んでほしい。星奏学院の猫や「すみすみ」とのコラボで癒されまくっていたのは知ってるんだぞ……!
メインストーリー8章「雪空のアクアリウム」
京都での顛末は、主人公に不安と焦りを植え付けた。グランツに負けないためにはどうすべきか、グランツのコンサートに負けない数の観客を集めないと――そんなことばかりを考えるようになった主人公のヴァイオリンの音色は、彼女本来の伸びやかさを失ってしまう。
一方、公演依頼を受けて北海道は札幌にやってきたスタオケは、エキストラの中にいたラザルス学院高校の二人・笹塚&仁科と出会う。笹塚は主人公の演奏を「つまらない、空っぽ」と手厳しく指摘し、反対に仁科は主人公の話を聞きながら優しく労わる。
テクノユニット「ネオンフィッシュ」としてすでに幅広い音楽活動をしている笹塚&仁科。クラブでのパフォーマンス、笹塚の作曲現場、仁科の仕事のこなしぶりを見せられた主人公はその社会人らしさにすっかり魅了され、二人をスタオケに加えたいと望むようになる。
一方、ネオンフィッシュのアジトもとい笹塚の自宅の固定電話には、グランツ交響楽団事務局からの勧誘の連絡が入っていた。グランツに行けばリーガルレコードの支援も受けられ、その他好条件が約束されている。「いつまでも一緒ってわけにもいかないよな」と気付いた仁科は、笹塚との離別、ネオンフィッシュ解散の不安を持つようになる。
一方、ネオンフィッシュのアジトに出入りするうち、彼ら二人の生活力のなさが露呈したり……
今回のコンサートで指定されているバッハの曲に対する新たな視点を与えられ、次第に視界が拓けていく主人公。音楽は楽しいという感覚を、再び取り戻していく。
コンサートが近づいたある日、主人公はネオンフィッシュの出演するクラブフェスに参加。笹塚によってステージに引っ張り上げられ、サプライズ共演する。
しかし帰路でトラブルが発生し、3人はキャンプ場で車中泊をすることに。満天の星空を見上げた彼らは世界に思いを馳せ、やがて心が軽くなっていくのを感じるのだった。
スタオケのエキストラを「仕事」として割り切って引き受けている笹塚と仁科の二人。彼らを加えて世界に行くために、二人の間のわだかまりを解きつつ、メインストーリー8章のコンサートを成功させよう。国際コンクール日本代表を選出する本選まで、残りわずかである。
期間限定イベント「SPLASH! サマー・サバイバル」
こちらは三上蒼司&笹塚 創をフィーチャーした期間限定イベント。伊豆の海で勃発した一夜のサバイバル(!)を通じて、蒼司と笹塚の音楽に対する姿勢を垣間見ることができる。
笹塚が新しく作曲した交響曲を演奏するよう、リゾートホテルのオーナーから依頼されたスタオケ。笹塚は曲の完成度を高めるのに妥協を許さず、楽譜の改訂を繰り返し、ソロをホルン(蒼司)からオーボエに変更する。もともと自己肯定感が低めの蒼司は、笹塚の才能と新曲の美しさを認めながらも、彼の一挙一動に振り回されることになる。しかし彼らと主人公を含めた一部メンバーが沖で遭難してしまい、翌日のコンサートまでに戻れるよう奮闘するのだった……。
一見相性が悪く嚙み合わないように見える蒼司と笹塚の公式コンビ名(リンクスキル名)は、「トコトン科コダワリ属」。確かに二人ともこだわりをもって音楽に取り組むタイプである。こいつらは“そういう生き物”なんだよ、という公式からのメッセージのようでニヤリとする。
期間限定イベント「初夢☆ニュウイヤア」
こちらは鷲上源一郎&仁科諒介をフィーチャーした期間限定イベント。メインストーリー9章の後、一部のオケメンバーが菩提樹寮で年越しをする中、意外とギクシャクしがちな二人が主人公とともに初夢の中で冒険を繰り広げる(!?)。
二人がギクシャクした原因は、仁科の分析によると「気遣いグセがついてる同士だったから」。夢の冒険を通じて、二人とも頼るよりも頼られる方がうれしいタイプだということがわかり、「お互いに頼り合おう」と約束する。
期間限定イベント「バレンタイン・トリロジー」
笹塚 創&一ノ瀬銀河をフィーチャーした期間限定イベント。チョコレートショップでのコンサートとアルバイトを通じて、切ない愛を歌ったイタリアの歌曲「カロ・ミオ・ベン」、そして銀河が過去に出会ったソプラノ歌手にまつわるイベントストーリーが繰り広げられる。その銀河の過去に切り込むのが笹塚。
このイベントでは、栄光と挫折のいずれも経験してきた銀河の大人っぽさが際立つが、同時に、老成しているように見える笹塚が先達(銀河)の助言に従って普段やらないことに挑戦し、若人らしく新しい人生観を得ていく様子も描かれていて興味深い。
実のところ、ラザルスの二人はスタオケメンバー最後の加入だっただけに、他のメンバーのそれに比べて経歴に謎が多い。笹塚が以前活動していたピアノトリオユニット"S'nake"、仁科のヴァイオリン経験――すでに十分な成功者として活躍している彼らの挫折とも言える体験は、いずれもはっきりとしていない。今後どのような形で深掘りされていくのか実に楽しみである。
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