企業再生メモランダム・第78回 BEING the Change

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの61枚目は6年前に作成した「BEING the Change」と題したメモです。

ANN McGEE-COOPER、GARY LOOPER、DUANE TRMMELL「BEING the Change」からの転載です。

メモの背景

今まで60枚以上のメモを紹介してきましたが、「企業再生メモランダム」の連載も終わりが近づいてきました。

メモの内容は、マネジメントに関することを中心に、仕事とは何か、組織とは何か、リーダーシップとは何かなど様々なテーマについて記載をしてきました。

この連載を読んできてもらって、私の人間的な成長についても読み取っていただけたでしょうか。

私は幸運なことにも、この対象会社の企業再生を通じて、多くの経験をさせてもらいました。

特にリーダーシップを学ぶことができたことで、これからの人生の意味を見つけられたように思っています。

私はこのメモを作成した年の11月末に対象会社の役員を退くことになりました。

対象会社の企業再生の過程で、私は、何より常にリーダーとしてあろうとしましたし、人として正しいことを行ってまいりました。そのため、後悔は一つもありません。

この企業再生を通じて尊敬できる素晴らしい仲間と働くこともできましたし、私たちが行った企業再生の実績は、数字以上に、組織と人を変えることができました。これらの事実は何があっても変わらないのです。

私がメンターから教わった言葉に「リーダーはリーダーを育てる」という格言があります。

私は企業再生を通じて、対象会社にリーダーを育てることができたでしょうか。そして、そのリーダーたちは今も元気に活躍しているでしょうか。

メモ「BEING the Change」の中身

1.ギリシャ神話のシーシュポスが、自分に課された罰を受け入れ、それに対処する事で幸福を見出したように、我々誰もが成長の機会として与えられた自分の人生をしっかりと向き合うべきだ

2.セレンディピティ(偶然を発見する能力)、シナジー(協働)、シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)

3.人は誰でも特別な才能に恵まれていて、誰もが学習によって変化する可能性を持っている

4.たとえ、あなたがどんなに悲惨な状態であったとしても、信頼し尊敬する相手があなたを信頼してくれるならば、前へ進むための新たな勇気や希望をその人はあなたに与えてくれるでしょう。

5.サーバントリーダーシップとは、従業員、顧客、そしてコミュニティなどにおいて、最優先して他者に奉仕する新しいタイプのリーダーシップだ

6.奉仕者は世の中のあらゆる問題を外側ではなく、まず、自分の内側から観ます。そして、世の中の間違いが正される時、変革のプロセスは外側ではなく、内側から、サーバントから始まるのです。

7.世の中に変革を望むなら、自らが変革しなさい。

8.サーバントリーダーになるとは・・・強制力の代わりにお互いの信頼を通して導くという事なのです。正解を見つけるために従業員の働きに頼っているという事です。他の人が良い仕事をしたいと思っていると信じる事です。お互いに深い関心を持ち、共により良い解決策を見つける事です。皆が貢献しようという気になるような働き甲斐のある場所を作るという事です。そして、それがリーダーフルな状態になるという事なのです。

9.あなたがして欲しいことを他の人にもしてあげなさい

10.サーバントリーダーシップの目的は、皆を成長させたり、働きかけたりして導くことです。

11.リードすることは権力、名声、あるいは物質的報酬を個人が追求するものではありません。それは、人々を育て、全員の最善の利益のために奉仕することなのです。

12.我々が心から喜びを感じることを追求すると、世界が本当に必要としている事に辿りつく

13.サーバントリーダーは一般的に、周りの人の可能性を次の新しいレベルに引き上げるような普通の人です。

14.彼らは皆、とても嬉しそうなのです。・・・サーバントリーダーへの旅の途中にある人が、彼ら自身の肩書きに自己陶酔しないようにする謙虚さと共に、一緒にいる人を高めるような素晴らしい精神と共に、そして、多くを与え、自分自身や他人に説明責任を期待するのに充分なほど深い愛と共に、喜びで満たされているといった心の底からのものなのです。
<リーダーシップの要素>
1.リーダーには必ずフォロワーが存在する。フォロワーとは正当な評価と敬意を得ている者である。

2.リーダーとは、自分が導く相手に対しての第一の支援者である。教師であり、情報や知識の発信源である。指示や指導をすることよりも基準を定めることに注力をしている。

3.リーダーは、フォロワーの視点で物事を見る。他人の立場で物事を考え、フォロワーの夢の実現のために支援をする。

4.リーダーは、「行け!」とは言わない。「さあ、一緒に行こう」と道案内をする。ムチを持って後方を歩くのではなく、旗印を掲げ、前線にいるものである。

5.リーダーは、フォロワーと共に働く事を前提としている。周囲の人を仕事のパートナーとみなし、報償を分かち合うよう取り計らう。彼らはチームスピリット(結束力)を大切にしている。

6.リーダーは、人を作る者である。より強い人がより強い組織を作る事を理解しているので、自分の周りにいる人を育てる事に重きを置いている。

7.リーダーは、人を押さえ込むのではなく、人を上に持ち上げる。手を差し伸べて、フォロワーが頂上に辿り着けるよう支援をする。

8.リーダーは、人を信頼している。彼らは人を信じている。人は期待に対して応えるという事を知っている。

9.リーダーは、頭と同様に心も使う。頭で事実を把握するだけではなく、心の目でその事実を見てみる。

10.リーダーは、常に高い目標を持っている。自発的に行動し、計画を立て、実行する。思考と行動の人であり、夢想家であり実行者でもある。

11.リーダーは、多くの難しい決断に直面している。その決断には、グループ全体に対して公正であるために、個人に対して公平のバランスを取ることも含まれる。グループにとって必要な信頼性、生産性、安全性などの項目について、一定期間以上、応える事ができないメンバーの「排除」を求められる事も時としてある。

12.リーダーは、ユーモアのセンスを持っている。お高く止まった人ではなく、自分自身を笑いの種にする事ができる謙虚な心を持っている。

13.リーダーは、自分が導かれる事もできる。自分のやり方に固執するのではなく、最も良いやり方を見つけることに関心がある。開かれた心を持っているのである。
<サーバントリーダーによく見られる特性>
1.自己認識と謙虚さを身につける。

2.相互の深い信頼関係を育てる。

3.理解するために、まず相手の話を聴く。

4.主に説得を通して、倫理的に力を使う。

5.できるだけ合意形成に努める。

6.再設定してリフレッシュするために、撤回(取り消し)の技術を活用する。

7.共感して、相手を受け入れる。

8.全体と、各部門内における全体の縮図を見て、概念化する。

9.全体像の情報と経営戦略を広く共有する。

10.指導を受け入れ、フィードバックを歓迎する。

11.全ての利害関係者、とくに自分達の権利や要求を代弁する事ができない人々にとって、何をしたら良いのかを追求する。

12.会計的な利益を超えて、全ての利害関係者にとって意義のある仕事、環境への責任、そして、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)も含めた利益を明確にする。

13.コミュニティを育てる。



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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