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企業再生メモランダム・第31回 第7回勉強会 ロジカル・シンキング

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

「企業再生メモランダム・第16回 勉強会について」に記載したとおり、私は、対象会社の中堅スタッフに言われて、希望するスタッフ向けに勉強会を開始しました。

メモの23枚目は9年前に作成した「第7回勉強会 ロジカル・シンキング」と題したメモです。

メモの背景

対象会社には、経営陣の長年の社内政治に辟易して、思考停止したスタッフが大量にいました。

私も、若かりし頃は、なぜ自分の会社が倒産の危機にあるのに、こんなにも何もしないのだろう、何も考えないのだろうと思いましたが、この歳になるとその理由がよく分かります。

これは人間が備え持っている防衛本能なのだと思います。

人間は生活が担保されれば、次に求めるものは、自己実現です。本来は、世のため人のため、お客様のため、会社のため、一緒に働く仲間のため・・・と、一生懸命になって仕事に邁進したいものと思います。

しかし、会社の利益ではなく自分の利益を追求する社長、ハラスメントを行う幹部社員などを目の前にして、無駄な抵抗はやめよう、「正しいこと」を言って目を付けられたくないと思うのが人の心なのです。

株主から送り込まれて私が企業再生に参画した当初は、下手をすると、太鼓持ちの幹部が、間違ったことであっても、正しいですと言いかねないような雰囲気すらありました。これでは「馬鹿」の故事成語と同じです。

対象会社を良くするには、例え最初は間違っていても構わないので、自分で考えることを取り戻させなければなりません。リハビリです。

毎度、私は企業再生の時に同じ話します。

「ヨイショする対象が、今までの役員の方から私に変わったのではありません。私はあなたと、この会社を良くしたいから、あなたの頭で考えて動いてください。私の考えが間違っている場合は、ぜひとも指摘してください。教えてください。」

メモ「第7回勉強会 ロジカル・シンキング」の中身

1.仕事において「考えること」 

(1)考える仕事

第4回「組織と戦略」において説明したとおり、今まで対象会社の多くのスタッフは日常業務を(ただ漫然と)こなすことを中心に業務を行なっていましたが、これからは方針の決定や戦略の立案、日常業務の改善など中長期的に重要である業務の比重を増やしていかなければなりません。

そこで、これから皆さんが特に必要になってくるマネジメント・スキルは「考える力」です。

今までは日常業務をこなすことが仕事であったわけですが、その業務においては、上司から指示を受けたことを実行することが重要であり、自ら積極的かつ主体的に何かを考えるということはなかったと思います。

しかし、これからは中長期的に重要である業務は全て「考えること」が重要になってくるのです。

(2)考える力を高めること

「考えること」など当たり前のようにできていると思うかもしれませんが、現実には、考えているつもりでも、考え方が不十分だったり不適切だったりする場合が多いです。

例えば、深い思考ではなく、単に前例を踏襲した考え方になっていたり、本来の目的を忘れて枝葉末節な考え方に陥ってしまっていたりなどがあります。

やはり、何か問題を解決しようとする場合、直感的に答えを出して、対症療法的に処理していたのでは事態は改善されません。系統立てて網羅的に、つまり、論理的に考える必要があります。系統立てて考えられれば時間の節約になり、網羅的に考えられれば見落としていた可能性も見えてきます。効率的で、より深くて広い思考結果が得られます。

このように考える力を高めることで、仕事はずっと効率的に楽しく進められます。

(3)ロジカル・シンキングとは?

ロジカル・シンキングとは、翻訳すると論理的思考ということができます。論理的に考えることによって、① 時間の節約、② モレやヌケなどのミスがなくなる、③ 受け手に情報伝達がしやすくなるなど利点があります。

(4)コミュニケーション・スキルの向上

ロジカル・シンキングは、コミュニケーション・スキルの一つです。コミュニケーション・スキルとは、思考(thinking)とコミュニケーション(communicating)に大別できます。

どれだけ論理的正しく効率的な思考をしたとしても、相手に上手にコミュニケーションできなければしょうがないですし、逆に、相手に上手にコミュニケーションできたとしても、論理破綻して感情的な思考ではしょうがないです。

ロジカル・シンキングを身につけると同時に、どのように相手に伝え、さらには相手のやる気を導き出し実行させられるかを考えてみましょう。

コミュニケーション・スキルに関しては、ネット環境の整備によって、コミュニケーション機会の増加とコミュニケーション方法の多様化(電話、文書、メール、SNS)があり、今まで以上に巧拙によって差がついてしまうため、非常に重要です。

<ご参考>照屋華子・岡田恵子「ロジカル・シンキング」



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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