リーダーシップ往復書簡 068
私は、以前から、リーダーが、正しくリーダーシップを発揮していれば、フォロワーは必ず成長する。つまりは、フォロワーが成長しているか否かで、そのリーダーが正しくリーダーシップを発揮しているかが分かると言ってきました。
私は、長年にわたり、リーダーとして旗振り役をしているので、「人の成長」については一家言を持っています。
「リーダーシップ往復書簡 003」でも記載をしましたが、成人発達理論によれば、「水平的な成長」とは知識やスキルの獲得で、それに対して、「垂直的な成長」とは「人間の器」の広がりのような認識の変化を言います。
私がここで言う「人の成長」とは、後者の「垂直的な成長」のことで、「人間の器」の大きさなどと表現される、世界を認識する方法の変化のことです。
私はリーダーの役得だと思っていますが、フォロワーの「人間の器」が広がる瞬間に立ち会ったことが多々あります。
物事の捉え方が他責となり、閉塞感を感じて苦しんでいたフォロワーが、ある日、急に覚醒したように成長するのです。
「人間の器」が大きくなった結果、今までと同じ世界のはずなのに、全く違った見方で、世界をより鮮やかに深く捉えられるようになるのです。
人間は素晴らしいことに、いくつになっても世界を認識する方法を変えられます。
若かりし頃、私も、霧が急に晴れて、ある時を境に世界の見え方が変わった瞬間があったので、多くの人にこの素晴らしい経験をしてもらいたいと考えています。
リーダーであるからには、しっかりとフォロワーを成長させなければならないと思います。とはいえ、フォロワーに対して、「人を見て法を説け」で、真剣に一人ひとりに寄り添わなければ、なかなか簡単には「人間の器」は大きくならないものです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
【Q.68】
リーダーシップとキャリアについて、お考えを教えてください。
<コメント>
私はリーダーシップと、一般的に認識されている仕事・経歴・就職・出世などの狭義のキャリアの概念は、親和性があまり高いと思っていません。
リーダーシップは、過去に向かった概念ではなく、未来志向の考え方です。それに対して、キャリアは過去に通ってきた轍(わだち)なのです(なお、厚生労働省が提唱しているキャリアの概念では「時間的持続性ないしは継続性を持った概念」として定義されています。)。
リーダーとは、暗闇の中、集団の先頭で、たいまつを持って、フォロワーを率いて進む存在です。このような暗闇の中で、自分の足跡がどうなっているか気にする人はあまりいないでしょう。
スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業生向けの言葉を紹介したいと思います。
私は、この言葉が、まさにリーダーシップとキャリアを正しく表現していると考えています。
「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。」
※この記事は、2021年1月16日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。