リーダーシップ往復書簡 021
昔、白洲次郎が、「地位が上がるほど、役得ではなく、“役損”が増えることを覚えておけ」と言ったと言われています。
本気で組織のため、世のため人のために身を粉にして努力しているリーダーは、フォロワーはじめ他の人から見たら、「役損」のほうが多いかもしれません。
ただ、リーダーは、フォロワーに仕えていること、フォロワーとともに夢を追いかけていることが喜びであるという側面もあって、損得という次元では語れないようにも思います。
一般的な感覚では、この白洲次郎の言葉は、少なくとも、組織において地位があがれば「役得」だけでなく「役損」があることだけは事実でしょうか。
景気の浮き沈みで考えると、この数年は好景気の真っ只中にいましたので、経営者は「役得」が多かったかもしれません。これに対して、景気循環を考えると、これから本格的な不景気になった場合、経営者は会社のために資金繰りに奔走したり、スタッフをリストラしたりと「役損」が多いかもしれません。
私もアラフォーになって思うのは、組織のトップである社長ですら、得も損もあって、世の中は本当によく出来ていると感心します。
白洲次郎の言葉に私なりのコメントを加えるとしたら、「地位が上がれば”役損”が増えることもあるでしょうが、その”役損”は、自分の人格を磨くきっかけになるし、楽しまないともったいない」だと思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
【Q.21】
いつも楽しく「リーダーシップ往復書簡」を拝読しています。最近のスタートアップ経営者は積極的にSNSで情報発信をしていますが、リーダーはSNSを積極的に活用したほうがいいでしょうか?
<コメント>
SNSは優れたコミュニケーション・ツールですので、リーダーが積極的に活用するのは良いことだと考えます。
リーダーのはじめの一歩は、フォロワーの獲得です。リーダーシップを勉強すると、「フォロワーがいることがリーダーである」という定義もあるぐらいです。
リーダーがフォロワーを獲得するには、リーダーが思い描く、世のため人のために、ああしたい、こうしたいを、自然体かつ率直に、フォロワーに語りかけるしかないと思います。
小さい子どもが、周りで遊んでいる友達たちに対して、「入れて!」と言って一緒に遊ぶように、コミュニケーションは仲間づくりの第一歩です。
SNSは、情報の速報性、拡散性、効率性に優れていますので、積極的に活用すれば、多くの人々の共感を獲得し、フォロワーが増えて、リーダーやフォロワーの夢の実現に役立つものと思います。
しかし、リーダーがSNSを活用するうえで注意しなければならないこともあります。それは、リーダーが自然体でSNSを使用することと、リーダーの目的・本分を間違えないことの2つです。
SNSは、コミュニケーションの一つですので、誇張表現や虚偽の内容は避けて、あくまで自然体で活用することが大事です。
例えばTwitterでも、140文字の短い投稿の行間から、面白いぐらいに、そのユーザーの心理状態が透けて見えるものです。
SNS上とはいえ、「やり方」を駆使して、フォロワーや周囲の人々をずっと騙し続け、動かし続けることは難しいのです。
リーダーは人格を磨いて、リーダーとしての「あり方」を身に着け、それを自然体にSNSで発信すれば良いでしょう。
また、リーダーは、あくまでSNSは目的を達成するための手段、コミュニケーション・ツールであって、SNSそのものを目的にしないように注意しなければなりません。
SNSは、表面的な承認欲求を満たしてくれ、中毒性があるため、気を付けなければなりません。
時々、SNSを通じた自己ブランディングばかり熱心なスタートアップ経営者がいますが、これは明らかに間違っています。
リーダーは、夢を叶えるために、フォロワーを引き連れて、旅に出なければなりません。リーダーが一生懸命、努力している姿に、人々は感動し、さらなるフォロワーとなるのです。
もしリーダーが、本分を間違えて、SNSで情報発信ばかりしているのであれば、それは単なる夢想家・評論家・批評家に過ぎません。
※この記事は、2020年3月14日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?