リーダーシップ往復書簡 034
引き続き、リーダーが理解し身に着けるべきインテリジェンスについてご紹介したいと思います。
組織の重要な意思決定の際に、リーダーは、いかにフォロワーを信頼していたとしても、一人だけの情報を鵜呑みにせずに、複数人から情報を取得したほうがいいでしょう。
前々回にも取り上げましたが、そもそも大体の場合、情報は網羅して取得することができません。そして、事実ではなかったり、評価が間違ったりしている情報が含まれている可能性があるものなのです。
これはフォロワー個人に対する信頼とは別次元と心得るべきです。人間の記憶がひどく曖昧なものであることは、皆さんにもご理解いただけるものと思います。
複数人から情報を取得することによって、事実(ファクト)と評価を分けて情報取得することができますし、事実についても、より精緻な情報を取得することができるかもしれません。
リーダーは情報を元に意思決定するわけですが、意思決定によっては、人の生き死にに関わる場合もあるわけです。
その時に一人の人間の記憶や評価に頼るようなことはあってはなりません。石橋を叩いて渡るような慎重さが求められます。
その際は、リーダーは積極的に情報の取得に動かねばなりません。自ら求めなければ、情報は手に入らないのです。
そもそも重要事項の場合は、全体像を知っているのはリーダーなどごく一部の人間に過ぎないことが多く、必要な情報の価値にすら気が付かない人がほとんどです。
それを非公式なレポートラインで報告させるほうが無茶だと理解したほうがいいでしょう。
なお、私が影響を受けた、過去に大臣を務めた経験のあるメンターの方は、このキャリアにもかかわらず、必要であれば、全く知らない人であっても世間話をして情報を取りに行くような方でした。
それぐらいリーダーは、情報に対して、真剣に向き合わなければならないのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
【Q.34】
リーダーにとって、インテリジェンスが重要であると思った経緯について教えてください。
<コメント>
別連載の「リーダーと考える経営の現場」の「第14回 リーダーシップの旅 前半」でも記載をしましたが、私はメンターから先に「インテリジェンス」というキーワードを教えてもらったように記憶しています。
ただ、私が企業再生などを通じてリーダーシップを発揮していく過程で、インテリジェンスの重要性について、感じずにいられなかったのも事実です。
リーダーとして意思決定をする場合に、当たり前ですが、その意思決定の前提は情報なのです。
そのため、情報が足りなければ決めることはできませんし、もし情報が間違っていたら、正しい意思決定などできるものではありません。
特に赤字会社においては社内政治なども酷く、情報は歪んでいる場合も多く、背景にあるコンテキスト(context)が分からなければ、情報の価値、情報の意味付けを間違えてしまうリスクがあります。
もし質問者の方が、リーダーとして多くの人に影響力を行使したいのであれば、インテリジェンスを身に着けることは不可欠だと思います。
また、フォロワーを守るという観点からは、リーダーがインテリジェンスを身に着けることは、責務と言っても過言ではないと思います。
※この記事は、2020年5月31日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。
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