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企業再生メモランダム・第64回 自己信頼と自己革新

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの52枚目は6年前に作成した「自己信頼と自己革新」と題したメモです。

ラルフ・ウォルドー・エマソンの著書「自己信頼」とジョン・W・ガードナーの著書「自己革新」からの転載です。

メモの背景

企業再生とスタッフの自信というテーマだけでも本が1冊書けるように思います。

赤字会社に所属しているだけで、人の自信は揺らぐのです。日々、自分がしている仕事が世の中に受け入れられていないということは、人をうろたえさせるに十分な事実なのです。

企業再生の現場で思うのは、会社が崩壊する最後の最後まで、自分を律して、他人に優しくできて他人を慮れる人は、深く愛された経験がある人か、現在進行形で家族や友人と円滑な人間関係がある人なのです。

戦時の手記などを見ると「何よりも身近にいる大人が怖かった」といった内容を目にすることがありますが、会社でも若手スタッフなど立場の弱い人からすれば、身近な上司や先輩が心に余裕がなくなって、自分に攻撃的になることが怖いことなのです。

私は、クライアント企業の経営者に対して、リーダーは「焼け火ばし」を持てなければならないとアドバイスします。

こういった組織内の立場の弱い人たちに対して、自分の不安を押し付けてしまってはいけません。

ぐっと堪えて、他の人の不安も抱えてあげることが、リーダーの役割なのだと思うのです。

自分に自信があれば、この難局も自分ならば乗り越えられるに違いないと思え、他の人の分まで「焼け火ばし」を持つことができるでしょう。

対象会社も赤字だった時期にいた幹部社員は、社長を含めて、みな「焼け火ばし」を持つことができない人ばかりだったように思います。

企業再生によって黒字化した対象会社に今、必要なことは、スタッフの自信の蓄積だと考えていました。

メモ「自己信頼と自己革新」の中身

1.自己信頼
(1)自分の考えを信じること、自分にとっての真実は、すべての人にとっての真実だと信じること――それが天才である。

(2)心の中で確信していることがあるなら、声に出して語るがよい。そうすれば、それは普遍的な意味を持つようになるだろう。

(3)断固として、自分の中に自然に湧きあがってくる印象に従うべきだ

(4)結果や利害を思いわずらうことはない。ただ自分の感覚に従って、率直に裁きを下していく。

(5)自分の精神の高潔さ以外に、神聖なものはない。自分自身を牢獄から解き放てば、いずれ世界の賛同を得られるだろう。

(6)自分以外のものは名ばかりで、束の間の命しか持たないものと見なし、たとえ周囲のすべてが反対しようとも、自分の意見を貫くことだ。

(7)自分の仕事をするのだ。そうすれば、もっと強くなれる。

(8)人は誰でも、自分が意識的に行っていることとは別に、無意識に知覚しているものがあること、そして無意識に知覚しているものこそ、全幅の信頼に値することを知っている。

(9)正直に生きるなら、真実が見えてくる。

(10)実在するものはすべて、多くの徳を備えているがゆえに、この世に存在しているのだ。

(11)好き嫌いを隠すつもりはありません。深遠なものこそ聖なるものだと信じ、私の心が喜ぶもの、私の心が命じることを、いついかなるときも恥じることなく、断固として行うつもりです。

(12)人格は常に必然によって獲得される。

(13)汝の運命、すなわち人生の定めは自分自身を追い求めることだ。ならば運命を追い求めるのはやめ、泰然としているがよい

(14)根本原理に従い、その光輝に身をひたすとき、あなたは初めて平和を手に入れるのだ。

(15)真理は自分の内にあり、付和雷同せず、常に自己をよりどころとして主体的に生きるべきである

(16)自分に正直に生きることは、放縦な生活を送ることでも、我欲を押し通すことでもなく、むしろ調和をもたらすものであり、謙虚な心で自分が本当に望んでいることをするなら、人間はもっと自由に幸福になれる。
2.自己革新
(1)健全さを持続する鍵は革新しつづけること、つまり変化が求められているという事実と向き合い、自分自身と自分の社会が変化することを喜んで受け入れることである

(2)偉大なリーダーはみな、明快に教えることができる――そして偉大な教師はみな、人を導くことができる

(3)自己革新できる個人は自らをよく知り、探求や学習を恐れず、成長のために失敗することを恐れない。自己革新できる個人には信念があり、自分が深く関心を寄せることに取り組んでいる。これが、後に人々を惹きつけるのだ。

(4)現実的であることと楽観的であることは、ともに非常に重要である。

(5)未来は、確固とした強い自信を持った人々によって形成される。その自信は、自らの努力が無駄にならないであろうととらえる冷静さの上に成り立っている。彼らは失敗や敗北を認めるが、それによって自信をなくすのではなく、決意を強める。希望と、活力と、不屈の精神を併せ持つことで、未知の成果を生み出す冒険に、進んで自らの人生を賭けるようになるのだ。

(6)社会のための創造性の源は、個人のなかにある。革新は、一人ひとりが持つ、斬新さや活力から芽生える。

(7)人は何かを追い求めている限り、失敗し続けるものである

(8)自己革新する人の特徴として他に挙げられるのは、他の人と相互に豊かな関係を築いているということである。こうした人々は、愛を受け入れ、与えることができる。

(9)おとぎ話の幸福が愛されることに重点を置いているのに対し、真の幸福は愛を与える能力に重点を置いている。

(10)人間とは複雑で矛盾した生き物であり、自己中心的である一方で、すばらしく献身的になることもできる。私たちは自らの欲求を満たすことで頭がいっぱいになっているが、そうした欲求よりも高次の何かに自分を関連づけないと、人生に意義を見出すことができないのだ。

(11)人間は、生まれながらにして意義を求めるものである。呼吸をして体温を一定に保つのをやめられないのと同じくらい、意義を追い求めずにはいられないのだ。



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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