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企業再生メモランダム・第65回 GIVE & TAKE
「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。
メモの53枚目は6年前に作成した「GIVE & TAKE」と題したメモです。
アダム・グラントの著書「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代」からの転載です。
メモの背景
前回記載したとおり、スタッフの自信が、会社経営において、大事なことは述べたとおりです。
ここでいう自信という言葉は、自己肯定感という言葉で語られることもあるように思います。
自分に自信・自己肯定感がないと、会社であったり他人であったりに必要なことなど中長期的なことは考えられなくなり、短期的な目線の自己利益ばかり、つまりは「TAKE」ばかりになってしまいます。
一方で、企業再生において、私にはもう一つキーワードがあります。
それは「被害者意識」です。
人が歪んでしまう原因は、「被害者意識」であることが多いように思います。
自分は、これだけ過去に組織のために自己犠牲を払ったのだから、今回はちょっとぐらいのオーバーランは許されるのではないか。
どうして私ばっかり、会社のために苦労をしなければならないのか。苦労をしたんだから、少しぐらいズルをしてもいいじゃないか。
このような思考回路です。ただ一度でも、このわがままが許されてしまうと、もう止められないのです。
対象会社の前社長もそうだったのだと思います。彼は前身の会社では、会社が苦しい状況だった時に、みんなのために資金繰りに奔走していた人です。それがいつしか自分は特別というように思うようになってしまったわけです。
そもそも仕事というのは、自分以外の誰かのためにするものなのです。
一つ一つの仕事に細かく見返りを求めていくならば、それはもう同じ船に乗っていない人なのです。
企業再生もそれなりに進んだとはいえ、本当の意味で対象会社が「普通の会社」になるためには、この考え方が根付く必要がありました。
メモ「GIVE & TAKE」の内容
1.成功するギバーは、「自己犠牲」ではなく、「他者志向性」をもっている。
2.他者志向性とは、たとえばチームで仕事をするときに、自分の取り分を心配するのではなく、みんなの幸せのために高い成果を出す、そこに目的を設定するということだ。
3.そもそも仕事というのは、「自分以外の誰かのためにするもの」だ。
4.そもそも、仕事の評価は自分でするものではない。それが仕事である以上、他者に評価されてこその仕事だ。
5.大きな成功を収める人びとには三つの共通点がある。それは「やる気」「能力」「チャンス」だ。成功とは、勤勉で、才能があり、かつ幸運な人びとによって達成されるものである。
6.ギバーはギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受けとる以上に与えようとする。
7.テイカーが自分を中心に考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払う。
8.「報酬を期待しているわけではありません。人と違うことをし、影響をおよぼしたい。助けることで、人の役に立ちたいのです」
9.「人を助けはじめると、評判がどんどん高まり、自分の可能性の世界が広がるからだ」
10.成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイ(総額)を大きくする。
11.ギバーが自分の利益よりグループの利益を優先すると、そのことが周囲に伝わる。その結果、ギバーは同僚の尊敬を集めるようになる。
12.人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出なければならない。
13.「他者志向」になるということは、受けとるより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めること
14.ギバーが燃え尽きるのは、与えすぎたことよりも、与えたことでもたらされた影響を、前向きに認めてもらえないことが原因
15.ギバーは、与えることに時間とエネルギーを注ぎ込みすぎるせいで燃え尽きるのではない。困っている人をうまく助けてやれないときに、燃え尽きるのである。
16.「よい行いはけっして忘れず、悪い行ないをときどき大目に見る」
17.寛大なしっぺ返しは、他者志向の戦略である。・・・他者志向のギバーは信用することを基本としながらも、その行動や評判からテイカーだとわかると、ギブ・アンド・テイクのやり方を使い分ける
18.他者志向になるということは、ギバーが自分自身の利益を気にかけつつ、相手を信用し、それでも相手の真意を必ず見極めることなのだ
19.テイカーを相手にするときには、自衛のために、マッチャーになるのがいい。ただし、三回に一回はギバーに戻って、テイカーに名誉挽回のチャンスを与える。
20.成功するギバーの多くが、人はみな善人だという信念から出発するが、同時に、周囲の状況を注意深く観察して潜在的なテイカーを割り出す。
21.うまくいかないときは自分が責任を負い、うまくいっているときは、すぐにほかの人を褒める
22.最初に人びとの行動を変えれば、信念もあとからついてくる
23.他人の人生に“ちょっといいこと”を起こすことに、注意とエネルギーを集中してみてほしい。
24.成功のイメージが、「個人の業績+他人への貢献度」で成り立つとすれば、職場でもギバーになる人が増えるかもしれない。
25.カギは、与えることを人目にさらすこと
26.「ある人びとは、誰かによくしてやると、お返しをしてもらおうと常に期待している。また、ある人びとはそうではないが、よくしてやったことを意識していて、相手は自分に返すべき恩義があると思っている。しかし第三の人びとは、そんなことなど考えもしない。彼らはブドウの木のようなもので、何の見返りも期待せずにブドウの実をつける。(中略)だから、誰かを助けてやったら、(中略)あとはもうほかのことにとりかかるのだ。(中略)私たちはそのような人間でなくてはならない」マルクス・アウレリウス(ローマ皇帝)
※ 本連載は事実を元にしたフィクションです。
株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。