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企業再生メモランダム・第23回 仕組みを作る

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの17枚目は9年前に作成した「仕組みを作る」と題したメモです。

メモの背景

「あなたの仕事は、仕組みを作ることですか?仕組みをまわすことですか?」

私が、ターンアラウンドマネージャーとして、繰り返し、対象会社の幹部社員に問いかけて来たことです。

対象会社の幹部社員は、キャリア意識もなければ、スキルアップも求められない環境で、長年勤めてきてしまっていました。対象会社が赤字にならなければ、私のような若僧にこのような問いかけを受けることもなく、彼らも逃げきれたかもしれません。彼らも考えようによっては、終身雇用を前提とする会社の被害者だと思います。

ここでキャリア意識について少し記載したいと思います。

現在、私は、社会活動の一環として、一般社団法人スクール・トゥ・ワークで、若者キャリア問題に取り組んでいますが、今の日本では、中学生・高校生のキャリア教育が大幅に不足していると感じています。

未だに一世代で25%も占めている高校就職者のキャリア意識の欠如により、仕事がアルバイトの延長の勤労観となってしまっていることは問題だと思います。

アルバイトの延長の勤労観とは、会社によって決められた面白くない労働をする対価として給与を得る、基本的に、労働は面白くないことだから、同じ時間を費やすならば、出来る限り、楽な方がいいし、時給も高い方がいいという価値観です。

さらに、こうした価値観の下では、高度経済成長期のようなベースアップがないならば、慣れ親しんだ同じ労働をして楽をすることが、労働者にとって合理的な選択となり、ますます新しい業務には踏み出さなくなるというわけです。

このような勤労観の人々に、いつかは仕事そのものを創る側になるという考えはありません。スキルアップという発想もありませんし、キャリアという考え方もありません。

一方で、最近、大学生や大学院生の新卒採用の面接をしていると「私は、ゼロイチが向いているし、やりたいんです!」というような熱心な学生に出会うことが多くあります。ゼロイチとは、「0→1」のことで、新規事業開発のことを言います。

昨今の大学や大学院は就職課も充実しており、キャリア教育に熱心で、こうした価値観が生まれる背景だと思います。こういった大学生や大学院生の勤労観は、仕事は、ただ対価を得るために、自分の時間を切り売りする労働ではなく、仕事でお客様や社会に貢献して、自己実現をしていくといったワーク・ライフ・インテグレショーンに近いかもしれません。

残念ながら、対象会社の幹部社員は、元々、仕組みをまわすことをしていた人ばかりでした。彼らの多くは、ただ年齢を積み重ねたため、現場スタッフから幹部社員になったに過ぎません。仕組みを作るという仕事をしたことはありませんし、人によっては考えたことすらなかったようでした。

赤字に陥った対象会社を良くするためには、経年劣化した仕組みを作り直す必要がありました。

そのため、幹部社員には、仕事の定義を変えてもらって、「幹部社員の仕事とは、仕組みをまわすことなのではなく、仕組みを作ることである」と理解してもらう必要がありました。

メモ「仕組みを作る」の中身

1.ビジネスモデルとは?

会社を創業する時は何が大事になってくるでしょうか?それはビジネスモデルです。

ビジネスモデルとは、「事業として何を行い、どこで収益を上げるのかという儲けを生み出す具体的な“仕組み“のこと」を言います。

では、対象会社の創業者らは、どのようなビジネスモデルを考えたのでしょうか?

対象会社は50年以上の歴史を誇り、過去において経営母体が数度変わったとはいえ、ビジネスモデルは大きく変わることがありませんでした。

しかし、今、経営者や幹部社員の皆さんは、① ビジネスモデルを改善すること、② 新しいビジネスモデルを創ることが求められています。

お客様が求めているもの、労働環境やIT技術などは時代とともに変化するのです。

そのため、儲けを生み出すためには、ビジネスモデルを、今の世の中・今のお客様に合わせて、常日頃から改善していかなければなりません。

2.仕組みを作る

経営者や幹部社員の皆さんが意識的に取り組まなければならないことは、改善の際に仕組みを作るということです。

自らがプレイヤーとなって改善した日常業務を行うのではなく、どのようにすれば、継続する仕組みとなるのかを考えてみて下さい。



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介

 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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