リーダーシップ往復書簡 071
本連載を毎週書き始めて以来、リーダーシップとは何か、リーダーとはどういう人かについて、日々、深く考えています。
日常生活において、リーダーシップという言葉は、それこそ、いろいろな意味で使われています。単なる主体性や自主性という意味合いだけで使われる時もあって、内発的動機付けから、自分のやりたいことをやっているということだけなのに、リーダーシップという言葉が使われていることもあります。
私は、リーダーシップの本質とは、誰かに貢献したいという願望、世のため人のためなど、より高い目標に奉仕したいという願望だと考えています。
決して目立ちたかったり偉くなりたかったりなど、自分のために、リーダーになるのではありません。もっと言えば、そもそもリーダーになることが目的ではないのです。
まず先に誰かに貢献したいという夢があって、その実現のために、先頭を切って皆のために歩み始めるから、あとに続く人が出てきて、結果においてリーダーになるのです。
私は社会人人生において社長という役職に就いていることが多いのですが、少なくとも自分のためにその役職に就いたことはなく、お客様のため、スタッフのため、会社のためなど、その会社を取り巻く人々の中で困っている人がいるからが先にあります。
ピーター・F・ドラッカーは、リーダーの定義としてフォロワーがいることと述べましたが、会社組織におけるリーダーとしては、ただ単に会社組織という形の上で部下が沢山いるのではなく、しっかりと夢を描いて、リーダーである自分に心から信頼してついてきてくれるフォロワーを一人でも増やしたいと思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
【Q.71】
リーダーとして、組織の地位や権限など「パワー」を行使してはいけないとありましたが、具体的にどのようなことでしょうか?
<コメント>
リーダーシップの考え方の原理原則ですが、リーダーシップに地位や立場は関係ないのです。
そのため、リーダーが、組織の地位や権限など「パワー」に依拠して、影響力を行使すればするほど、自分自身にリーダーシップがないと言っていることと変わりません。
一般的に、組織が持つ経営資源には限りがありますので、組織の地位や権限に基づいた力しか行使できないリーダーは、多くの人に大きな影響力を行使することはできないのです。
リーダーが夢や共感の力で影響力を行使することができるならば、組織が持つちっぽけな影響力と違って、信じられないぐらい多くの人に影響力を行使することができます。
稚拙なリーダーが「パワー」を行使してしまった事例ですが、もし上司が、部下に対して、自分は上司だから言うことを聞けと言ったら、その時は部下が渋々動いてくれたとしても、部下からすれば、議論の中身や部下の人格を一切無視した発言になってしまっています。
また、もし上司である自分の言うことを部下が聞かないからといって、降格したり異動させたり懲罰的に人事権を行使するようならば、自分の人間の器の小ささを対外的に証明しているのと変わりません。
既に会社組織の地位にあるリーダーは、常に自分に組織の地位や権限など「パワー」がないとしても、同じ指示をして、部下がしっかりと動いてくれるかどうかを考えながら、自分の行動や言動がリーダーとして相応しいかどうかを見極めたほうがいいでしょう。
※この記事は、2021年2月7日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。